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「動画制作はマイホームを建てるのと同じだ」という話

こんにちは!動画ディレクターのいけだです。

変なタイトルだと思われました?すみません!でもいたって真面目な話です。

動画制作する際、いきなり編集から始める人っていますか?多分、そんなにいないでしょう。まずどんな動画を作りたいかをヒアリングし、企画やプランを立てて、台本作って、素材集めて、ベースが固まってから編集…という流れがほとんどです。

でもクライアント様によっては、「動画制作=編集が肝」だと思ってるケース、とても多いんです。もちろん編集はとても大事なのですが、企画や台本の重要性を認識されておらず、編集着手後に信じられないタイミングで信じられないような修正依頼が飛んでくる…というのは、残念ながらよくある話です。うう、涙とまらん。

それを食い止めるために、日々ディレクション業務に勤しむわけですが。実はよく悩むんです。ディレクションの重要性、台本や企画の重要性を理解していただくにはどうしたらいいか、と。

たくさんのやらかしを経て、ディレクターとして確立したスタンスが、今回のタイトルなんですね。

今回は、私の若かりし頃のやらかし体験談を元に、実際に実践しているクライアントへの動画の制作工程の説明の仕方をご紹介しています。修正地獄に巻き込まれる前に、自己防衛策のヒントになれば幸いです。

動画納品直前に起こったとある事件

以前、とある会社案内の動画制作ですごく困ったことがありました。

台本校了。絵コンテ校了。編集校了。さぁ今日のナレーション収録が終われば完成だ…!というタイミング。収録に立ち会われたクライアント(担当者の上司)からの発言で、事件は起きました。

「なんか思ったのと違う」

はいーーーーでたーーーーーディレクターが恐れる言葉ベスト5に間違いなくランクインするこの言葉。あるんです。どれだけ慎重に進行してても、最後にちゃぶ台返しを食らうことは…

特に多いのは、担当者レベルではOKだったけど、上にみせたらケッチン食らったというもの。分かります。担当者さんは一生懸命やってる。そして先方上司の「なんか文句つけるのが仕事だと思ってる感」も知っている。

だからこのクライアントさんには、台本の後に絵コンテ&動画コンテを出し、イメージをしっかり握りながら進行していたはずなのに…なんで…ブツブツ…

愚痴はさておき、「違う」と言われたものを納品することはできません。収録は中断。部屋を移動し、クライアント上司に「どのあたりが違いますか?」とヒアリングしました。

すると…

「あの商材の話が入っていない」
「あれも入れたい」
「これもいれたい」
「それも」
「これも」

ちょっとまってちょっとまて。なんで今更言うの?ねぇなんで?当初決めたコンセプトや要素からめちゃくちゃずれてるよ?

…という言葉をぐっと飲みこみ、一通り要望を伺った後で尋ねました。

「動画制作前に必ず台本をご提出しております。台本は校了いただいておりましたし、途中で必要に応じて確認フェーズも設けておりましたが、そちらはご確認いただきましたよね?」

と。

だって台本の表紙に、校了済のハンコ押してあるんだもん。この上司の印鑑も押してあるんだもん。

「いや、読んだけど。動画になってからでも直せるでしょ?デジタルなんだし。」

ァアアアアアアアァアアアァアアアアアア/(^o^)\ァアアアアアアアァアアアァアアアアアア

ちゃぶ台返しの悲劇の原因は?

この事件が起こったのは私がまだディレクター歴2年目のこと。まだまだ若くて経験も浅いペーペーです。

なんでこんな悲劇が起こってしまったのか、いろいろ原因を考えていました。

いきついた結論は、大きく次の3つ。

1:クライアントが動画の完成形をイメージできていなかった
2:動画=デジタル=あとで簡単に修正できると思っていた
3:企画や台本の重要性を理解していなかった

うーん、どれもやっているようで、やっていなかった。たとえば台本を提出したとして、「これを元に編集をしていくので、内容に過不足はないか、順番はこれでいいかなど、しっかり見てくださいね。」といった、何をどうしてほしいのかの説明が足りていなかったかもしれない。

そもそもこのクライアント、動画制作には不慣れだったではないか。

そう、結局は説明が足りなかった故に起きた悲劇です。相手の知識レベルまでしゃがんで説明することが大切なのに、自分基準で話をしていた。ディレクターとしての未熟さを思い知り、恥ずかしなりました。

クライアントに制作工程を分かりやすく説明するには?

