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ぼくらのなつ。 Part 2

僕らは練習を重ね遂に4年生になった。4年生になると、初めて試合ができるようになるのだ。

当時は6年生以下をA、5年生以下をB、4年生以外をCとして振り分け、その記号同士で試合をする形式が、僕の地域では取られていた。

4年生なりたての頃、初めての試合をした。小学生には広すぎるだろと思わずツッコむくらい広かった。あの初めて球場に足を踏み入れた情景は感動のあまり今でも思い出せるくらいだ。

試合が始まる前の練習、ミーティング。全てが初めての体験で、僕の心臓は鼓動が高鳴り、もう待ち切れなかった。早く体を動かしたかった。

試合が始まった。正直、深くは覚えていない。だが、僕らは強かった。それも圧倒的に。試合はスコアは覚えていないが楽勝だったのは覚えている。

それもそのはず。翔は4年生なのに、6年生と遜色なく野球できるくらいには上手で、4年生なんか敵じゃなかった。

誰も翔の投げた玉をバットに当てられなかった。誰も翔の振ったバットを空振らせることは出来なかった。

そんな翔の姿は幼き私にとってはスーパーマン。ヒーロー。正義の味方。何があろうと助けてくれる。自分の味方をしてくれる。最強だった。

試合に勝った僕らは笑顔で満ちていた。翔含めて僕らチームメイトは誰もが生涯一幸せな顔をしていたことだろうと思う。

その勝った後、皆で記念写真を撮った。その写真は今でも持っているのだが、どの写真よりも皆の笑顔が弾けていた。

今思い返せば小学生時代の野球チームでは楽しいことだらけで今でも思い出だけでご飯が食べれるけれど、1番楽しかった、イキイキしていたのはこの瞬間かもしれない。

4年生ながら初勝利した僕らは、その後も試合があっては勝つ。試合があっては勝つ。そんな繰り返しで、僕らは自信に満ち溢れていた。特に、僕にとって、みんなにとって、翔は僕らの自慢のヒーローだったんだ。

次章に続く

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