見出し画像

純セレブスピーカーでオーディオを組む!(音質向上のための作り方、アンプ、ケーブル、ユニット)

 こんにちは井川(twitter@ikawa611)です。

 現在一部の界隈で話題になっている純セレブスピーカーですが、安価な構成だとダイソーのスピーカーを解体してホームセンターなどで売っている赤白とかの安いスピーカーケーブルと中国メーカーの格安アンプで素晴らしい音が出てくる関係か、オーディオ機材に拘ってアンプやケーブルをしっかり選んでいく人が少なく、また良いオーディオ機材を買おうとしたときにどれにすればよいのか分からないという状態なので私がこれまで色々試した上での情報をまとめておこうと思います。

【最初に結論! 私の純セレブスピーカーオーディオ! ipad+2万円】
音楽プレイヤー ipadもしくはiphone (イヤホンジャックがついているもの)
アナログケーブル MOGAMI 2549 (2300円) 
アンプ Fostex ap-05 (3000円)
アンプの電源 iFi-Audio iPower(12V) (7500円)
                 +パナソニック3ピンから2ピン変換(500円)
スピーカーケーブル 0.5sqの普通の銅のより線 (100円)
スピーカー ダイソーユニット (300円)
エンクロージャー ルイヴィトンの箱 (2000円) 


【純セレブスピーカーって何】
 安冨歩さんと片岡祐介さんが2018年4月に発見した方法、ダンボール箱等の紙素材でできた箱に吸音材として多様な種類の紙ゴミを入れて作成するスピーカーが純セレブスピーカーです。変な音作りをせず素直な音が出て、また自分の感性に従って簡単に作ることができるのが魅力です。非常にシンプルかつ安価な作りですが、高級スピーカーを超える音が出ると言われています。

【純セレブスピーカーの理論】
 個人的にはとりあえずこの3つの動画に目を通しておくとよいと思います


偽りの人生を抜けて真実の人生を生きる方法〜他人からの押しつけから逃れてやりたい事をやる〜安冨東大教授と一月万冊清水有高対談
https://www.youtube.com/watch?v=K4ncarl0Mkk


【純セレブスピーカーの作り方】

【純セレブとは】
 純セレブとは『金銭の多少を問わず心が豊かである』です。世間からは貧乏人と思われていても本人が心の底から幸せならその人はセレブであり、世間からはセレブだと思われているお金持ち心が豊かでなければ、それは本当にセレブとは言えない。
そういった思想を体現したスピーカーなので「純セレブスピーカー」と命名されています。

【必要な機材、音が出るまでの経路】
① 音楽プレイヤー⇒(デジタルケーブル)⇒②DAC⇒(アナログケーブル)⇒③アンプ⇒(スピーカーケーブル)⇒④スピーカーユニット
簡単にするとこの経路で音の情報が伝達されます。

① 音楽プレイヤー
 音のデータを管理する部分です。身近なものだとスマホやタブレット、パソコン、CDプレイヤー、TVなどでしょうか。多くの場合DACが音楽プレイヤーの中に内蔵されています。この部分でどのような用途に純セレブスピーカーを利用できるか決まってきます。タブレットやパソコンを使えば自分の手持ちの音源を聴く以外にも、spotifyなどの音楽聞き放題サービスや、YoutubeやNetflixなどの動画を楽しむことができます。

② DAC(デジタル アナログ コンバーター)
 音楽プレイヤーから音楽データ(デジタル)を受け取り電気の波形(アナログ)変換(コンバート)します。①音楽プレイヤーに内蔵されていることが多く、例えばスマホのイヤホンジャックから音をとる場合は内蔵のDACで処理されています。内蔵のものをスルーして別にDACを用意してUSBケーブル等で接続して音を出すことも可能です。

③ アンプ
 DACから送られてくる電気信号だけではスピーカーを駆動するほどの力がないので、アンプで信号を増強します。

④ スピーカーユニット
 入力された電気信号の波形と大きさに応じて実際の音を発します。

純セレブスピーカーで音を出すには上記のもが必要となります。

【飽きのこない万能なスピーカーを作りたい】
 私としては家で鳴る音を全て1台の純セレブスピーカーでまかないたいという思いがあります。小音量大音量、また音楽を聴くにしても映画やアニメを見るにしても、ゲームをするにしてもです。そうなってくると癖の強いタイプの純セレブスピーカーではなくオーソドックスな音の純セレブスピーカーの製作を目指すことになります。またスピーカー製作あるあるかもしれませんが、作った当初は新鮮さが勝って良い音だと感じていてもしばらく経ったら不満点が出てきて、新しくスピーカーを製作しなければ満足できないという状態になりがちなので、それを回避して数年単位で不満なく使っていくためにも素直なスピーカーを作りたいです。

【シンプルで素直なものを集める、シンプルな構成にする】
 純セレブスピーカー本体までの経路で音に色付けをせず素直に伝えるのを目標とします。音を変に追い込んでいくわけではなく製作者の感性とその場の流れに任せて素直な音のスピーカーを作っていくという純セレブスピーカーの性質から考えると、音を追い込んでいないできる限りシンプルで素直なものを集めるのがよいと思う。複雑な構造で素直な音ですと宣伝するものもありますが、本当に素直かどうかが購入するまで分からないですし、シンプルかつ安価なもので素晴らしいものがあるのでこういったものは避けるのが無難でしょう。
 次に癖があるものを入れてしますとトータルでバランスをとるのがとても困難になります。例えばシステムのケーブルを1つ変えるだけで他の箇所のケーブルを変えたりしないといけなくなったりするということがあり得ます。
実際問題としては本当の意味で癖がゼロの機材やケーブルはないので機材の数やその間のケーブルが増えることは全体のバランスをとって素直な音にするのが非常に困難なってしまいます。困難どころか計算量の爆発が発生してしまい、永遠に答えにたどりつけないオーディオ地獄に落ちてしまうかもしれません(笑)。実際問題としてプラグですら音がコロコロ変わってしまい、機材の数が増えるとケーブルだけでなくプラグも増えてしまい、バランスの調整が難しくなります。よってある程度シンプルな構成(機材やケーブルの数が少ない)にするのが望ましいと考えます。

