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移動するだけの旅行は旅行じゃない(道東0)

本稿から数回に渡り、北海道根室を訪れたときの出来事を、写真と文章でお送りする。

2019年の夏、大学のゼミの教授からこんな言葉をいただいた。

移動するだけの旅行は旅行じゃない

当時の私は、日本縦断旅行を終え、国内各地はあらかた訪れたところだった。
しかし、各地の魅力を余すことなく知っているのかと言われても頷けない。
「質より量」だった
移動がメインの縦断旅行で、同じ場所に滞在できる時間はせいぜい半日である。
半日でその土地の魅力を理解するのは不可能である。

続けて、教授はこんな話を始めた。

「昔、イギリスやマルセイユに1ヶ月滞在したことがあった。最初の1週間で名所旧跡は大概見てしまった。することがなくなって暇を持て余すようになってからが本番だった」と。

言われてみればそうだ。
その土地の魅力を味わうには、ある程度の時間が必要である。
例えば、東京を観光するのに、「はいっ浅草!次は東京タワー!はいお土産も買って!明日は横浜!」と、行程に圧迫された旅程は旅行とは言えないのかもしれない。
単なる移動である。

また別の話では、「よく旅先に選ばれがちな場所から、少し外れた場所に行ってみると、意外な面白さが見つかる」とも教わった。

これらの指摘は、「量より質の旅行を模索していた自分にとって、刺さるものだった。

これらを踏まえて、次の旅行はどこにすべきか?

私はかねてから北海道の野付半島に訪れてみたいと思っていた。
地図上でひときわ目立つ嘴(くちばし)のような地形、行かずにはいられなかった。
しかし、こんな辺鄙な場所に1人で行くのは心細い。でも、一緒に行ってくれるような人なんて...

いた。
奇遇にも、高校の同期Tが「野付半島に行きたい」と話していた。
彼は自動車で行ける場所はだいたい回ったような男である。
旅行スタイルは違えど、それゆえに勉強になる。

さて、道連れも決まったところで、どこを拠点とし、どんなスタイルの旅行をするか?

マイナーだけど味わい深い場所で、量より質を重視するスタイル

私は、以前から港町に興味があった。
野付半島周辺の道東地方には、港湾都市や漁村が遍在している。
宿泊するとなると、釧路か...?
いや、ここはあえて根室にしよう。
名前だけ聞いたことあるけど、何があるのかよく知らない。
広大な北海道、周遊旅行をするのが一般的だが、ここはあえて根室半島周辺だけで5日間過ごしてみよう
友人Tにとってははた迷惑な話だっただろうか。

また、根室については深く下調べをしないことにした。
下調べをして臨むと、実物と顔を合わせたときの感動が小さくなる。
旅行で感動した場面というのは、予定調和が壊され、偶発的な発見をする瞬間である。
そのときの気分や天候に合わせて、その場で行きたい場所を考えることにした。

本日から7日間(たぶん)、道東・根室を訪れた出来事をお伝えする。

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