ラクスの決算から考える今後の成長可能性と懸念点

どうもコージです! 私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。 そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回取り上げるのは株式会社ラクスです、楽楽精算などのサービスで知られいている企業です。
個人的な話ですが何を見たからなのか不明ですが、最近のyoutube広告がこの楽々精算が流れる事が増えて気になったので今回はこのラクスの現状と今後について考えていこうと思います。

まずは一旦事業内容から確認していきましょう。

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このラクスの現在の主力事業は楽楽精算というクラウド経費精算システムで、その料金体系としては利用人数課金+オプション料をサブスク型で課金収入を得る企業となっています。

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そしてラクスはこのクラウド経費精算システムの売り上げシェアでは24.4%と業界2番手で、導入社数では2位以下に4倍近い差をつけてトップとなっています。
ちなみに売上規模では6割を占めているのは大企業向けにサービスを展開しているコンカーです、ラクスは比較的小規模な企業での採用が多い企業だという事ですね。

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またその他にも、楽々明細といった請求書や納品書等の電子帳票発行システムや販売管理のシステムをクラウド型で提供していたり、メールディーラーといったメールの共有管理システムなどその他にもいくつかのサービスをクラウド型で提供しています。
ざっくいうとクラウド化してDXを進めるよ、というサービスを展開している企業です。

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また、その他にもIT人材事業も行っていて、この事業では未経験のエンジニアを採用して育成し、派遣を行うというIT人材に特化した人材派遣を行っている企業でもあります。

それでは事業内容がざっくりと把握できた所で業績を見ていきましょう。

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売上高は31.4%増の110.4億円、影響利益は204.8%増の27.8億円、純利益は255.5%増の20.2億円となっており増収増益と非常に好調だったことが分かります。
また、売上は30%の伸びですが利益は2倍以上に伸びており売上の伸びに対して利益の伸びが大きいことも分かりますね。

経費精算や帳票管理などのクラウド化はそもそも市場が成長していましたし、このコロナ禍でテレワーク化も進む中でさらに需要が増加してきたビジネスですから、成長が続いていると考えられます。

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また、今期に関しては売上の増加に対して利益の増加が大きかったわけですが、その要因としては売上が3割以上伸びている中でも販管費が減少している事が大きな要因だと分かります。

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どうして販管費が減少したのかというと最大の要因は広告費の減少です、前期が15.8億円だったところから今期は6.9億円まで約9億円近く広告費を減らしています。

コロナでクラウド化の需要が高まった事により広告費をかけずとも集客が出来ていたという事で、追い風があったという事ですね。

一方で人件費は前期の43億円→56億円へと13億円増加させていますから、人的投資を拡大していたようです。

コロナの追い風を生かして人的な投資を拡大できたようですからその点は非常にポジティブな要因ですね。

続いてもう少し詳しく事業内容を見ていきましょう。

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ラクスの事業セグメントは①クラウド事業②IT人材事業と先ほど見た通り2つあります。

それぞれの事業の業績の推移は
①クラウド事業:売上88億円(36.3%増) 利益26.1億円(287.7%増)
②IT人材事業:売上22.4億円(15.2%増) 利益1.7億円(28.0%減)
となっておりクラウド事業に関しては増収で大幅増益と非常に好調ですが、IT人材事業に関しては増収ながらも減益となってしまっていたようです。

エンジニアは明確に不足していますので、もう少し好調でもよさそうな気がしますが意外とこのIT人材事業は伸びていないんですね。

続いてもう少し詳しく各事業がどうしてこのような業績の推移となったのかについて見ていきましょう。

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まずは増収ながらも減益となってしまっていたIT人材事業ですが、こちらの事業ではリモートワーク下での新規エンジニアの受入ノウハウが確立されていないことに起因するエンジニアのアサインの遅れが継続することにより、売上高への影響を受けたとしています。

エンジニアはまだまだ不足していますし、需要も高まっている事は間違いないですが先ほど見たようにラクスでは未経験者を受入て教育し派遣するといったビジネスモデルをとっています。

となると経験が少ないエンジニアの方が多いでしょうから、受け入れ側としてもリモート対応など業務フローが出来上がっていない所に、ラクスの経験が少ないエンジニアの受け入れという所には問題が生じていたという事ですね。

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これまではIT人材事業のエンジニアの数を右肩上がりで大きく増やしていて、例えばコロナの影響が出る以前では2019年3月末には303人だった人員が2020年3月末には420人と大きく増加していたわけですが、今期に関しては6月末には451人まで増やしたものの、12月末では436人と減少しています。