【スピーカーユニットはどんなのがよいか】
 色々な製作者が報告していますが、安価(シンプル)で軽いユニットが良いと思われます。重いユニットでは箱全体が重くなってしまい、箱全体がスピーカーとして豊かに鳴るという純セレブスピーカーの特徴が殺されてしまいます。またなぜ安価なものが良いかというと高価なものはユニットそれぞれの特徴が強く出てしまい素直さが下がるからです。私自身も高価なユニットをいくつか試しましたが結局安価なもののなかで優秀なものを選んだ方が構造がシンプルで素直な良い音が鳴るなという結論に至りました。

【電源、ケーブル、プラグでも音が変わります】
 オーディオに興味がない人は意味が分からないかもしれませんが音が変わります。
 電源に関して壁コンセントは基本的に100Vで電気が来ています。それをそれぞれの機材に対して適切なで電圧に変換していく必要があり、その変換の上手さでオーディオ機材の動作の安定性が変わり音も変わっていきます。そして安価なオーディオ機材に付属のACアダプターもしくは内蔵のものはスイッチング方式というあまり品質の良くないものがついています。もう少し品質のよいものとしてトランス方式やその他電源の品質をよくするためのありとあらゆる方法論があります。
 私が考えるベストな方法は機材が必要とする電圧のバッテリーや電池を用意し、それを電源として使用することです。まず変換をする必要がないのでそこでの電源の品質の劣化がなく、発電から実際に機材に電気が届くまでの経路が壁コンセントを使用場合に比べて圧倒的に短距離であるので電源ケーブルなどによる色付けが少なく、素直さや音質面でも有利です。高級なアンプではいくら超高級バッテリーを用意してもアンプの内臓トランスで変圧するのでメリットを活かしきれない、なので省電力なアンプの特権という面があります。
 また各種ケーブル類の中を電気信号が通ることでそのケーブルの特性が音に影響を与えます。私が良いと思うのは「帯電しない被膜の銅の単線」です。小さい線を何本も束ねたものをより線と言い、一本の線のみの物を単線と言います。構造的に単純な単線が音に変な色付けをせず素直だろうという考え方です。またケーブルの被膜に静電気がたまることで音を濁らせる要因になってしまうので帯電しないコットンなど被膜が良いです。
 そしてプラグ内部も電気を通るため、プラグによっても音が変化します。
ケーブルなしでは機材をつなぐための距離を稼ぐことができませんからケーブルをなくすことができませんが、実はプラグはほぼゼロにすることが可能です。『オーディオ機材の電子基板にケーブルを直接はんだ付けする』という方法です。これによってケーブル側のプラグとオーディオ機材側のプラグをなくすことができます。

 実際に上記の方法論を私自身実践したことがあります。

画像1

 これは内部の配線まで含めてすべてのケーブルを帯電しない被膜の銅の単線に変更し、それをすべてアンプの基盤に直接はんだ付けしています。またアンプを電池で駆動することで理想的な電源にしたものです。またアンプ内部の部品も一部変更しています。以下に改造の詳細を解説した動画を張っておきます。この動画は帯電しない被膜の単線には交換していないときのものになります。

これは素晴らしい音がするのですが、私自身は利便性の都合上で今は使っていません。ただしこういった事情を自分自身で体験しているので、「音質第一」でシステムを作るときは上記のものを作ろうと思っていて、「利便性重視」のときはある程度のケーブルなどを拘って選びはしますが、お金を出しまくって史上最強のものを探そうとはしない方針をにしています。

【音楽プレイヤーを選ぶ!】
 私がおすすめするプレイヤーはiPad (イヤホンジャックの付いているモデル)です。利便性の観点からiPad をおすすめはしますが、iPod iPhone MacBook のイヤホンジャックの付いているものであれば音質的な事情はほぼ同じだと思います。旧式のiPhoneであればメルカリなどで安価に入手可能です。

 これらのapple製品はバッテリーで動いているという点でオーディオ的にも電源としては理想的です。またイヤホンジャックからの音が個人的には素晴らしいと思っていて、オーディオとして耐えられるレベルの品質かつ現在のdacなどとは少し傾向が違い超高音や超低音の解像度を上げるというよりは中域をしっかり自然に出す傾向でこれは純セレブスピーカーと相性が良いと思います。また外付けdacを導入すると電源の取り方や機材同士繋ぐケーブルが必要になってきますので私の目指す形から遠ざかるので導入を見送ります。実際dacを導入したこともあるのですが、あまり良いと思えなかったということもあります。
 またAndroid スマホやWindows PCも試しましたが、品質があまりよくないものが多くapple製品を超えるものがありませんでした。高級音楽プレイヤーも試したりしましたが癖が強いものが多く、あまり純セレブスピーカーには合わない気がします。実際先日友人がfiio x5 3rdという旧世代の機種ですが5万円クラスの音楽プレイヤーをたまたま持った状態で私の家に来たのですが、そのプレイヤーはラインアウト(ヘッドホン回路をスルーしてアンプにアナログ信号を送る)の品質が高いという評判で私の純セレブスピーカーオーディオにつないでみると、10秒くらい音楽を流しただけで友人が「これめっちゃ音悪くない?。ipadの方がええやん」と言っていました。端末としてどちら優秀かは知りませんが、apple製品の音の傾向は純セレブスピーカーと相性が良いことが予想されます。

プロケーブルのipodに関する記事になります。これが正しいかどうかは別としてipod系列はオーディオにも使える次元であるということはわかると思います。

 これらの端末はどのタイミングで完全なバッテリー駆動とコンセントからの充電からの影響を受けた音の切り替えがされているのかは不明ですが、充電後は再起動をするとよいと思います。

【ipadと月額サービスで世界中の音楽と映画を楽しむ】
 音質以外の面でもipadをオススメしている理由があります。現在spotifyなどの音楽聞き放題サービスやnetflixのような動画見放題サービスが月額1000円程度で楽しむことができます。こういったサービスを気軽に楽しむことができる端末としてipadがオススメだからです。これらサービスを活用して純セレブスピーカーと繋ぐと家が世界中の音楽が聴けるオーディオルームになったり、世界中の映画、アニメ、ドラマが楽しめる映画館になります。
 中国製のアンプの発展と純セレブスピーカーの発見によって機材が安価になり、サブスクリプションの時代のおかげでコンテンツも格安になったので誰でも家の中で豊かに様々なコンテンツを楽しむことができるようになったのでとてもオススメです。


