見出し画像

【イタリア】軟禁生活を18日間続けて


3月9日から、日本食レストランでの仕事が一時的に停止となった。
現在3月27日となり、18日目を迎えた。
これまでの様子を記すことにした。


最初の一週間の行動

まずは、仕事のない日々を何より嬉しく思った。
これは、神様(信仰心はない)がくれた贈り物だと。
買い物以外は外出できないが、ゴロゴロして一日を終えるより、
予定を詰めて行動したい派なので、じっとしていられなかった。

この頃、夫が早朝勤務とあって、7時に見送ってからが私の時間。


真っ白なカレンダーに心浮かれつつ組んだスケジュールはこうだ。

    月曜     火曜     水曜     木曜     金曜
==================================
  | 掃除   イタリア語    英語     日本語    中国語
午前|News確認   雑用    食材仕込み     調べ物   お金の勉強
  |      ビデオ撮影   News確認   
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
  |写真整理  ビジネス   ネットで仕事   雑用     フリー
午後|  筋トレ     読書      筋トレ      読書      筋トレ
  |映画鑑賞          映画鑑賞
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

一番やりたかったことは、ニュースチェック
刻一刻と変化し続ける報道を細かく紙に記していった。
(後に、これが膨大な数になり止める)

そして、勉強の時間。
イタリア語、日本語教師の下準備、英語、中国語。
ビジネスやお金について知識を増やすことにも割こうと考えた。
雑用は、気になっているところに手を入れる。
ビデオ撮影は、夫のYoutubeチャンネルの手伝い。
そして、一日置きに筋トレをすることも健康管理には必要。
夜は、映画鑑賞か読書になるだろう。

このような感じで予定を組んだ。
これ以外に、食事の献立表も組んだ。
食材を調整しながらバランスを考えて食べるためのもの。
賢い主婦ならしているのかもしれないが、食欲や体調に合わせて
作ることが好きだから適当だったが、冷凍食材を増やしたことで
そうもいかないと作ってみたがこれが便利。この話は後日することしよう。



スケジュール通りにいったのか?

その答えは、まあまあだ。しかし、組んでよかった。
一日中時間があると、気が散ってアレコレしたくなる。
そんな時に、この予定表を見る。自ずとそれに取組む。
そして、飽きた時には他ごとをしてもいい。
また、予想より早く事が終わった時は、次の予定をしたこともあった。

運動はというと、これがまた快感なひとときだった。
Youtubeで脚やせやストレッチの動画を吟味して気に入ったのは、
ひなちゃんねる」と「石井亜美AmiIshii
一人はダイエットに成功した女の子と、
もう一人は、モデルとして活動する女性。
チャンネル登録するほど好きになった二人だ。
一日置きにする予定が、毎日したいほどエネルギーが有り余っていた。
いや正直に言うと
おいしい食事を摂るために、カロリーを消費したかった。
筋トレやストレッチではあまり消耗しないため、有酸素運動も取り入れた。
これは、イタリア語の動画の方がシンプルで良い。ちなみにコレ
次の動きを説明してくれるし淡々としていて集中しやすい。

少し汗をかいて、シャワーを浴びてから夕飯だ。
ここで注意したいのが、運動前に食事の準備をしておくこと。
筋トレ後30分以内にタンパク質を摂ることで筋肉痛になりにくくなる。
それと、疲れてからでは作る意欲が失せる。
パートナーが作ってくれるなら、万万歳だ。


さて、この予定の中で一番気持ちが入ったのが「雑用」だった。
何より、雑用という時間を持てることに心の余裕を感じた。

実際に行なったのが、納戸の整理、革靴と皮ジャケットの手入れ、
衣類の整理、パソコン内の整理、食器棚の見直し。

そして、先日行なってとても満足しているのが、
カッティングボードにオリーブオイルを塗る
オリーブの木でできているカッティングボードは、
毎日活躍するお気に入り。大きさや形がかわいく便利。
洗剤で乾燥していたのと、包丁の傷が刻まれていてかわいそうだった。
蘇ったカッティングボードがこれだ。


