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怒りの矛先 怒りの内圧 怒りの純度

ということで今回はこちらの曲から怒りの役割について少し語りたいとと思います。

BLACK/Lazy Dolphin feat.初音ミク

まずは冒頭ですね。

破滅思考に取り憑くのは
黒い影なんだ
代り映えしない日々に
大概飽きてる僕に
刺激的なお導きを

主人公は破滅思考に陥っているなんとも薄暗いスタート。黒い影=死の影 が取り憑いているような心情なんですね。

それも変わり映えしない毎日によって生じる退屈から生きている意味を見いだせず、死を逃げ道として意識しています。

「生きるための刺激がほしい」それが善でも悪でもいいんです彼には。ジンを飲み干した時のガツンと来るような刺激。それが彼の求めている刺激です。生命力が弱っている状態です。

愛の喝采一切合切ない嘆きだ
最低な思考の行く末に…なんて
馬鹿げた思想犯は
卒業しよう


そんな状態の自分に愛を注いでくれる人なんていない。喝采なんて望めない。インスタントな恋愛、出会い、SEX。陳腐な刺激を求めてみても愛の喝采は得られないんです。その結果の結論。

やさぐれて人も殺めてしまいそうな勢い。"馬鹿げた思想犯"とはいわゆる失うものがない無敵状態なので命を賭ければどんな悪いこともできてしまう、そんな状態です。人は劣悪な環境に晒されていると"このままでいるよりは"というエネルギーが誤った方向に進むことがあります。

惨めな思いをしたなら
それは革命の前触れ
周りを全部見返してやれ
愚かな幻想破るのは
ただ一人の自分だけ
変えてみせるよ

惨めな思いとは刺激を求めても満たされず、それが誰のせいかと考えて消化した結果、世の中がおかしいと気づくわけです。消費社会。モノだけでなく心まで即物的。大量消費される空間にいる自分に気づいたんですね。

愚かな幻想=みんなが作り上げた空想社会 に対して自分自身が変われば世界が変わるとそう認識したわけです。

これは唯識論的な解釈が控えています。目に映る世界は自分の心の中にあり、それを作り出しているのは自分自身だという考え方です。色眼鏡も掛け替えれば新しい世界が見えるものです。

終わったようなものと
思ってもまだまだ続く
この国の抱える問題が
僕を苦しめる
快適な暮らしを希望


意識は活動的になってきたものの、打ち寄せる現実=生活、金、仕事etc 自分のせいでなくても働けなくなることがあります。社会は冷たく落伍者の判定を下します。その国は長らく貧困国家であるのにそれを隠して、庶民を苦しめる。
快適な暮らし≒最低限度の生活 といった暗喩で、生活の補償があまりにも劣悪であるという論点を示しています。

怒りが込み上げる位には
真っ当ですが
ぶつけられる相手がいることは
幸せなこと
大事にしたいね
ヒトゴト

怒りは二次感情と言われていますが、心が死んでくるとその怒りも湧きません。怒りが湧く程度の真っ当さとは、精神状態が悪いですね。
ぶつけられる相手、怒りも1人では生まれて消えてしまってやり場のないおもいになります。ネットの世界でも人事ですが、怒りをぶつけられるのは生きるために必要なことかもしれません。
孤独は人を殺すからです。

惨めな思いをしたなら
それは革命の前触れ
周りを全部見返してやれ
愚かな幻想破るのは
ただ一人の自分だけ
変えてみせるよ

最後は、それでも 幻想=自身の固定観念 を破ることを決意します。

劣悪な貧困環境に晒されて、精神を病んでいた彼は、怒りの矛先を社会に向けたのです。怒りの内圧を高めて、吐き出す方向を定めました。"見返してやる"が自分をそう追い込んだ社会に向いたのです。

この曲は私がそういうリアルな精神状態and貧困に悩みながら捻り出した一曲なのですが、故にお聞き苦しいかもしれませんが伝えたいのはそういう社会と自分の対立構造です。

苦しい時、怒りの感情は身を助けることも。
義憤。怒りの純度を高めて行けば自分を変え、環境を変えていけるかもしれません。


斑鳩入鹿

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