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エンジニア採用担当のあるべき姿とは

今回もこちらの本をアウトプットする。本書の後半のパートでは自社エンジニアを理解し、採用に協力してもらう方法について書かれている。

「採用・人事担当者のためのITエンジニアリングの基本がわかる本」翔泳社, 2020年4月

エンジニアがよく使う表現

エンジニア同士の会話でよく使われる表現をまとめた。

スルーフィットを上げる

一定の時間で処理できる量を上げること。キャンペーン期間中の大量のリクエストを処理する時などに使われる。

拡張性を高める

拡張性とはソフトウェアに新たな機能を追加する際にそれを小さな変更で実現できたり既存機能に影響を及ぼさないようにする性質のこと。これを高めることで、アップデートの際に追加の実装が容易になる。

技術負債を返す

技術負債とは設計上の問題やバグのこと。技術負債は開発を続けると徐々に溜まっていくもの(仕方のないもの)であり、これを溜めすぎると開発速度が低下する。開発を進める際はプロジェクトマネージャー(PO)が機能開発と技術負債の返済をバランスよく行っていく。

リファクタリング

リファクタリングはサービスの既存の機能を保ちつつ、設計を改善したりレスポンスを速くするなど技術負債を返すためにコードを変更すること。

この他にもさまざまな表現があるようだ。エンジニアと共通言語を増やすために、他の表現のインプットを行なっていきたい。

採用担当の強さをレベル別に紹介

採用を成功させるために、エンジニアリング知識を身につけた後は、業務に正しく応用したりアウトプットすることが必要だ。

ここでは採用担当のレベル別に、エンジニアリング知識を業務に活かせるかが紹介されている。

レベル0

エンジニアの指示に従うだけで内容を理解しないまま作業する状態。
ここで問題なのが、採用の成功が人事ではなくエンジニアに依存してしまうことだ。加えて現場のエンジニアは採用のプロではない。従って、成功確率の低い施策を行なってしまい、採用の成功が遠ざかってしまう。

レベル1

求人票に書かれている必須要件と歓迎要件が理解できたり、履歴書を見で候補者が持っているスキルが具体的に分かる状態。
これに加えて、なぜエンジニアを採用しようとしているのか、採用によって解決したい課題は何か?の言語化もできる状態だ。

しかしここでは「知っているだけ」状態であることに注意が必要だ。
このレベルでは自社のエンジニアに対して意見をすることはできず、まだ採用の成功が現場のエンジニアに依存している。

レベル2

採用目線を交えてエンジニアに意見が言える状態。このレベルからエンジニアリング知識を業務にアウトプットすることができ、採用の成功が採用人事に懸かっている。

例えばエンジニアから新たな募集要件の希望が来たときに、
「この要件では転職市場に人材がほとんどいないからハードルを下げよう」のような提案ができる状態だ。

極端な話だがこのレベルであれば、
「Vueの実績はあるけどHTMLの実績がないから不採用」
のような勘違いも起こさない。採用人事が技術を正しく理解していて分かっている感のある求人が作れる。

他にも、
・エンジニアの志向性(成長の機会が欲しいなど)を理解して、効果的な訴求ができる。
・採用競合を理解して自社と競合の技術的な違いを説明できる
などが挙げられる。

レベル3

採用人事が先頭に立って、会社組織や採用フロー自体を変えることができる状態。経営陣を巻き込んで企画を進めたり、CX(候補者体験)の設計をするなど会社全体に大きな影響を与えることができる。

また複数のメンバーを部下に抱え、チームをマネジメントして生産性を上げることができる。

採用担当にプログラミングスキルは必要なのか?
プログラミングスキルがあれば技術の理解が早く、募集要件の作成などでは勘違いを起こさないかもしれない。しかし本書では採用人事にプログラミングスキルはあるに越したことはないものの、優先度は高くないと述べられている。

採用担当が達成すべき本当の目標は採用活動の成功である。
それを実現するために本当に必要なのは、
・競合と比べた自社の魅力の言語化
・採用市場を考慮した求人票が作成
・社内で企画を進めるられる能力
を優先して身につけるべきであり、その上でプログラミングスキルを身につけるのが順序として適切だろう。

エンジニアとの会話の仕方

ここではエンジニアリング知識を効果的に身につけるために、社内エンジニアとの会話の方法について紹介されている。ただ会話するのは簡単だが、1つの会話で最大限のインプットができるよう、会話のコツについて述べている。

自分が勉強していることを伝える

エンジニアから「最近採用のことを勉強していて本を読んでいるよ。ちなみに採用で今一番困ってるのは何?」と言ってくれると協力したくなる気持ちになるだろう。自分が何か貢献できることはないか、そう想起させるような会話方法は効果が高い。

会話する際は目的と仮説を伝える

上記を意識しないとお互いに会話がしづらくなる。
例えば「PHPエンジニアは何に興味がありますか?」
とエンジニアに聞いても抽象的すぎて返答がしづらいはずだ。

そこで目的と仮説を伝えることで、話の軸ができて会話がしやすくなる。

PHPエンジニアを採用するために、求人票を改善したいです。
競合はA社と考えていて、知名度と給与は勝てないと考えています。
そのためユーザーを多数抱えていることを訴求するのが良いと思います。
この内容は候補者に刺さりやすいでしょうか?

答えを聞かせて?という質問ではなく、私の考えは正しいかアドバイスください、のような姿勢を意識するのが大事である。また質問するに至った背景を伝えるとより話のポイントが見えてきて、エンジニアも回答の軸が作りやすくなる。

エンジニアのアウトプットを見る

自分がアウトプットについて質問されると嬉しいものであり、関係を深めるのに大きな効果がある。アウトプットについて会話していれば、エンジニアリング知識も同時に吸収できるだろう。エンジニアが個人的にリリースしているアプリを使ってみたり、過去の記事を見てこれを会話に混ぜることで距離が縮まるはずだ。

終わりに

本書でも述べられているが、
「採用担当のレベル=エンジニアとの関係値」
と言い換えることができるかもしれない。社内のエンジニアと積極的に会話して関係値を作り、将来的に採用に協力してくれるようになれば、会社に大きく貢献ができるだろう。

また学んだことをアウトプットすることで、知識が血となり肉となる。
言語化することによって知識の定着度が高くなる。もしかすると自分のアウトプットが誰かのインプットになったり、ある種の採用広報として働いて候補者に届くかもしれない。

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