【アンプを選ぶ!】
〈謎の女声アンプ〉

ダイソーユニットを使う場合にオススメされるよくオススメされるアンプです。3000円程度というとても安価な値段であり、ACアダプターやラインケーブルが付属しており、bluetoothでも使用可能という多機能性から非常に優れたアンプです。私自身最近までこのアンプを「コスパがよいだけ」という評価をしていましたが、実際に色々試してみると「良い意味で特徴のない素直なアンプ」であると分かりました。高級ユニットで作成した純セレブスピーカーを鳴らすには多少役不足かもしれませんが、ダイソーなどの安価で素直なユニットを鳴らす場合この手のとても安価でシンプルなアンプがよいと感じています。逆に少し高いアンプとダイソーユニットを組み合わせると少し違和感のあるような音だと感じる場合があります。

このアンプの弱点として付属品のラインケーブルの品質がとても悪いという点があげられます。有線で使用する場合は電気屋などで売っている安物でもよいので交換することがオススメです。個人的なおすすめは「モガミ2549」というケーブルで本記事内でも解説しています。

またこの手の安いアンプはユーザーが安いからという理由で軽視しているせいか、ケーブルや電源、プラグなどの交換で本来の力を出す前に諦められ、高価なアンプに交換されてしまうということになりがちです。しかし、この手の安価で素直なアンプは電源などをある程度クリーンなものにしてやると、驚くべき素直できれいな音のする純セレブスピーカーにピッタリなアンプになります。

〈Fostex ap-05〉

現在私がダイソーユニットの純セレブスピーカーと組み合わせて使っているアンプです。このアンプは安価なものの中ではめずらしく「アナログアンプ」なので他の安価なデジタルアンプとは音の傾向が違います。また出力も5Wでダイソーユニットで音を出す音量とのバランスがよく、安価かつ小型のシンプルなアンプであるが故に変な音作りがされていないので純セレブスピーカーに向いていると考えられます。ただしこのアンプはダイソーとの組み合わせではとても良い音を出すのですが、出力が小さいため他の大型ユニットや高級なユニットには向かないと思われます。


【電源強化】

謎のアンプやFostex ap-05の標準の電源はスイッチング電源ですので品質はあまりよくありませんが、12vでの駆動が可能なのでifi audioというメーカーのacアダプターで駆動できるという利点がありますので、予算に余裕のある方はこちらの電源を購入するのがオススメです。付属品などの安価なACアダプターはコンセントの100Vの電源を12Vに変圧するときノイズ(これが音質低下の一つの原因)が発生します。こちらのifi audioの電源はそのノイズを除去するような構造になっているため音質的に有利です。

 こちらの電源を使用する場合の注意点がありまして、日本のコンセントと極性が逆なのでコンセント工事の段階でミスしていないのであれば基本的に逆向きに刺して極性が合うはずです。

画像3


 ほかにもヤフオクなどで個人製作と思われるトランス電源が販売されているのを見ます。ただ値段が高かったり、物理的に大きかったりしてあまり魅力を感じないのと、そこまでやるのならば私は電池駆動を採用するなあという理由で購入していません。


 また電源のプラグにメッキ加工がされていると高音が歪に上昇したり、中低域が薄くなったりと様々な問題が発生します。

 まず簡単な方法としてハサミ等で表面のみですがメッキを剥ぐことです。

アンプに入力するdcプラグのみではなくコンセント部分もこの処理をします。これで幾分かメッキによる悪影響がましになります。

 またコンセントと電源の間に以下の物を挟むのがオススメです

こちらを挟むと接点自体は増えるのですが、非メッキの部分を増やして相対的にバランスをとることができます。たいてい安価なアンプを使う場合はメッキの量を減らそうと頑張ってもどうしてもメッキの悪影響が残ってしますのでこういったものでバランスがとれると思われます。
こちらはホームセンターなどで500円程度で購入することができるので1つ買って試すのをオススメします。

〈dayton dta-120a〉

 こちらのアンプがもう一つオススメされている高価な方のアンプになります。私自身このアンプを長いこと使用していた期間がありまして、特徴としては純セレブスピーカーで使うユニットなら何でもしっかり鳴らせて、アンプが足を引っ張ることがなく、素直な音ということでしょう。また卓上に置ける小型サイズなので使いやすいという面もあります。こちらのアンプも最近bluetoothが搭載されたものに変更され、apt-xという比較的高音質な伝達方式が採用されているので、プレイヤー側がapt-xに対応しているのであれば無線で楽しむのも十分ありだと思います。
 このアンプをオススメできる人は「大型ユニットで作る方」「様々なユニットで試作したい方」でしょう。ステレオミニの入力端子が前面についているのでとても使いやすいと思います。しかし個人的にはダイソーユニットなどの安価ユニットを使用する場合や、アンプの電池駆動などでクリーンな電源を供給できる場合には安価なデジタルアンプとの差をあまり感じない、むしろ高級な分だけ構造が複雑になり音がシンプルではない点がデメリットになってくる側面もあると感じています。

このアンプの音を良くする方法は、まずはメッキの被害を軽減するため非メッキのメガネケーブルに交換することでしょう。

またこのアンプはスイッチング電源のacアダプターを使っている関係上電源にノイズが載っていますのでノイズキャンセラーを間に挟むのも効果的です。

私自身この商品を購入して使ったことがありますして、中々効果的でした。
また安価なものもNFJから販売せれていまして、私自身は購入したことはないのですがある程度の効果があるかもしれません。


< Topping デジタルアンプ TP60〉

こちらはトランス電源を内蔵したデジタルアンプになります。私はこのアンプを購入したことはありませんが、daytonのものよりも電源の品質がたかいのでこちらの方が音が良い可能性は高いです。電源ケーブルも様々なものに交換が可能になっています。

