横浜を知らないまま死んでたまるか
「Q. 横浜とは?」
「A. オシャレな港町」
横浜の街に抱く、いかにも模範解答なイメージである。
それは決してネガティブなものではない。
しかし、どこか解像度に欠ける上辺だけなものだった。
「横浜には何がありますか?」と尋ねられても、具体的に思い当たらない。
必死に僕と横浜の記憶を巡ってみる。
家族と水族館に行ったあと、中華料理を食べて、海辺を歩いた小学生の思い出…
…それっきりだった。
あんなに有名な街のことを何一つ知らないまま、ろくに足を踏み入れることがないまま、24年も経っていた。
「一体、横浜はどんなところなんだ?」
とりあえず、歩いてみることにした。
「これは1週間居ても見切れないぞ…。」
掘れば掘るほど気になる場所が出てくる。
知っているようで意外と知らない場所をあえて踏み込んでみると、沼にハマってしまうことがある。
飲み屋の街かと思ったら風俗街が現れ、よだれを垂らした頃には閑静な住宅街を歩いている。ふと見上げたその先にはランドマークタワーが電線越しにこちらを眺めてくる。歓楽街と住宅街、再開発業務地がすべて徒歩10分圏の円に収まる。このような光景は近代都市にはありがちかもしれない。ただ、横浜は台地と平地、埋立地…と地形の展開が激しい。そこに、人間がさまざまな環境を無理矢理に詰めこんだ。この異常といったら横浜ならではなのかもしれない。
僕がこの異常な環境をサーフィンできるほど面白い人間かは分からないが、この街を知らずに死ぬのは損な生き方のような気がした。もっと深く横浜を知りたい。
「Q. 横浜とは?」
「A. 訳分かりません。」
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