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子ども・子育て支援金制度はこうして始まった。#38 支援金制度が賃上げを阻害する、こういったことにはならない

(子ども・子育て支援金制度創設に係る国会審議の論点を整理しています。)

「若い世代の所得を増やす」ために、政府は「賃上げ」に取り組むと言う(こども未来戦略)。
 企業に対して「医療保険料の四から五%」の負担を新たに求めることは、「賃上げ」に影響しないだろうか。


日付:2024年4月16日
会議名:衆議院 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会
発言者:立憲民主党 藤岡隆雄
内閣総理大臣 岸田文雄

藤岡 さて、総理、子育て増税と言われる、医療保険に上乗せして徴収される支援金制度、これまで、この間の審議等、いろいろ通じまして、本当に情報開示は小出し、また不誠実、いわば詐欺的とも言える説明が続いてまいりました。
 その中で、総理、一点、まず最初に事業主の拠出の点ですね。総理は、支援金の拠出による企業への影響について、賃上げを抑制したり、非正規雇用を増加させるとは考えておりませんというふうに答弁をされております。しかし、どう見ても賃上げの原資となるものを事業主に拠出させるようなものでありますから、このやり方は賃上げブレーキを踏むことになるのではないですか。総理、いかがですか。
岸田 支援金については、実効ある少子化対策の推進、労働力の確保あるいは国内市場の維持の観点から、これはまず極めて重要な受益を企業にもたらすものであると考えています。
 こうしたことから、これまで社会保険制度において事業主が果たしてきた役割や取扱いも踏まえて、事業主にその一部を拠出していただく、このようにしたわけでありますが、歳出改革によって保険料負担の軽減効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度を構築する、このことによって実質的な負担を生じさせない、これは、事業主が拠出する分についても同様であります。
 この事業主拠出を求めることが賃金の引上げを阻害したり、あるいは非正規雇用の増加を促したりする、こういったことではないと考えておりますし、一方で、政府としましては、賃上げ促進税制を始め、あらゆる政策を動員して、中小企業を含めて企業における賃上げの促進を進めている、こういったことであります。結果として、この支援金制度が賃上げを阻害する、こういったことにはならないと考えております。

藤岡 賃上げの原資となるお金が、当然拠出をするわけですよね。その総理のおっしゃる、いわゆる実質負担ゼロの話も、この数字いじり的な分かりにくい説明に国民は辟易としていますよ。私、今、総理の説明、企業の、中小企業の経営者が聞いたら、もう怒る方がいらっしゃると思いますよ。どうして、事業主のところからお金が、負担して拠出していくのに、賃上げへの影響が、賃上げに対する抑制の効果がないと言い切れるんですか。これ、あるでしょう、総理。
岸田 冒頭申し上げたように、そもそも、事業主に対して御負担をお願いする、これは、少子化対策、これを実効あるものにしていくということは、事業主にとっても、労働力の確保、さらには、国内市場、これが維持されるということから考えて、大きな受益となるということがまず基本であります。
 こうした、企業にとっても少子化対策を抜本的に進めることが大きな意味があるということをまず申し上げた上で、こうした制度への協力をお願いしているわけですが、その協力とて、社会保険料負担の軽減効果の範囲内で御負担をいただくということでありますから、実質的な負担はないと申し上げています。
 そして、賃上げに影響があるのではないか、こういった点がありました。ですから、この取組とは別途、賃上げについては、政府が政策を総動員して賃上げを実現する、可処分所得を引き上げていく、こうした政策を進めています。結果として、企業においても賃上げを進めていくことができる環境をつくっていくということを申し上げている次第であります。
藤岡 もう全く納得できませんね。賃上げへの影響、それはあると思いますよ、私は。それを認めないというのは、本当にもう情けないと私は思います。


第1回こども未来戦略会議 議事録

発言者:十倉雅和 日本経済団体連合会会長

十倉 総理が掲げられた構造的な賃上げの意義は、賃金の引上げと国内投資の活性化が経済成長につながり、持続的に続く好循環を実現することで、若い世代が結婚、出産の希望をかなえやすくする明るい未来をつくることにあると考えます。まさに今年の賃金引上げは、この好循環実現の契機となるものであります。
 しかし、今ここで財源として社会保険料の負担を増やすことは、現役世代の可処分所得の減少に直結し、せっかくの賃金引上げの効果に水を差し、好循環の実現に待ったをかけるもので、賛成できません。むしろ、全世代が応能負担で支えるという観点も含め、中長期の視点から様々な税財源を組み合わせることが望ましいと考えます。

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井川夕慈
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