〈その他のアンプ〉
まだまだ良いものはたくさんあると思いますが、小型のもので選ぶのであれば上記のものがメインになってくると思います。
アンプが大型になってもよいという人は選択肢が広がりますが、私自身は純セレブスピーカーに使用するユニットに対して大型のものは不要だと思っています。そこまで拘ってアンプを選ぶのであれば、バッテリー駆動(電池駆動)できるだけ小型なものを使うのが音的には良いと思われます。私自身この方針でアンプを選んだ時はlp-v3sという2000円以下のアナログアンプを魔改造するのがベストという結論になりました。私の過去のツイートを遡ってもらえると色々このアンプについての情報が出てくるはずです。またこれに関しては本記事の【電源、ケーブル、プラグでも音が変わります】の欄でも詳しく解説しています。


【スピーカーユニットを選ぶ!】
スピーカーユニットに関しては本当に星の数ほどありまして何が良いのかなどは簡単にはわかりません。手始めとして安価である程度定番化しているユニットを使用していくつか純セレブスピーカーを試作して自分の好みのサイズ、小型か大型どちらの方向で行くか決めるのが良いと思います。ここでは安価で定番化しているものを2種類紹介したいと思います。

・ダイソーユニット(5cm)

もはや「純セレブスピーカーといったらこれ」というレベルで浸透しているユニット。片岡さんが販売する純セレブスピーカーキットなどにも採用されているユニットで私自身もとても気に入って使っています。

・NFJ ファイバーコーン&ウレタンエッジ(10cm)

いとうじゅんさんが発見して気に入って使われているユニットです。かなり安価ですが、純セレブスピーカー向きの比較的軽いユニットです。

 私としてはこの2つはかなり安価なので、これらスピーカーを試作して小型大型の違いを体感して、どのくらいの大きさで作っていくか決めてからユニット選びを始めるとよいと思います。しかしこの2つのユニットは様々なユニットを試した人間が最終的にこれらのユニットに落ち着いているということもありますので、高価なユニットを買ってもこれらより微妙な結果になるということもあり得ます。いくつかユニットを販売しているサイトのリンクやほかの入手方法を張っておきますのでこの中から自分の感性を信じて選ぶのが良いと思います。

・既製品のスピーカーを解体
・メルカリ、ヤフオクなどで入手

【ダイソーユニットについて】
  私自身は現在ダイソーユニットを使っていますので、このユニットについて少し触れておきたいと思います。
 まず私が小型のユニットを好んでいる理由としては、音に対する反応が良いことです。大型のものだとユニット全体を動かして制動していくのが難しく、ユニット全体を鳴らすのに時間がかかってしまうため小型のものに比べると音が若干遅いような感覚があるためです。また大型のものだと音量をそれなりに上げないと本領を発揮しないので深夜などの音量が出せない場合に使いずらいです。小型のものは小音量でも良い音で聴くことが可能であり、また純セレブスピーカーの箱全体がスピーカー化するという特性上小型のユニットであってもかなりの迫力が出るため、自分の使用環境上小型でも十分すぎるほど部屋が音で満たされます。そのため小音量でも真価を発揮し、音量を上げればそのサイズからは想像がつかないほどの臨場感が出るため、小は大を兼ねる万能感があります。また物理的小さいとスペースをとらないですし、良い意味で所有感がなく、使用するにも気軽でよいです。  
 ではなぜダイソーのユニットを使っているのかというと、これまで何回も書いていますが安価でシンプルな構造なので音が素直なのです。値段の高いものだと特定の音楽は良いけど、違和感もあるなあという感じだったのでそれは自分の理想と違っているため採用していません。
 ダイソーユニットを入れる箱ですがユニット単体ではしょぼい音しか出ず、純セレブスピーカーの箱全体がスピーカー化するという現象を活用していくタイプですので箱選びがかなり重要になってくると思います。
 ではどのような箱が良いのか。まず、ダイソーユニットを上向きで箱に乗せる形で固定する前提で選ぶのがよいと思います。安価で軽いユニットは「高音はかなり出るが、低音が出ない」というありがちな特性があります。そのためユニットを自分の耳に向けて聴くと高音が痛いが低音が聞こえないというバランスになってしまう可能性が高いです。そこで上向きにすることで高音を上に逃がし、またスピーカーの前面や、背面、側面がユニットからの音で豊かに鳴ることで視聴する我々の方向に豊かな中低域が届くというバランスに調整することが可能です。また上向きだとユニットに対して均等に重力がかかるため正面を向けて固定するよりもユニットに対して無理がない状態になります。余談ですが高級な立派なユニットだと上向きにすると高音が聞こえにくくなったりしてバランスが崩れる可能性があります。
 またユニット取り付け面はほかの面に比べて小さくするのがオススメです。大きすぎるとユニットの音でなくユニットそのものの振動で取り付け面が大きく鳴ってしまって音が濁るという現象が起きる可能性があるためです。
 以上を踏まえた上で箱は「左右一帯型ならブランド物の箱」「左右独立なら達磨」あたりが入手難易度が低く、メルカリなどで簡単に手に入るのでオススメです。とりあえずこの辺りのもので作っておけばダイソーユニットの実力を確かめられます。箱のせいでダイソーユニットの評価が過小評価されている側面もやはりあると思います。
 これら以外にも箱を自作したり、日々色々な箱を探していくことで自分の気に入ったものを見つけられるかもしれません。片岡さんが販売している純セレブスピーカーキットを購入するのも良いでしょう。私が使っているダイソーユニット用の箱はルイヴィトン(18cm×28㎝×8㎝)です 。私が上でオススメした箱は片岡さん安冨さんが作ったものがおそらく最初で、試聴動画がありますので貼っておきます。

【スピーカー作成での小技】
 大前提として以下の小技は必ず音質を向上させる技ではなく、音を調整する技なので環境に応じて使用した方が良い場合と使用しない方が良い場合があります。

 スピーカーユニットの取り付け用の金属やプラスチックは純セレブスピーカーにとっては取り付け方にもよりますが不要になる場合があります。そこで周りの部分を切除することによって、その部分の重さとその部分が鳴ってしまう現象を抑えることができます。ダイソーユニットに関しては家にあるハサミで切除できました。

 箱の内部の薄い部分の加工です。紙をくしゃくしゃにせず平らな状態で内部で蓋をするように入れたり、紙粘土などで箱を加工するすることで疑似的に箱の強度を上げることができます。ほかにも油絵具で絵を描いたり、箱に和紙を貼ることで加工する方法などもあります。

