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祖父とカメラと虫

正月なので祖父母の顔をみにいってきた。色々あってうちは貧乏で。祖父母も、あれは市営住宅かな。ボロボロの団地に住んでいる。昔からゴミ屋敷のような(狭い団地に屋敷とはなんとも可笑しいが)の部屋だったが、ふたりも90歳をこえ、祖父は95歳。片付けろというほうが無理かもしれない。よくふたりで生活しているな、と驚くばかりだ。

祖父の趣味はカメラ。お金のないわりに、僕には価値はわからないが、高いカメラを持っていた。レンズが高いんだっけ?で、昔はよく山へ出掛けて、鳥の写真を撮っていたようだ。鳥の図鑑だかに名前がクレジットされているとかなんとか聞かされたこともある。へえ凄いものだと関心もしていたが、年々足腰が弱り、歩けるものの出掛けなくなった。

そこで被写体を虫に定めて、ここ数年は撮っているのだが。もちろん虫も、野山まで出向いて撮るわけにもいかぬ。遠くに住む田舎の親戚に送らせる。自宅で飼って、増やして、撮影するのだ。

カマキリの巣


「なんだ。正月以外でも、俺たちは家族なんだから、いつでもこい」いくたびに祖父から言われる僕だが。僕は虫がめっぽう苦手。いまは時期的に大丈夫だが、3月には奴らが産まれてくる。更にはエサが必要で。祖父は生きたコオロギを大量に買い込む。

また、前述したとおり、整理整頓はうまくできないものだから、コオロギが脱走し放題だったりして。祖父母宅は地獄と化す。なので正月くらいしか、遊びにいきたくないのだ。

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