奥野他見男著『ハルピン夜話』 満州にロシア気分を味わえる旅行先があった。
Kindle電子書籍 奥野他見男著『ハルピン夜話』(初出1923年)より一部を抜粋して公開します。
あゝハルピンよ おゝ何という華やかな気分であろう。おゝ何という明るい晴れやかな気分であろう。私はこのハルピンが嬉しゅうてならぬ。胸がピョンピョン刎(は)ねあがる。血がワクワク躍ってくる。美しきかなハルピン。ハルピンは歌っている、輝いている。実(げ)に東洋の楽天地!
街から街へと、微笑みを双頬(そうきょう)に浮かばせながら、いとも快活に、楽しく歩み行くあの多くのロシア娘は、何