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とんこつラーメンを食べに半日かけて九州に行った話 Vol.1

8月も下旬、残暑厳しいある日、私の脳ミソがまた余計なことを考え始めた。
「とんこつラーメン食べたいなぁ…」
手元には青春18きっぷが3回分残っていた。

それじゃあ、九州に行こう。

こんな思いつきで、鈍行で片道12時間かけて、とんこつラーメンを食べに九州へ行った。

あくまで今回のテーマは"とんこつラーメン"である。道中の山陽本線については割愛する。せいぜい真っ青の瀬戸内海に浮かぶ島々を眺めながら、黄色い電車に何時間も揺られていたくらいだ。

あと、岡山駅でスマホを失くし、コテコテの岡山弁の車掌さんに「大事なものだし気をつけてね(訳)」と拾っていただけたこと、その後食べた、たこめしの駅弁がほっぺたが落ちるほど美味しかったことくらいしか思い出がない。

気づいたらもう下関である。関門トンネルを抜け、いざ九州へ。

このピクトグラム、いかにもJR九州である。

博多駅で地下鉄に乗り換え、空港線4つ目の駅赤坂で下車。長浜ラーメンの古豪、「元祖長浜屋」さんで1杯目をいただく。
長浜ラーメンは、福岡市の長浜地区で始まった屋台のラーメンが発祥で、この近辺にはいくつものラーメン店が軒を連ねている。

麺はもちろん細麺、スープは意外にもあっさり、それと対照的に豚肉には味が染み込んでいる。テーブルにあったトッピングは紅生姜、ゴマ、醤油だれの3つであった。

この日はもう遅かったので、博多駅前のカプセルホテルに宿泊した。高速バスのターミナルと一体になった、大きめのホテルだったが、宿泊者は私ともう1人しかいなかった。

「話しかけんじゃねぇクソが」でおなじみの福岡名物「マンハッタン」をいただく。

2日目は筥崎宮(はこざきぐう)にお参りしてから出発する。京都の石清水、大分の宇佐と並んで日本三大八幡宮の1つに数えられている。その因縁なのか、参道には鳩が何十羽も密集していた。

表参道は1km弱?ほど先の博多湾まで続いている。

筥崎宮にお参りした後は、福岡県の一番南にある大牟田(おおむた)へと向かう。やってきたのは811系電車。

この車両も幼少期に絵本で見たときは「九州の新しい電車」と紹介されていた。しかし、いざ乗ってみると、車内は使い込まれ、どこか垢が溜まってたような雰囲気である。私も生まれて20余年、そら811系も歳を取るわけだ。

鳥栖の乗り換えのときに見た「ハイパーサルーン」も同じく、どこか年齢を重ねた感じがする。しかし、今でも子どもたちから手を振られる人気者である。
歳を取って白髪やシワの数が増えても、"ダンディー"と評される中年男性がいるが、彼らにはそれと似たものを感じる。年齢を重ねても、それ相応の魅力がある。私は九州の列車でも811系と783系「ハイパーサルーン」が特に好きである。

鳥栖を抜けると、列車は一気に速度を上げて、車窓には一面の田んぼが広がる。稲作地帯の筑紫平野らしい風景である。

列車はイネの中を快調に飛ばし、大牟田駅に到着した。

(Vol.2に続く)

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