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作業療法士の職業倫理

なぜ倫理を知る必要があるか

日本作業療法士協会の「倫理綱領」と「作業療法士の職業倫理指針」を読んだ。恥ずかしながら、つい最近知った。

きっかけは法について学ぶ講義を受けた時の弁護士の先生の言葉だった。「法はやっていはいけないことを示すことでネガティブな部分があるけど、倫理は〝決まってはいないけどこういう行為をとった方がふさわしいよね〟というものであり、我々の立ち位置を示し、職域を守っている」というような内容だった。その講義で作業療法士の職業倫理指針の資料が提示され、受講者で読みながら意見交流をした。

作業療法士としての職域を保ち、立ち位置を示すもの。

これは知っておかねば!と思って講義後にもう一度読み直した。

※以下枠内 日本作業療法士協会「作業療法士の職業倫理指針」より引用

自己研鑽

作業療法士は、専門職としての自己責任に基づき、知識と技術の不断の更新の必要性を自覚し、生涯にわたり自己研鑽に努めなければならない。

私の知っている範囲では頑張る人は頑張るし、やらない人はやらない。やらされている人もいれば、やらなきゃいけないと思っていても自分自身の家庭生活を営むことで精一杯という人もいる印象だ。

組織として認められた研修は業務に含まれるが、時間外勤務扱いにならない自己研鑽は個人に委ねられており、療法士内で差が生まれるのも当然である。

常に対象者の利益を考えて自己研鑽に励む療法士と、対象者の個別性を排除して機械的に淡々とこなすタイプの療法士では、やはり「知識と技術の不断の更新の必要性の自覚」に差があるんだろうなと感じた。前者で在りたいけど、私も機械的になることは多々あり自戒を込めて記録。

対象者に向かう気持ち

作業療法士は、作業療法が人々のニーズを可能なかぎり実現するために、その対象者との相互的な信頼に基づき実施される協同作業であることを自覚し、自分の知識・技術・情熱を最大限活用するよう最善の努力を払う。

知識、技術の最大限の活用は何となく分かるが、情熱!?

情熱ってなに。色々調べてみたが、ある物事に向かって燃立つ気持ちというような内容だった。ちなみにこの文章は「対象者利益のための最善努力」という項である。作業療法士の倫理指針として選択された言葉たちはエネルギッシュで言葉が強い。

〝対象者に対する情熱を持ち、対象者利益のための努力は絶対に怠りません!常に最善を尽くすよう心がけています〟なんて自信持って言えないな。それだけ作業療法士には対象者に向かう力が求められているんだろう。

ちなみに理学療法士の「職業倫理ガイドライン」は明確で分かりやすい分、淡々としている。作業療法の倫理指針よりシュッとしており、比較してみるのもまた面白い。

健康のための知識

生活習慣に起因する身体面やストレス等による精神面のバランスが崩れることによって生じる疾病を予防するため、健康情報を収集して必要とする人々に提供する。作業療法士は、自らの心身のストレスに対して適切なバランスを保つよう努める。

対象者の健康の維持・増進を図る作業療法士は、まず自分の健康を管理しなければなと確かに思う。

そんな私はと言うと、5連勤の週の後半はヘトヘトで体も重たく、栄養ドリンクの力も借りる。スマホ触っている時間や、髪の毛乾かしている間にソファで寝てしまうことが多い。気付いたらソファで朝を迎えているのだ。恐ろしい。

自分が心身ともに健康的だなと思えるのは、業務後職場で勉強して、帰ってからご飯食べて、趣味のことも少しやって、お風呂上がりにしっかりストレッチしてベッドで6-7時間寝る生活。理想的だけど週に2回できるかどうかである。

自分自身にこそ作業療法を行い、もっと実現可能な、健康的な生活を模索する必要がありそうだ。自分自身が健康になるための知識をつけていくことも大切なんだろう。

終わりに

一通り目を通して、個人の裁量に任されているような内容であったり、自分の臨床姿勢に関して考えさせられる項目も多く、こんなものが存在していたのかと驚いた。行動指針で示されていることが完璧にできています!と言えるスーパーマンはいないと思うが、心構えや対象者に向き合う姿勢はとても参考になる。

学生の頃から知っていたい内容だと感じた。もしかして教えてもらったことあったかな…忘れてしまっただけかな。

協会HPで見られる「作業療法士の倫理に係る事例集」も面白いのでお時間がある方は是非。

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