エンジニアの受け入れに問題が生じ低稼働が続く中で採用活動を停止していたようです。

今回の決算では売上は15.2%増えていました、人員は前期の平均を取ると361.5人、今期の平均を取ると439人ですから人員ベースでは21%増という事で、人員の伸びほど売上が伸びていないという事で、稼働率が低下していたという事が分かります。

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しかし直近では稼働率が回復してきたことで停止していた採用活動を4月入社に向けて再開したとしています。
エンジニア自体は不足しているのは間違いないですから、一時的には受け入れ態勢の問題などもあり需要減があったとしても需要は回復していく可能性が高そうです。

なので今後に関しては、流石にエンジニアの受け入れ体制が整備できた時期でしょうから成長が期待できるのではないでしょうか。

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続いてクラウド事業ですが、こちらでは当初に見た通り①楽楽精算②メールディーラー③メール配信④楽楽販売⑤楽楽明細と主に5つのサービスを行ってなっています。

そしてそれぞれの売上は
①楽楽精算:売上14.4億円(41.6%増)
②メールディーラー:売上5億円(15.4%増)
③メール配信:売上5億円(27.0%増)
④楽楽販売:売上3.3億円(47.5%増)
⑤楽楽明細:売上3.2億円(114.7%増)
となっており全サービスが成長していて好調です、また主力事業は楽楽精算で、大きく伸びているのはこの楽楽精算と楽楽明細、楽々販売となっているようです。

クラウド化の需要自体が高まってサービス全体で市場自体が大きく成長している影響も大きいです、やはり成長市場で事業をするというのが企業の成長では最も重要なポイントですね。

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現状この主力のクラウド経費精算システムに関しては、従業員50名以上の10万社をターゲットとしていて、その10万社の内で紙やエクセルで管理している企業が全体の63.6%とまだまだ紙ベースでの管理が主流ですから市場開拓の余地は大きいようです。

さすがに今後はデジタル化が進んでいく事は間違いないでしょうからどの程度市場シェアを取れるかが重要になってきますね。
そんな中でラクス自身は最低でも2万社の獲得を目指すとしています。

そしてこの市場シェアの獲得に関してですが個人的にはなかなか難しいのではないかと考えています。

その理由はクラウド会計システムの普及です。

現状紙やエクセルで経費精算をしている企業では会計システムも、スタンドアロンのものを利用しているケースが多いのではないでしょうか。
経費精算をクラウド化しようとする際にはもちろん経理関連の仕事の方が主導して進めていく事になるはずで、となると経費精算だけではなく会計システムを含めた全体のクラウド化を考えるケースが多いのではないかと思います。経理の方が一番起点としたいのは会計システムですよね。

そうすると、クラウド会計を提供している企業のには基本的に経費精算のサービスもありますから、まとめて同じ企業のサービスを使ってシームレスにつながったほうがいいよねってなるのではないかと考えています。

これまではクラウド会計がそこまで浸透していない中で、経費精算を先にクラウド化させることで成長してきたラクスですが、クラウド会計が浸透し採用企業が増える中で新たな市場を開拓する部分に関しては個人的にはクラウド会計を持っていないときついのではと思っています。

現状ラクスはオービックのクラウド会計である奉行シリーズや、PCA会計などとはAPI連携しているようですが、例えばオービックなどは経費精算のサービスも提供している中で、新しく会計と経費精算のサービスを導入する企業があえて別々企業のサービスを利用する事は考えにくいですよね。

また、現状はAPI連携がある事で利用を続けている企業も多いはずで、その連携が打ち切られると一気にサービス離れが進むといったリスクもある点には注意が必要でしょう。

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今後に関してはラクスも新しいクラウドサービスを提供していって利便性を上げていくようですが、会計への進出は難しいでしょうから個人的には会計を持てていないというのは痛いと思っています。

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また2018年~2021年3月期の中期目標としては年間の平均成長率を30%としています。

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今期の3Qまでに関しても31.4%の成長ですし、そもそもサブスクで年額の課金も多く年度末支払いも多いようで季節要因として4Qは売上への寄与度が高いとしていますので中期目標は十分に達成できるでしょう。

中期目標が達成できた中で次の中期目標をどのように設定するのかにも注目ですね。

という事でコロナも追い風で広告費をかけなくても大きく業績が伸びるような状況にいましたし、一時的に業績が伸び悩んだIT人材事業も回復傾向で、これからは伸びていきそうです、そして今後もさらにクラウド化の需要が高まる中で基本的には好調が続くことを予測します!!

しかし今後の経費精算などの新規市場開拓に関しては、クラウド会計中心にサービスが普及していくと考えて伸び悩みが起きていくのではないかという事も予測します!!

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