さて原因は分かった。

では、これらをクライアントに正しく分かりやすく理解いただくにはどう説明すればいいか。これが難しい…。

特に、動画やWEBなどのデジタルコンテンツって、確かに後からでも修正はできるし。納品物以外のモノにお金(工数)がかかっていることを、どうやって分かっていただけばよいのだろう…

いろいろと悩みに悩んだ結果、私は「動画はマイホームを建てることと同じなんです」という話をしています。

我ながら、この表現はすごく的を射ていると思っています。特にクリエイティブに慣れていないクライアントさんには「分かりやすい」とよく言っていただけます。

実際にこんなことを話しています、というポイントをご紹介します。

動画制作とマイホームは工程がほぼ同じ

動画制作というと難しいかもしれませんが、マイホームを建てるイメージをしてみてください。作るものは違えど、工程は同じです。

家を建てるとき、いきなり大工さんを集めてきて工事をはじめる、なんてことはありえませんよね?まずは業者選定などを含めたプラン検討から入ります。その後、実現したい夢や要望を伝えて設計図を作り、ベースを固めて必要な原材料を調達してから、はじめて着工に入る。動画でも同じなんです。

各工程が、動画制作においてどういう段階なのかを比較してみます。

【ステップ1】プラン検討
・どの施工会社に頼むか=どこの制作会社に頼むか(大手かベンチャーかフリーランスか、など)
・どこに建てるか=どこに動画を置くか(LPに置く、広告に使う、オフラインで使う、など)
・どんな家を建てたいか=どんな動画が作りたいか(アニメ動画、実写、集客向け、営業ツール用、コーポレートなど)
・予算を決める(出来る限り安くか、50万か、100万か、予算よりクオリティ重視か、など)

などです。

これらが決まったら、さらにプランを練っていきます。

【ステップ2】プランの練り上げ
・設計士さんに「どんな家にしたいか」要望を伝える=ディレクターに「どんな動画にしたいか」要望を伝える(集客できる動画、営業の説明が楽になる動画、WEBマーケのクロージングに使いたい、など)
・設計図を作成=台本を作成
・設計図を元に話し合い=台本を元に話し合い
・設計図確定、間取り決定=台本確定・構成確定
(これを元に以降の工程が進んでいくため、確定以降は内容がブレるような大きな変更はできない)
・壁紙や水回りなどの細かい設備を決定=アニメのキャラの雰囲気、色使いなどを決定

この間に、あらゆる方法で完成形のイメージを膨らませ、共通イメージを持つことが大事です。

マイホームなら、たとえば水回りや壁紙のメーカーのショールームを回って実物をみてみますよね。最近では不動産側から、3DやVRなどの技術を使って完成予想図をよりリアルに体感したりするサービスもやってます。

動画なら、他社を含めた参考事例をお出しして、完成形のイメージに近い感覚をチューニングしていきます。絵コンテや動画コンテなどは、クライアントと制作側で「共通イメージ」を持つために作るものなんです。

こうして土台を固め、共通イメージが持てたところで、はじめて制作に取り掛かります。

【ステップ3】制作
・備品や原材料などの手配調達=素材の収集と整理(必要なイラストや実写カットなど)
・平行して工事=揃ったところから編集、制作
・不明点あれば随時質問
・施主主確認=最終確認

これらの工程を経てマイホームは「引渡し完了」。動画ならば「納品完了」となります。

マイホームの場合、設計図を元に工事を進めますね。工事が進んだ段階で「平屋だったけどやっぱ3階建てにしたい!」「トイレの数を3つに増やしたい!」といった、設計図から大きく変わる変更はできません。(厳密にはできないことはないんでしょうが、プランを練り直す工数はかかるし、工事を止めてる間も人件費はかかるし、工事やり直しの工数も余分にかかる)

