見出し画像

映画「189」が示唆する課題について(2)

前回の記事

前回の続きを書く。
(2)児童相談所間の連携
映画の中で、私がとても違和感を持った箇所がある。それは主人公中山優馬さん(児童相談所職員)と弁護士夏菜さんのコンビが、加害者の前の住所地である妙越市を訪れる場面だ。
虐待をしている加害者が、虐待が明るみに出ると引っ越してしまう、という話の筋書きがあり、引っ越してきた時に、前の住所地での児童相談所のデータがオンラインで照会できないために、東京から新潟まで、職員が出向いて確かめないといけない、というシーンなのである。映画の別のシーンでは、児相の女性職員が他の児相に電話で照会をかける場面もあり、弁護士が「オンラインでデータ共有してないんですか?」と問うと「何十年も前から言ってるのにできてないのよ!」と答えていた。(セリフの詳細は違っているかもしれません)
すなわち、前住所→現住所 という、「住所の情報」はデータ共有できているのに、前住所地の児相が持っている情報は、データ共有ができていない、ということらしい。
現在の、インターネット環境、PC環境から思えば、児相同士がデータ共有することぐらい、ごく簡単にできそうに思うが、実際のところどうなのか。

・児童相談所間の、情報共有、オンライン化
・市町村間での情報共有、転居時の情報引継ぎ

についても、調査していく。

映画では、コロッケさん扮する、地方の児相職員が、「(危機感に欠ける)のんびり屋さん」に描かれていたが、そのベースにある課題は、「児童虐待対応にかかわる人員が、慢性的・絶対的に少なすぎること」であった。人員が少なければ、少ないなりの仕事の仕方しかできなくなる。

主人公たちが、新潟まで出向いたことにより、被虐待児の診察をした医師から直接話を聴くことができ、結果として情報が得られた。オンラインデータに頼らず、足を運ぶことで得られる情報が時として重要であることも、確かにある。しかし、それも、人員が不足していてはできないことであるし、少なくとも、子どもの命を守るために必要と思われるデータは瞬時に共有できるようにしておくべきだ。

大阪府における、児童虐待相談対応件数は、年間2万件を超えている(2018年)。その現実を前にして、子ども達の命をまもるために、児童虐待に対応する行政の各部署の職員数についても、適切に配置がなされているのか、検証することが必要。

そして、私たちもまた、地域で一緒に暮らしているすべての子ども達の命をまもり育てることに、きちんと目を向けて、力になっていきたい。
通報ダイヤル「189」。虐待かも、と思ったら、189(いちはやく)。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?