 ユニットを紙粘土で固定する方法は音を逃がしにくくするなどの効果がありますが、若干音の自由度が損なわれる感もあります。ダイソーユニットだと上向きで置くだけだと微妙な隙間ができてしまうので、現在はユニット下をティッシュを丸めて棒状にしたもので密閉しています。
また純セレブスピーカーは個人的には机に直置きしたり、固いオーディオ用のインシュレーターを使うよりも、柔らかいクッションなどの上に置く方が箱全体が伸び伸びと動きつつ床や机への振動を遮断できて良いと思っています。

 純セレブスピーカーには箱にユニットをしっかり固定しない方が音が良いのではないかという考えがあり、その方が開放的な音が鳴ります。その考え方を徹底して、紐やケーブルを使って箱から分離した状態で固定方法です。またその上から紙粘土等で軽く蓋をするとかなり良いです。この方法はダイソーユニットをはじめとした安価で軽いユニットの場合はそもそも軽いのでわざわざこういうことをしなくても重さが悪さをすることがほぼないというのと、ダイソーユニット等では箱全体の鳴りを利用しないとまともに音が鳴らないのでユニット周りから音が逃げるとしょぼい音になってしまいます。この方法は比較的重かったりして、単体でしっかりとした音が出ているタイプのユニットに使うのがオススメの方法です。特にそれなりに高価なユニット使用時、音の自由度が足りない感覚あるときはこの方法で解決できるかもしれません。またユニット周辺の穴を紙粘土などで蓋をすると箱自体はかなり密閉に近いのに、ユニットは箱とは擬似的に分離した状態という特殊かつある種の理想的な固定方法になります。


純セレブスピーカーは無指向性かつ場合によってはユニットは上向きなので、スピーカーの背後にも音がたくさん飛んでいきます。その為、背後の壁の状態によって音質が左右されます。そのため壁に吸音性のあるタオルなどを貼ったり、壁からの距離を調整すると音が変化します。


【純セレブスピーカー製作キット】



【ラインケーブルを選ぶ!】
 音楽プレイヤーからアンプにつなぐケーブルですが、このケーブルの中を通る電流は非常に微弱なもののため、基本的にはそこにノイズが載らないようにシールドというもので保護しています。ただしこのシールドで音が濁ってしまうという意見もあります。そこで超短距離ならノイズが載らないだろうと実際にノンシールドの銅単線ラインケーブルを作成して試しました。

これは非常に素晴らしい透明感があり、また力強い音を聞くことができました。現在のシステムでは頻繁に抜き差しをしたり、それなりの距離のケーブルが欲しかったりしたため使用していませんが、音だけを考えるんであればオススメです。一方反対意見として以下のようなものがプロケーブルのサイトに載っていましたので参考までにリンクを貼っておきます。

 今私が使っているケーブルは「モガミ2549」というものになります。その辺のケーブルよりもプロ用のものの方が良いと感じていたためプロ用ケーブルの中から素直なものを選ぼうと思って選んだケーブルになります。

プロケーブルの通常販売ページではステレオミニ端子のものが販売されていませんが、両端ステレオミニのものに関しては特別リンクを作成していただいてますので以下のリンクから購入可能です

またほかの端子や長さで欲しい場合はメール等で相談すれば作成していただけると思います。

こちらでも購入可能です。

 一応自分で自作することも可能ですがステレオミニの端子に関しましては非常に繊細な作業が必要になるので、大量に作るのでなければお店に発注するのが楽でよいと思います。なぜモガミ2549なのかといいますと、非メッキ銅の素直なプロ用ケーブルであるからです。プロケーブルの説明文でもこのケーブルがかなりフラットなケーブルであると言われており、実際数種類プロケーブルから購入して使いましたが確かにこのケーブルがフラットで良いと感じました。構造も普通のラインケーブルという感じですし。
 ここで問題になってくるのがプロケーブルが激推ししている「ベルデン88760」「ベルデン8412」というケーブルです。

スピーカーケーブルのところで詳述しますがベルデンのケーブルはメッキ加工されていて、メッキケーブルはケーブルにかなり癖があり取り扱いが困難かつ非メッキ銅に比べて不自然な音がするためオススメしません。


 またラインケーブルのプラグで銀色のものがありますが、それは安いニッケルメッキか、オーディオ的に拘って作られたロジウムメッキでありそれらは高域を歪に上昇させますので、プラグは基本的には金メッキのものを選ぶとよいと思われます。あえて銀色のプラグを使い音を調整するという方法論もありますが、音に癖のあるものなのでこれはどうしても音が合わないときの最終手段ぐらいに思っておくと良いと思います。またほとんど出回ってないですが無メッキのプラグも世の中にあり、そのようなプラグはかなり音が素直で良い可能性があります。


【スピーカーケーブルを選ぶ!】
 まずは初期の純セレブスピーカーの動画で片岡さん安冨さんがオススメしていたりプロケーブル激推ししている安価なベルデンのケーブルについて考察しなければなりません。

こちらのケーブルはメッキ加工されているスピーカーケーブルになります。

画像2

このケーブルはメッキ加工されているため「シンプルで素直」なものではありません。メッキ加工がされているが故にこのメッキが音に対して色付けをしてくるので、ケーブルなどで音に色付けしないという方針に合いません。プロケーブルではこのケーブルはフラットであると主張していますが、実際にプロケーブルの説明をしっかり読んでみると「メッキ加工による色付けを利用して、ケーブルの長さや太さを調整することによってその色付け具合を調整することでフラットに追い込むことができるケーブル」という主張であることが分かります。このスピーカーケーブルの長さや太さを調整することでスピーカーやその他の機材の環境に合わせて自然な音にしていかなければならないことを「音の焦点」という問題になります。

 上記の記事を読んでいただければメッキ線材は数センチ長さを変えるだけで音が変化する非常に取り扱いスピーカーケーブルであることが分かると思います。またプロケーブルが推奨しているスピーカーの形態は大型ウーファーとツイーターに分かれている2WAYタイプになり、音の出る部分が2つに別れているが故にその高音と低音のバランスをシビアに調整していかなければならないという意味合いで音の焦点が非常に重要な問題になってきているという点を考えると小型フルレンジ1発で作成する純セレブスピーカーとは事情がかなり違います。実際プロケーブルは小型フルレンジ1発に音の焦点はないという主張をしています。

