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失敗していい実験と失敗してはいけない実験(イプシロンS燃焼試験)

H3ロケットに続いてイプシロンSの実験も失敗しました。「実験なんだから失敗はあるでしょ。その為の実験なんだから」と言う人が大勢います。
しかし、実験には「失敗してはいけない実験」が存在するのです。

まず、実験とは設計・製造が想定通りできているかを確認する為のものです。
或いは設計に必要なデータを取得する為のものです。成功だろうと、失敗だろうと、その結果をフィードバックする事が目的なのです。

従って、実験における失敗は普通の事であり、失敗が良い悪いという評価は本来意味がない事なのです。 

しかし、それは一般論での話です。

世の中には、失敗してはいけない実験が存在するのです。

それは、試行錯誤の期間を終えて、開発が事実上完了した物に対して行う、
最終的な念押し確認の為の実験です。
即ち、失敗を想定していない実験、或いは、成功を確認する為の実験とも言えます。

今回のイプシロンSロケットの燃焼試験はどうでしょうか。

まず、日程として、このロケットは今年度中(2023年度)に、民間事業者に移管され、ベトナム向けの衛星を搭載して打ち上げる計画になっています。

そして今回の実験は、各報道に告知・公開しているわけです。
試行錯誤フェーズの試験であれば、ドキュメンタリーとして取材させる事はあっても、ライブで見せる事は無いと思います。

つまり、イプシロンSの実験は、失敗してはいけない実験であった事は容易に予想できます。  それゆえ開発責任者も深刻にそれを受け止めている訳です。

この失敗で一番恐るべきことは、技術力を訴求できないための信頼の失墜です。
そして、それは全ての面に置いて影響を与える事を意味します。

H3ロケットの失敗から数えれば、三回続けての失敗です。
偶然と言えばそれまでですが、それだけではない気もします。

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