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米国での生活、再び

はじめましての方に

IKE ITANIです。IKEという名は、昔一緒に暮らした名犬IKEから拝借したものです。よく「イケさん」と間違われるのですが、「アイク」と読みます。本名ではなく、ネットで書くときになんとなく使い続けている名前です。

私は現在、関西の某私立大学で北米の文化や歴史、フェミニズムに関わる授業を担当しています。ど真ん中の研究テーマは、スポーツとジェンダー・セクシュアリティで、特にトランスジェンダーのスポーツ参加や女子選手に対する性別確認検査を含む、一連のセックスコントロールの制度です。2009年からは、それと並行するかたちでオリンピックが社会に与える影響や、反五輪運動についてもいくつか仕事をしてきました。

ここ数年は、「フェミ登山部」というコレクティブの一員として活動する幸運にも恵まれています。

米国ポートランド市

私は今、いわゆるサバティカル(研究休暇)という期間に入っており、在外研究のためにポートランドに来ています。私は学部と大学院前半の時期(+Ph.Dプログラムに入るまで働いていた期間)を米国はオハイオ州コロンバスで過ごしたので、米国に暮らすのは2009年夏にコロンバスを離れて以来14年ぶり。今回の滞在は短い期間になりますが、ここで目撃、体験し、学んだこと、考えたことを記録に残しておきたいと思い、noteを始めることにしました。

ここ数年はバーンアウトがひどく、書く作業が非常にしんどく感じられることが増えていたので、このnoteもいつまで続けられるか正直分かりません。でも、この在外研究期間に必要な休養と刺激を得て、また色々と書く意欲が戻ってくることを願っているところです。

こんな状態なので、研究内容や授業に関係するテーマだけでなく、時々は過去の思い出や楽しい(?)旅の話なども織り込んでリフレッシュできたらと思います。

危機が止まらないアメリカ

2009年にアメリカを離れてから、アメリカ社会はオバマ政権、トランプ政権、バイデン政権を経験し、今年はまた大統領選の年です。少し知っているつもりのアメリカ社会も、当然のことながらこの間大きく変化しています。

国内だけをみても、金融危機、パンデミック、一向に止まる気配のない住宅価格と大学授業料の高騰、ホームレス危機、オピオイド過剰摂取の深刻な広がり、気候危機によって加速する災害の頻発、銃乱射事件(規模も頻度も増加し、学校での事件も止まらない)、トランプによる(彼が原因というより、彼が加速させた)社会の分断、難民に対する非人道的な扱いなどなど、深刻な社会問題は枚挙に暇がありません。

その一方で、大金持ちを中心にした「好景気」も続き、社会としてこれ以上広げることが可能なのかと問いたくなるところまで貧富の差が広がり続けています。

今回私が滞在することになったオレゴン州のポートランドは西海岸(しかもかなり北の方)にあり、同じアメリカでも、私が以前暮らしたオハイオ(米国中西部)とは文化や政治状況がずいぶん異なっています。スウィング・ステイトと呼ばれ、大統領選の度に民主党と共和党支持が拮抗するオハイオと、民主党支持者が多く、「リベラル」「プログレッシブ」と評されることの多いオレゴン。この地域性の違いと、14年ほどの間に起こったアメリカ社会の変化にも注目しながら、私なりの記録をつけていきたいと思います。

一度はすっかり嫌気が差して、アメリカを離れることにしましたが、強大な軍事力と金融、文化の力で相変わらず覇権国家として世界に君臨するアメリカの影響力から目を背けることはできないのだと、アメリカを離れて以降思い知らされています(今は仕事の一部にもなりましたし。汗)。

そして何より、そのモンスターのような国家の内部で、より良い社会を目指して闘い続ける人々がいること、その生き様や闘い方、彼らとの出会いを通じて得られた貴重な学びについて、細々とでも書き残し、それらをまた大学での授業や研究に活かしていきたいと思います。

フェンタニルの洗礼

サバティカルの開始後はしばらく各地を転々としていましたが、先日ようやくポートランドに落ち着きました。

これだけで致死量と言われるフェンタニルの過剰摂取が広がっています

その初日、噂には聞いていたフェンタニル過剰摂取危機(fentanyl、こちらでは「フェンタノール」と発音している)の洗礼を浴びることになりました。このことについては、次のnoteで詳しく書いてみようと思います。

chao!

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