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哲学が作業療法を産み、科学が作業療法を育てた 〜オンライン県学会に参加して〜

岐阜県作業療法学会の京極先生の講演「哲学が作業療法を産み、科学が作業療法を育てた ―って、まだ知らないの?-」が最高だった。

とっても烏滸がましいことを承知の上で言うが、対談が面白くて自分も混ざりたいレベルだった。というか講演を聞いた直後の熱量のまま、誰かと意見を交わしたかった。周りには宣伝したが、もっと開催期間中にオススメしておけば良かった。誰か見たかなぁ。とりあえず心動かされたこの感覚を残すために、noteに記録する。

養成校での作業を大切にする教育

私が養成校で作業療法概論を学んだのは5年くらい前のこと。作業療法の歴史に関して、還元主義、アイデンティティの危機、パラダイムシフトなど、ざっくりだが当時学部1年生だった私たちにも伝わるように、割としっかりと授業で扱ってくれる学校だった。

今でも覚えていることは、強く興味を示しているのが恐らく私1人しかいなかったこと。途中先生と私の対話で授業が進んでたような気もした。なんか自分一人だけ浮いていたけど、これが学びたかったことだし、やりたいことだ!とワクワクしていた。

というのも、作業療法士を目指すと決めた高校生にとって、作業療法のイメージがと還元主義的な考え方に傾いていたからだと思う(約5年前のn=1の友人との会話の経験上)。〝手のリハビリ〟〝陶芸や革細工等を使ってできないことをできるようにする〟という印象を持って入学する人がまあまあ多かった気がする。それもあって入学して、突然作業は生きるのに不可欠だ〜と伝えられても、ポカンとなってしまうのか。

対談を聞いていると、医療分野で働くOTが圧倒的に多い日本の状況が高校生の作業療法士像にも反映しているのかなとも思った。そういう意味ではオープンキャンパスとかで、簡単に作業療法の核の部分に触れる機会は重要な気もする。

作業を大切にする考えは広まっている!?

ここ10年で作業を大切にする風潮が高まっているかどうか。

私は作業療法関連雑誌やSNSなどの外部の世界では進んでいるが(そういうことに興味のある人たちが集まっているが)、現場ではまだまだという印象である。

臨床経験3年目の自分から言うと、作業を大切にする風潮が高くなっているか…?と思われる時期に作業療法を学んだので、学生時代には〝クライアント中心〟と言われて育ち、作業科学にも触れた。

でも就職したら医学モデルの強い環境だった。OBPとは??という感じ。その状況を知っていて就職したつもりだったけど、入職して2ヶ月くらいで作業を扱わない作業療法士になってしまいそうな危機感を覚えた。(対談の〝火を消さない消防士〟の例えが面白かったし、確かにそうだなと思った)

有難いことに挑戦できる環境ではあるので、これまで作業療法に関する勉強会を1回だけだがやらさせてもらったり、ADOCを用いた事例報告を行い、アプリを導入することができた。自分が伝えていることは異質だと思われたかもしれないが、少なくとも若いスタッフは少しずつADOCを使うようになったし、「作業で語る事例報告」の輪読を先輩と一緒にするようになった。

自分の役割は、目の前の対象者さんのために、今の職場に作業を大切にする考え方を広めることだと勝手に思っている。まずは対談の中の言葉で言う〝職場の状況や目的に沿って〟自分がやりたいようにやってみて、一緒に取り組んでいける仲間を増やすことが大事だと再確認した。これは本当に現在進行形で頑張っていきたいと思っていることである。

哲学が産み、科学が育てた作業療法

作業療法の歴史と、その背景にある哲学が分かっていないと、本当の意味での作業療法が提供できないなと身に沁みて感じた講演だった。科学ってなんぞやと思っていたけど、「仮説検証しながら合意形成可能な見解を創出していく」というような話を聞いていると、これって臨床でもかなり大事なことじゃん、なるほどね〜と思った。

ハイブリッド型の作業療法の時代が来るのは楽しみだし、なんならそんな作業療法の進歩にほんの、ほーんのちょっとでも貢献できる存在になりたいし、ならねばなと思った。

1年目の時にそういえばOBP2.0の勉強会にも参加したなぁ、もう一度見直そう。








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