怒らない人の沸点

自分はあんまり怒らない。
優しいわけではない。冷たいだけだ。
だから基本怒らない。

でも、怒ったことはないのかと言うとそんなことはない。
自分が覚えてる限り2回ある。

1回目はある蒸し暑い日のことだった。
駅から家まで10分。
セミが狂ったように鳴く中、制服を汗でビショビショにしながら帰る。
とにかく体内の熱を放出する術もなく、毎秒自分の体温が上昇していくのを感じた。
同時になんでこんな暑苦しい制服なんかを着なきゃいけないのか。なんでこんなに暑いのに重い教科書を持って帰らなくてはならないのか。イライラが蓄積していっていた。
そして、家に着いた瞬間爆発した。
自分の部屋に入り、荷物を床に叩きつけ、ベッドの上で号泣しながら暴れた。とにかく感情を外に出さないと狂ってしまいそうだった。
そう。とにかく暴れた。

2回目はある朝だ。
その日は遅くまで寝ようと思っていた。夢の中で、ちょっと変だったが、快適に過ごしていた。すると突然、ドンと部屋のドアが開くのが聞こえた。その瞬間、プツッと夢が終わり、気がつくと目を開けて飛び起きている自分がいた。まただ。最高の眠りについている時に限って母親が用もなく部屋に入ってくる。そして、部屋にあるものを一通り眺め、自分が気になったものを勝手に触る。「何これ?」と。
自分の母親はいつもこうだ。部屋に入ってくる時、立て篭もりに突撃する警察くらいの勢いで入ってくる。怖いんだよ、いつも。そして、大して人に興味ないくせに人がまあまあ機嫌良く買ってきたものに対して「何これ。どこで買ったの?なんで買ったの?」と変に興味を持つ。どうでもいいだろうが、と思う。このうずうずする母親に対する怒りをまたしても涙を流しながら放出する。感情的になるのは嫌だし、それで人を傷つけると相手も感情的になり面倒臭くなるから、一度顔を洗ってから抗議しに行く。
「部屋、勝手に入ってこないでくれる。」と。

結論怒らない人の沸点はかなり低めだ。
怒る人は心が小さいと言うが、怒らない人が心が広いわけでもない。
ただ目に見えるから見えないかの違いだ。
だが、目に見えない怒りは本人も相手にとっても非常に不健康だ。

皆も気を付けるが良い。


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