拓郎の東京 ~地名が出てくる吉田拓郎の唄~(7)
松本隆の詞にも地名が出てくる。(松本隆といえば筆者の中では寺尾聰の「ルビーの指環」、松田聖子のイメージ。)
水無し川(1976)
→「水無し川」
日本に水無川は複数あるが、「冬将軍」や「流氷」というからには北海道にある水無川を指しているのだろう。恋人を残して北の国から上京する、の情景だろうか。
旅立てジャック(1978)
→「横浜港」「本牧」「二ホン」
ジャックは外国人の船乗りが横浜の女に産ませた子のようである。
白い部屋(1981)
→「横須賀」
神奈川県が続く。
横須賀には米国の海軍基地がありますな。ミッドウェーとは航空母艦の名称だろう。(1991年に退役し、現在ではカリフォルニア州サンディエゴで博物館(USS Midway Museum)になっているという。)
でもそんなこと、この倖せな白い部屋の中にいる君とぼくには関係ねえ。
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ここから先は拓郎の詞。
大阪行きは何番ホーム(1984)
→「東京駅」「大阪」
これは昔走っていた大阪行きの特急列車を指しているのだろうか? 東海道新幹線のホームでは感じが出ないし……。
吉田町の唄(1992)
→(歌詞には地名が出てこない)
拓郎が、新潟県吉田町の求めに応えて作った曲。現在は燕市。
当地の吉田ふれあい広場公園には歌碑があるらしい。
この国JAPAN(1996)
→「JAPAN」
詞は石原信一。森昌子の「越冬つばめ」などで有名。
私は詞・石原信一、曲・吉田拓郎の組み合わせの作品は嫌いでないが、拓郎のレコーディング合宿でロスアンゼルスのコンドミニアムにメンバーが泊まっていた時に、酔いにまかせて石原がギターの弾き語りを始め、情感を込めて唱いあげた曲が井上陽水の「心もよう」だったため、一同を大いにシラケさせたという。(ラジオ番組『吉田拓郎のオールナイトニッポンGOLD』2021年6月11日)。
「日本」という括りでよければ他にも、「ふるさと」(1971)や「乱行」(1977)の歌詞にそれが出てくる。詞はいずれも吉田拓郎。
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最後は生まれ故郷との合わせ技でこちら。
季節の花(2009)
→「東京」「鹿児島」「東京的」
詞はもちろんTakuro Yoshida。
(次回に続く)
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