動画も同じです。「YouTubeで使う横動画のつもりだったけど、やっぱインスタで使うから縦がいい!」とか、「台本では訴求ポイント1つだったけど、やっぱ3つにしたい!」とか、大きな変更はできないのです。台本を作り直す工数はかかるし、その間クリエイターは作業できずの止まったまま。「御社のためにあけておいたリソースなんですが、その分の費用、ご負担いただけますか?」って話です。

そして完成に近づくにつれ、対応できる変更はどんどん限られていきます。予算に合わせてプランを練り、原材料の調達や工事の工数を決めています。だから基本的には「前回手直しを承った部分が直っているか確認」レベルになっていくのです。「便器T●TOにしたくて購入してもらったけど、やっぱりL●XILに変える!納品してもらうのはL●XILだけなんだからT●TOの費用は払わないよ!水回りの設計は一緒でしょ?」なんて理屈は許されないですよね。T●TOの購入費はもちろん、それを設置する工数もかかっているんですから。

動画に置き換えると、こんな感じ。「横向き動画作ってもらったけど、縦向きにしてほしい!横向きの動画費用は払わないよ!使う素材は同じでしょ?」なんて理屈は通りません。横向き動画の作成のために、すでに工数はかかっているんですから。(ていうか横から縦だとレイアウトめっちゃ変えなあかんから大変なんですよ、載せられる情報にも限りがあるから、台本からやり直しだし。)

でも、設備の購入前であれば「壁紙の色変える」「コンセント1つ増やす」くらいは間に合うかもしれない。動画も同じで、まだ素材を集めている段階なら「文字テロップを追加する」「背景の色を変える」といった修正はできるかもしれない…。ディレクターがクライアントに言う「相談してね」とは、「なんでもいうこと聞きますよ」であってはならない。「段階によってはできることもあるかもしれない、確認してみるから相談してね。」という意味なのです。

クライアントに絶対理解してもらうべきことは何か?

動画制作の工程イメージは持ってもらったところで、ここからが本質。クライアントさんに理解いただくべきところです。

動画の企画とは、マイホームのプランニングと一緒。動画制作における台本とは、すなわち設計図。だから企画や台本って大事だし、プランニングの段階でクライアントにしっかり共有イメージを持っていただくことが重要なのです。

そしていくらデジタルだからといって、完成に向かって制作進める中で、台本になかった要素をアレコレと追加や変更はできません。なぜなら予算内に収まるように台本書き、それをベースに工数を想定しているから。待機や巻き戻りの工数は原則含んでいないのです。(やり直ししまくることを見越して最初から見積り作るとすれば、結構な金額になります。期間中、クリエイターをまるっと押さえておく必要があるんですから)

とは言っても、制作途中で大工事が必要になる場合もある。どうしてもやるなら、プランニングしなおす分とクリエイターを待たせる分の費用、お支払いいただけるなら検討します。そしてクリエイターを止める分、納期は配慮いただきます。

…というのが模範解答になりますが、実際のところ、この部分の費用をもらうことはなかなか難しい…(チキン。ごめんクリエイターさん。)

なので今は、「台本からの大きな変更は難しい」ということを最初の段階から話すようにしています。せっかく依頼くださるクライアントに対して、あまり「できないこと」を述べるのは良くないと言われますが、できないものはできないんだもの。

そして台本や絵コンテなど、各段階できちんと「校了」をもらい、以降は変更不可だとお伝えする。それでも変更するならお金。お金で解決できないなら、せめて納期の譲歩。

それもダメなら…もうディレクターは誠心誠意交渉し、クリエイターさんに頭を下げる。そしてそのクライアントとは継続しない。結局これしかないのがもどかしいですが…なんだか書いててむなしくなってきた

まとめ

話は戻り、冒頭でお話した「ちゃぶ台返しの悲劇」の原因をおさらいです。

1:クライアントが動画の完成形をイメージできていなかった
2:動画=デジタル=あとで簡単に修正できると思っていた
3:企画や台本の重要性を理解していなかった

これら3つのポイントを解消できる方法として、私は「マイホームを建てるように動画を作りましょう」と説明しています。クライアント様に納得いただくためには、これが一番分かりやすいと思ってます。

「こんなふうに話してるよ!」とか「過去こんなちゃぶ台返しくらったんだよね…」という経験お持ちの方は、ぜひコメントで教えてくださいね◎

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