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サプライズと傘と手紙と

子どもの心に寄り添う活動がしたいと思って、何気なく始めた小学校の支援員活動。

子どもたちと心を通わせていく過程、子どもたちと笑い合う時間、子どもたちの成長を本人や先生方、保護者の方と共に喜び合う瞬間が大好きで、気がつけば10年の歳月が流れていました。

出会った子どもたちとの日々は、私にとって大切な宝物です。始めた当初は、こんなに素晴らしい体験が待っているとは想像もしていませんでした。

そんな支援員活動になぜ区切りをつけようと思ったのか。

実は、昨年の3月頃に「支援員としてもう十分に経験をして、お腹がいっぱい」という感覚が来ていました。

どこで区切りをつけるのか。

色々と迷った挙句、最終的には今年の3月で辞める決心をしました。
年度途中のこの時期に辞めることになった理由は、個別支援級を担当されていたベテランの先生が思いがけず教育委員会に異動になったことが関係しています。

2人担任制のこのクラスには若手の先生が一人残り、異動される先生の代わりに入るのは、育休明けの女性教諭。久しぶりの現場に加えて、小さいお子さんが3人いる状況でした。
そこで、新体制が整うまでの3ヶ月間、学校に残ることにしました。育休明けの先生とは、以前、仕事をご一緒したことがあり、もう一度一緒に仕事をしたいという気持ちもありました。


出勤最終日の6月29日、
私が入っている個別支援級の先生方と子どもたちが、私に内緒でサプライズありがとうパーティーを開いてくれました。

そこに、出勤日ではなかった支援員仲間のNさんも駆けつけてくれました。

プログラムの中に思い出を振り返るという場面があって、スライドショーが流れました。なんと担任の先生が、活動記録のために撮影されたたくさんの写真の中から、私が子どもたちと写っているものを選んでスライドショーにしてくれたのです。

スライドが流れ始めた瞬間から涙があふれてきて、止まらなくなりました。そこには子どもたちと一緒に笑っている私がたくさんいて、

ああ、楽しかったなあ
私、よく頑張ってきたなあ
幸せな日々だったなあ

そんな思いが湧き上がってきました。

子どもたちからお手紙のプレゼントをもらい、私から一言話すことになりました。

10年間、学校のお手伝いをしてきたこと、
みんなと過ごした時間が私の宝物になったということ、
みんなのことが大好きだから会えなくなるのは淋しいと思っていること、
会えなくてもずっと応援しているということ
を泣き笑い顔で伝えました。

「ほかの学校に行っちゃうの?」
と聞かれたので、
ほかの学校に行くのでなくて、去年から書く仕事を始めていて、それをやっていきたいと思っていること、好きでやっていたインタビューを学校(講座)で学んで、それを仕事にしていることを話しました。

粘土が好きな子、
工作が好きな子、
塗り絵が好きな子、
図鑑を見るのが好きな子、
パズルが好きな子、
走るのが好きな子。

色んな子がこのクラスにはいて、それぞれの「好き」を大切にしてほしいと伝えました。

年度の途中ということもあり、そっと辞めていこうと思っていたのですが、どうやら校長先生がその日の朝の職員会議で私のことを発表して下さったようで、廊下や職員室ではたくさんの教職員の方に声をかけていただきました。


皆さんに温かく見送られながら学校をあとにしたのに、帰宅してから学校に傘を置き忘れたことに気づきます。

あらら、やっちゃった。

ちょっと面倒だったけれど、お気に入りの傘だったので後日取りに行くことに。

そこで、学校に行くのであれば、出勤最終日に私にお手紙をくださったS君のお母様に手紙を書こう!と思い至りました。小3のS君とは一般級から個別支援級に移行する過渡期を共にしたこともあり、思い出深い少年でした。

3月にnoteに書いていたS君の物語を加筆修正して手紙を書きました。こういった手紙を書くときはいつもそうですが、思いがあふれてきて泣きそうになります。S君の物語を個別支援級の先生方や校長先生にも読んでいただきたいと思い、先生方には手紙のコピーをお渡しすることにしました。

昼休みに手紙を届けに行くと、R君が私を見つけて駆け寄ってきました。私が傘を忘れたことで、出勤最終日に風邪でお休みしていたR君に再会!

嬉しくて思わずR君をハグして、しばらくおしゃべりを楽しみました。その間に私の手紙を読んでくださった担任の先生方が感想を寄せてくれました。

一人は育休明けで、今年度復帰されたばかりの先生。

「こんなことがあったんですね。まるで一人の人間のドラマを観ているようでした。私たち教員を見る池田先生の眼差しがとてもあたたかくて嬉しかったです」

「読みながら、こんなこともあったなあと思い出してウルウルしました。私が知らないエピソードもあって。S君のお母さん、お手紙を読んだら号泣しちゃうかもしれませんね」
と、2年間ご一緒した若手の先生。

こうやって書くことは、先生方へのエールにもなるんだと知りました。
書いてよかった。

ドラマよりもドラマチックなS君の成長の物語「学校が嫌いだった少年」、読んでいただけたら嬉しいです。


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