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All Things Must Pass

水際は引いては満ちて、
みずみずしい花はやがて干からびる。

永遠は存在しない。
すべてのものには旬があり、やがて消えてゆく。

僕のような若い人間は、
確かなものを過剰なまでに信仰し、
確かさこそが絶対的な美しさだと錯覚する。

しかし、確かさは悲しいほど脆い。
僕らが信じたものは突如として失われ、途端に不安に襲われる。

空が開けた晴天の次の日は、息が詰まるほどの曇天。
「ずっと好きだ」と誓い合った男女の愛も、ひょんなことで移りゆく。

ある日突然、大地は揺れ、山は怒り、人々は住処を追われる。

今は生温かい僕らも、やがては冷たくなって土へ還る。

不朽の名作、不老不死、永遠の愛…
追い求めるのは自由だが、そこにある確かさなんてものは幻想じゃなかろうか。

真っ赤に実った果実にかじりつく。

もっともおいしいその瞬間は永遠に続かない。
でも、一瞬の美しさが愛おしい。
旬が失われ、朽ちてゆくさまを、ただ呆然と眺め涙を流す。

すべてのものは過ぎ去ってゆく。
永遠を欲するのは無為である。
確かさは脆く儚い。

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