画像1

私の地元、四国のような形をしているのも惚れた理由の一つ。


このようにして、充実した一週間を過ごした。
そして、問題は二週目だ。


二週目の行動

この頃から、夫の職場でも自宅で過ごすように指示が出始めた。
よって、一緒に過ごす時間が長くなる。

あと、女性特有の週間に入ったことと、ライティングの締め切り、
また、かつて働いたラジオ局のレギュラーコーナー「イタリア通信」の
出演依頼が急に決まったことが重なり、パソコン疲れから頭痛に悩まさた。



今、振り返って思うと、病んでいた
家から出られないこと、外に出ると感染するのではないかという不安、
仕事が再開するのか、来月の給料が支払われるのか、契約は続くのか…。
夫や隣に住む義理の母との距離や時間の共有が長すぎて、
自分の時間が取れず疲弊していたのかもしれない。
寝込んだこともあり、気持ちも落ち暗いドラマを見たいとも思った。
そんな時に、インコが家から出て帰ってこなくなったのも
悲しませる原因だったのかもしれない。
とにかくマイナス思考だった。


ある日の夕暮れ、戻ってこなくなったインコをテラスから待っていた。
すると、かすかにピアノの伴奏と歌声が聴こえた。
2階下の家からだ。ここには、オペラ歌手の先生が住んでいる。
家でレッスンを行なっていて、この日は名曲を歌っていた。それが、


プッチーニ作曲
オペラ『トゥーランドット』より「誰も寝てはならぬ」
Turandot di Puccini "Nessun dorma"

イタリアが世界に誇る名オペラ歌手 ルチアーノ・パヴァロッティ。
音楽をしている者なら、この名を知らない人なんていないだろう。
私も中学時代の吹奏楽顧問がオペラ歌手であることから、
彼の歌唱力に魅了された。
他の人が歌うのももちろんそれぞれの味があっていいのだが、
聴き慣れたこの声と、歌唱力、そしてイタリア語を勉強したから分かる、
言葉の意味とそれを歌う表現力は右に出るものはいない。
これはイタリア語を学ぶ醍醐味の一つと言えるだろう。
オペラ鑑賞の満足度が格段に上がる。

そしてもう一つ、私たち日本人にとっても重要な音楽なのである。
2006年のトリノオリンピックで、荒川静香選手がフリー演技で
イナバウアーを披露し、完璧に踊りきり金メダルを獲得したのだ。
その時に使われたのがこの「誰も寝てはならぬ」だった。
当時の映像は何度見ても感動する。知らない若者にはぜひ見てもらいたい。

あと一つ、オペラに関してイタリア人が羨ましいと思うのは、
誰もが名曲を簡単に歌えること。
彼らの生活の中にたまに出てきてはみんなで合唱する。
幼いころから歌い続けられ耳から覚えるのだろう。
「フィガロの結婚」や「蝶々夫人」などもすらりと口ずさむのは憎い!


話を戻そう…
この音楽には、悲しみや不安、最後には幸せになるという僅か3分の構成。

テラスにいる私は、赤く染まる空に、冷えた風と共に流れてくる音楽に
切なさが込み上げてきた。そしてついには涙が・・・
かなり参っている状態だった。
後に試したのだが、Youtubeで他の歌手の歌を聴いても響かないのに、
パヴァロッティの歌だけが泣けるという実験結果を得た。
ぜひあなたにも違いが分かるのか試してほしい。


ということで、二週目の私は少し疲れ気味で、気持ちも落ち込んでいた。
おそらく、このように気が滅入ってしまった人は私だけではないだろう。
ネットでも孤独や閉塞感を抱いたという記事を見た。

今週末には、日本も外出を控えるように報じられている。
家で過ごす自由な時間をもらったと思い、
あなたが思う有意義な日にしてもらいたい。
感染しないためには、外出しないこと。
暖かで穏やかな週末になりますように。
イタリアから祈っている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?