上記の記事の真偽はわかりませんが、音の焦点問題は純セレブスピーカーにとっては少し事情が違うと考えれれます。事情が違うだけでスピーカーケーブルの素材、長さ、太さは非常に重要な問題であることは変わりません。実際問題片側2m付近に音の焦点があると言われているベルデン8460を1m程度の単距離で使うと音が変になります。
 以上のことを考えると音に特徴があるメッキ線材のケーブルをわざわざ使用する理由はないと考えられますし、実際スピーカーケーブルやラインケーブルを色々メッキ線材や非メッキ銅線材で入れ替えて聴き比べた結果、非メッキ銅のケーブルの方が私の聴感上は圧倒的に自然な音に感じられます。またケーブルによる音の色付けを少なくする上で重要なのが「可能な限りケーブルを短くする」ことですが、メッキ線材の場合あえて長くしてメッキの特徴を利用してフラットに追い込む必要があるという点においてもオススメできません。

私自身このときウェスタンエレクトリックのメッキ線材からae線という銅の単線に変更してあまりにも良くなったので、それ以降メッキ線材を使うのは避けています。

 では非メッキ銅のスピーカーケーブルを使う上で何が良いのかというと「帯電しない被膜の銅の単線」がベストな選択肢の一つであると考えられます。まず単線が良い理由として構造が一番シンプルであるということ、実際出てくる音がくっきりはっきり力強いことでしょう。これに関しては上のae線のページのレビューを見てもらったり、実際自分で購入して使ってみるのが良いでしょう。銅の単線に関してはホームセンターなどでもとても安価に入手することができます。
次に「帯電しない被膜」について。


 【電源、ケーブル、プラグでも音が変わります】の欄にも書きましたが、被膜が帯電することによって音が劣化する要因になります。理想としては裸線の状態で使うことでしょうが、ショートの危険性があるので使えません。そのため綿やコットンなどの帯電しない被膜にする必要があります。既製品で安価なものが販売されているページのリンクを載せておきます。

また自分で銅の単線を準備して被膜を向き、以下のようなものに被膜を交換するという方法もあります。

https://item.rakuten.co.jp/rose-rosa/10001336/?s-id=pc_shop_recommend&rtg=8b0023db64e5587ccb8f51c465d4f5a7

 次に単線の弱点ですが、「音がくっきりはっきり力強く」出るが故にユニットと箱の組み合わせによっては特定の音域が極端に強調されるということが起きる可能性があります。実際より線のスピーカーケーブルで調整した純セレブスピーカーのケーブルを単線に変更したときにこの現象が起きました。そのためより線で製作する場合よりも箱の容量を大きく見積もった方が良いでしょう。音の傾向としてもより線の方が好みだったり、バランスがとれる場合も多いでしょうから、一概に絶対単線の方が優れているとは言えません。また単線の場合は「ケーブルが物理的に固い」という点で取り扱いがしにくいということがあります。単線を少し触ると線全体が動いて、ユニットにはんだ付けした部分にも負荷がかかる場合があり用途によっては耐久性に問題が発生してくる可能性があります。もし引っ越しなどで持ち運ぶ場合に壊れないかなどの不安が付きまとってきます。

 実際私が使っているのは「ホームセンターなどで売っている非メッキ銅のより線」です。まず単線の物理的な取り扱いの難しさを避けたいというのが一番の理由です。もし音質だけに特化するならば単線を選ぶと思います。しかしより線も音質的にも聴感上メリットがあります。単線は「くっきりはっきり力強い」というのが煩わしく感じる場合もあり、聴感上も「あっ!スピーカーケーブル単線だなあ」という存在感があります。一方でより線は特別そのような存在感がなく、素直で特徴がないので非常に聴きやすいです。なので好みの問題でより線の方がよい場合も多いでしょうし、私自身もかなりより線の素直さを気に入っています。
 ではどの銅のより線を買えばよいのか。個人的なオススメは「ホームセンターなどで売っている安価で普通のもの」です。高価なものは味付けがしてあって素直でない場合があるのと、後述しますが太さが1mmを超えるものがほとんどで欲しい細さのものがなかったりするのでオススメできません。

 最後に音の焦点(ケーブルの長さと太さ)の問題について考えます。純セレブスピーカーを上向きでセッティングする場合は、ユニットから出る音を直接聴くわけではないので高域を緩めることができているためケーブルの長さや太さを調整して高域を調整する必要はないと思います。ユニットを正面に向けている場合高域の鋭さを調整する必要があるかもしれませんので、プロケーブルの音の焦点の公式を利用して追い込んでいくのもありかと思います。私の場合は上向きで使用しているため、低域の太さを調整するだけでよいです。そのような場合はケーブルによる音の変化を抑え、またアンプへの負荷を軽減させるために「スピーカーケーブルは最短距離で接続」する方針でいきます。なのでまずは「ケーブルの長さ」を決めそのあとに「太さ」を決めていきます。

スピーカーのインピーダンス  低ければ低いほど太いケーブル があう。スピーカーケーブルの距離   短ければ短いほど細く
再生音量の大きさ       大きければ大きいほど太く

 まずはこのページを読んでください。実際私自身も試してみましたが、純セレブスピーカーのと非メッキ銅のスピーカーケーブルの組み合わせであればこのページの公式で調整すればよいと思います。またメッキケーブルに比べて数センチ単位の微妙な調整は必要なく、ある程度太さや長さが使うオーディオシステムのバランスに合っていればよいです。気を付けなければいけないのですが、上記のサイトでは純セレブスピーカーで使うような小出力のアンプや音量、ユニットを想定して書かれていないため推奨されているスピーカーケーブルの太さでは音が合わない場合が多いので公式のみを参考にして、自分自身でいくつかの太さのケーブルを用意して試すのが良いです。

 私自身はダイソーユニットとアンプap05の組み合わせで0.5m~1m程度の距離で使用していますがその場合は0.5mm程度の太さのケーブルが合うことが分かりました。1mmのものを使用すると中低域が太く、全体的にこもった音になってしまいまして、0.75mmのものはピッタリではないがそこまで問題ではなく、0.5mmのものが中低域の太さがちょうどよく音の鮮度が良くなりました。ダイソーユニットで製作される方は参考にしてみてください。ほかの環境ではどうであるかは実際試さないとわからないので私が言えることは「ダイソーユニットを0.5m~1mの距離の非メッキスピーカケーブルで接続する場合は0.5mm程度の太さがベスト」な気がするというぐらいです。


【ユニットを鳴らし運転(エージング)】
 スピーカーユニットは新品の状態ではユニットが固いままで滑らかに動かないために本領を発揮できていない可能性があります。特に純セレブスピーカーをたくさん試作するとなると1つのものを長時間使わないうちに評価する必要がある場合がありますので。意図的にエージングをするのはありだと思います。外出しているうちに音楽を流しっぱなしにしておくなどで良いでしょう。またエージング用の音声を利用するのも良いでしょう。

このchord&majorのエージングツールはイヤホンやヘッドホン用とされていますがスピーカーにも効果的でした。

【音質チェック用音源】
 実際に作ったオーディオの音を確認する上で個人的に試すものを紹介します。

①自分がよく聴く音源を色々なジャンルから
 当たり前ですがこれらが良い音で鳴らなければ自分でわざわざ頑張ってスピーカを作る意味はありません。なのでまずこの辺りの音源で違和感がないかをチェックします。私自身としては複数のスピーカーを使い分けず1台の純セレブスピーカーですべての音を鳴らして満足のいくものを目指しているので様々なジャンルから聴くのが必須です。

②特別音の良くないポップスやアニソン
 例えばアコースティックの録音の良い音源なんかではどんなスピーカーでも割と良い音で聞こえてしまうという側面があるので、あえてポップスやアニソンなどスピーカーでのオーディオ再生を考慮してなさそうなものをチェックしてみるのがオススメです。この方法は特に私がイヤホンを購入するときに使っていまして、録音の良いもので聴くと味付けのあるひどいイヤホンでも良く聴こえたりするのですが、アニソンを流すと低音が強すぎて頭が痛くなったり、高音が刺さって聴いていられない状態になったりするので10秒程度音を聴くだけで購入候補に入れるかどうかを大雑把には判別することができます。なぜこういったことが起こるかと、こういった音源は音圧を上げ気味にしたり、あんまり質の高くない打ち込みを使用したりしているため、その上からイヤホンなどの味付けが載ってしまうとひどい音になるということがあるためです。また打ち込みのものだと、打ち込んだ音がそのまま出てきているか判別しやすいという面もあります。打ち込みのものに味付けが載ったり箱鳴りなどの無駄な反響がおこるとひどい音になるのでチェック基準になるからです。「純セレブスピーカーに向く音源と向かない音の悪い音源がある」という音の悪い音源は音源が悪いのが問題であるという主張もあります。確かに録音が良いものの方が良い音で聞こえ、悪い音源はそういったものに比べて明らかに音は悪いです。それはそうなのですが、自分の作った純セレブスピーカーの弱点の隠蔽のためにこの考えを使ってしまうと、音を調整していく上での重要なヒントを見逃してしまう可能性があります。私自身当初は純セレブスピーカー(というかスピーカーでの再生)でアニソンなどを聴くのはできないかなと考えていましたが、自分でオーディオを真剣に考えて音のバランスを取りながら組んだ結果純セレブスピーカーでも音が破綻んすることなくアニソンの再生もできるようになりました。もちろん音の悪い部分はそのまま出てきてはいるのですが、イヤホンなどで聴く場合などと変わらないバランスで普通に聴けるようになりました。「録音がそんなに良くないもの」と「オーディオの弱点」を掛け合わせると明らかに変な音が出るので、弱点やバランスの崩れの発見に向いています。「録音の良いもの」はある程度以上きれいに再生できるのは当たり前だと私は考えています。

③映画やアニメ、youtuberの動画(音楽以外でのチェック)
 基本的に理由は②と同じ理由で弱点の発見に向いているからです。映画とアニメでは音声の収録方法が違いますからどちらも試すとよいでしょう。特に人の話声や効果音などで音をチェックできるのが非常によいです。どうしても音楽だと変な癖があったとしても、それも味になってしまうという側面がありますが普通の話声や効果音は癖が強いと違和感が出てきます。youtubeに上がっている動画なども色々試してみるのも良いでしょう。


【生活に馴染むことも大事】

画像4

 現在の私の純セレブスピーカー環境はアンプの電源を入れてipadを操作すればそれだけで楽しむことができます。アンプも小型で気楽に操作でき、スピーカーも小型なのでスピーカーに近い位置で聴いても問題ないですし、多少離れても良い音で聴くことができます。もちろん音質のことを考えた上で突き詰めるとこういう形になったという側面が強いのですが、『生活の中で気軽に使える』というスタイルも私にとって非常に重要でした。
 典型的なオーディオのイメージというと大きなスピーカーを設置して「音楽を聴くぞ!」とか「映画を見るぞ!」みたいに意気込んでたくさんの機材の電源を入れていき、特定のリスニング場所に自分を持っていくという感じでしょうか。もちろんすべてがそうというわけではないと思いますが多少こういった要素があるでしょう。私としてはそれがすごい面倒くさいといいますか、なんとなく重苦しい感じがありまして、例えば電池駆動でガチガチに音質特化していたときや、今の物より大型の純セレブスピーカースピーカーを使っていたときはそういった傾向がありました。アンプlp-v3sを電池駆動してケーブルを全部基盤にはんだ付けしていたときは「電池残量を気にする」「音質のためにラインケーブルを短くしたため操作がしにくい」「断線の危険性」「何か不具があれば毎回自分でなんとかする」「所有感が強い(所有感がない方が気楽)」「引っ越しするときどうするんだ(スピーカーケーブルも直付けしてたり単線を使用してるので運搬のリスクが高い)」などの雑念がありましてなんとなくそのシステムで音楽を聴く機会が減っていました。もちろん音楽が何よりも大事という人や音質が何よりも大事という人は上記のシステムでも良かったのかもしれません。しかし私の場合は手間的にも精神的にもお気軽であることが非常に重要であることが実際に自分でオーディオを組んでみてわかりました。なので現在組んでいるオーディオは音質という面にも真剣に向き合いつつも、もう一つ『生活に馴染む』『生活の中で気軽に使える』というのも目標にしつつ選んだ面もあります。特に私の場合はスピーカーは小型の方が音の好みとしても合っていたのも大きいでしょう。
 現在どのくらい気軽に使えてるかという、「アンプの電源を入れて、ipadの前に寝っ転がって、ちょこちょこっと操作し、その日の気分に応じて映画を見たり音楽を聴いたりする至福の空間になる。必要に応じてちょっと手を伸ばしてアンプの音量を変えたり、ipadを操作する。」という感じです。最近販売されているモバイルワイヤレススピーカーに比較的近いレベルのお気楽さです。そしてそこから出てくる音は本当に自分を満足させてくれる音という最高の環境になっています。こういった精神状態は純セレブスピーカーの軽さ(物理的だけでなく哲学的にも)ととてもマッチしているのではないかと個人的には思っています。なのでどのように自分が生活の中で純セレブスピーカーを使いたいのかも考えていくことは音質について考えることと同等以上に重要です。

【自分の感覚を信じる!】
 ここまで読んでくれたみなさんありがとうございます。私が純セレブスピーカーでオーディオを組む上で試したことや考えたこと、そしてそれを踏まえた現在の結論などを一通り書かせていただきました。色々な方法や商品を紹介したので部分的に参考にしていただくだけでもうれしいです。オーディオ機材部分では自分で色々買って試すのはお金がかなりかかってしまうため、とりあえず最初は本記事の機材をある程度参考にしていただけると良いかなと思います。私自身今使ってるシステム自体は非常に安価ですが、ここにたどり着くまでにかなりのお金を使ってしまいましたので(笑)。
 ただしこれまで書いてきたことは私自身にとっての結論でしかなく、オーディオは自分の感覚がなくなった瞬間に地獄に落ちてしまう趣味であるので自らが色々試すのも一方で重要であると思います。
 特に純セレブスピーカー本体の製作に関しては本当に正解などはなく自分の感覚を信じて作ることが最重要です。なので本記事の内容も頭の片隅に置いて自分のオーディオ作りのヒントとして使っていただけると幸いです。

【余談『私と純セレブスピーカー』】
 私自身が純セレブスピーカーとの出会って起こった変化について少し語ろうと思います。
 私が純セレブスピーカーと出会ったのは2018年の10月頃の一月万冊の動画です。それまでに安冨さんのことを本を何冊か読んでいて知っていたのですが、まさかスピーカーの話をするとは思っていなかったのでとてもびっくりした記憶があります。当時私はポータブルオーディオにはまっておりそのうち据え置きのオーディオも欲しいなあという感じで、特別音楽マニアというわけではないのに高級オーディオに『憧れ』をいただいていました。そんな状況の中で片岡さんと安冨さんがスピーカーを開発したとのことで非常に興味がわき、また理論的な話を聞いておそらく自分の好みであろうことを確信したので純セレブスピーカーに手を出すことを決めました。まず私は1万円の製作キットを買おうとしました。なぜ自分で作らずキットを買おうと思ったのかといいますと「自分で音の調整をしていってもたいした音が出ないだろう。それよりはその手のプロの片岡さんの感覚に任せよう」と考えたわけです。当時は本当に自分の感覚が死んでしまっていたのでこのように考えて、純セレブスピーカーの思想とまったく逆の考えでキットの購入をしようとしていたというわけです(笑)。しかしながら当時キットが初代のものからダイソーのものへの移行期で在庫が全く追加されない氷河期のような時期だったため一向に購入することができないなかったのです。そこでしかたがないため自分で作る決意をして、amazonやプロケーブルでアンプやケーブル、スピーカーユニットを購入しました。そして半日かけてなんとか自分でスピーカを作って音出しをすると、信じられないほど良い音が出てきて衝撃を受けました。自分で作ったものがこんなにも良い音がするのかという衝撃によって自分の感覚が戻ってくる感じがしました。
 ここから純セレブスピーカーにハマっていきました。まず最初に考えたことが「もっとお金をかけて立派な機材やユニットを買おう」とおいうことです。しかし実際買ってみて試してみたのですがあまり良い感じがせず、そこからネットで色々な情報を集めて自分で工夫することで音を良くしていこうと思いました。その結果なぜかアンプやスピーカーユニットやケーブルの値段がどんどん安くなっていくという経験をして、体感レベルで「物を値段で判断しない」という体験をすることで自分の中の豊かさに関する根本的な考えが変わり、お金の多い少ないなどで物事を判断することが減りました。
 また私は自己嫌悪を隠蔽するためにお金を出して色々なものを買うという方法を主に採用していたのですが、純セレブスピーカーが自作で安価なガラクタを集めて作ったもので、見た目もガラクタなのに今まで買ってきたものとは比べ物にならないくらい自分の人生が豊かになり、自己嫌悪を隠蔽するために物を買うことがばかばかしくなってしまい、今まで買ってきたものをどんどん手放していくという変化がありました。そこであまりにも手放すものが多かったため、物を所有するということについて少し考えようと思いミニマリストの本を何冊か読んでみました。その中で物を所有することで自己嫌悪を隠蔽していたが、そういったものを手放すことで解放されてという話の本がありました。あまりにも自分にピッタリ当てはまっている話であり、そこから物を手放すという行動まで自分と一緒であったため、その本を参考にしつつ色々試しているうちにいつの間にかミニマリスト的な状態になってしまいました。

 まとめると私が純セレブスピーカーから受けた影響は「自分の感覚が戻ってくるきっかけになり、自己嫌悪を隠蔽するための消費をやめて、豊かさを考えた結果ミニマリスト的な考えになった」です。自分にとって純セレブスピーカーはただのスピーカーではなく自分の考え方に多大な影響を与えた衝撃的なものになりました。なんとなく慢性的にしんどく、自分の感覚が死んでいる感じがする人はもしかしたら純セレブスピーカーを通じてヒントを得られるかもしれないので気になっている方はぜひ自分で作ってみてください。


 頑張って書いたので良いと思った方や参考になった方はノート購入してください。。。
 純セレブスピーカー研究にお金を使いすぎてしましました。。。

ここから先は

0字

¥ 1,000

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?