神戸物産の財務状況から考える、まだまだ投資を加速していく理由

どうもコージです! 私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。 そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回も見ていくのは株式会社神戸物産です、業務スーパーの運営をメインとしている会社ですね。

この会社については前回も取り上げていますのでよろしければそちらからご覧ください。

そして今回はこの記事が間違っていましたという謝罪と、神戸物産の財務戦略から今後も積極投資をしていくという事が見えてきましたのでその話をしていこうと思います。

まずは前回の記事に関しての謝罪です!!
これは結構大々的なミスをしていて、そもそものビジネスモデルの把握が間違っていました。

神戸物産のメインである業務スーパーは、ほぼ全てがフランチャイズで、神戸物産自体はフランチャイズへの商品の卸をメインの収益源としている企業なのですが、私は直営店の運営をメインとしている企業だと思っていました。

恥ずかしげもなく言い訳をしてしまうと、結構前に業務スーパーは直営が多いという話を聞いたことがあって今回決算を読む際には調べもせずに直営メインだと思って読み進めてしまっていました。

これは本当に申し訳ありません、そして前回神戸物産の原価率が同業他社と比べて非常に高いという話をしていましたが、これはビジネスモデルに要因があったという事ですね。

なので前回の記事を修正して同業他社との比較部分を削除しています、しかしフランチャイズ店への卸がメインだとしても原価率が高いという点は変わりありませんし、商品への投資が積極的だという事も変わりませんのでトータルで見た結論で、神戸物産が強いなという考えに関しては変化はありません。

という事でまずは謝罪からのスタートでした、初めて決算を読む会社はどこかで見聞きした知識で知っているつもりにならずに一度ちゃんと確認することが非常に重要でした。大反省です。

さて、続いては話を完全に変えて神戸物産がこの商品力へさらに投資を加速させていく事で企業が強くなっていく根拠について話していこうと思います。

それではまずこちらの資料をご覧ください。

バインダー1_ページ_01

前回の記事でも触れた通りで非常に業績が好調な神戸物産ですが、財務の健全性を表す自己資本比率では29.5%とそこまで高くない事が分かります。

スーパーマーケット業界の自己資本比率は平均で40%ほどですし、スーパーマーケットの上場企業で自己資本比率を比較してみるとこの神戸物産はかなり下の方にいる企業です。

フランチャイズの運営がメインでリアルな店舗を持たないという事は基本的には他社と比べて財務状況は良くなるはずです。
リアル店舗を持つためには初期投資が大きくなるので、基本的には借入などが増えて自己資本比率は低くなるという事です。

ではどうして神戸物産の自己資本比率が低くなってしまっているのでしょうか?

それでは具体的に財務状況を見ていきましょう。

バインダー1_ページ_14

まず現預金や売掛金といった手元資金は873億円ほどあることが分かります。

さらに現預金が698億円ほどあり、資産全てで1481億円ですから47.1%と資産の約半分を現預金としてもっていることが分かります。

バインダー1_ページ_15

一方で流動負債は469億円、負債を全て合計したとしても889億円ほどで手元資金だけで負債のほぼ全てをまかなえるような状況にいて、財務状況が非常に良好だと分かります。

ではどうして自己資本比率が低かったのかというと、短期借入金が145.9億円、長期借入金が346.9億円と合計で借入金が492.8億円と多額であることがその要因だと分かりますね。

先ほど見たように現預金は698億円ももっていますので、この借入を返済しようとおもえば出来るわけですよね。
もし借入を返済したとして自己資本比率を計算してみると、60%ほどとなりますのでその点からも財務状況が良好な事が理解できると思います。

今はどれだけ低金利といえど借入にはもちろん利息がかかるので、多額の借入をしていれば収益を圧迫することになります、ではどうしてこれほどの手元資金を持っているのでしょうか?

まず考えられるのは、多額の運転資金がかかってしまうビジネスをしているケースです。
では運転資金の計算をしてみましょう。

運転資金を計算する方法は
運転資金=(売掛金+在庫)-買掛金
で計算されます。

これは簡易的な方法ですが大まかな数字はこれでつかめます。
これを計算してみると、運転資金=(266.1億円+90.6億円)ー221.6億円=135.1億円となります。

現預金が698億円ということから考えると、そんな運転資金を必要とする事業ではないことが分かりますので、これが手元資金を必要としている理由ではなさそうですね。

となると考えられるのは、積極的に投資をしていきたいので機動的に投資が出来るように手元資金を確保しているという事です。

続いてこちらの資料をご覧ください。

バインダー1_ページ_06

神戸物産は国内グループ工場へ積極的な設備投資をしたとしています、実は神戸物産はPB(プライベートブランド)などの強化のために、積極的に工場などへ設備投資や買収などを行っているのです。

なのでこの手元資金はまだまだこれからも、工場の買収や設備投資を通じて商品開発へ投資していく事の表れであると考えられます。

機動的な投資や買収を行うために手元資金を置いておこう、利息はそのための投資だという事ですね。

後は今回の決算では、外食事業を行う子会社のクックイノベンチャーを連結除外としていました。
しかし「食の製版一体体制」というのを唱えている神戸物産はこの外食事業への展開というのもまだまだ狙っています。

となると新型コロナの感染状況の落ち着き次第では、外食企業の買収を行う可能性も十分にある事が分かりますね。

なのでこの多額の借入を維持したまま、手元資金を持っている事からも分かる通りで今後も神戸物産はPBなどの商品開発を中心に工場などへの積極投資を行っていく予定でまだまだ商品力が伸びていくと考えられますので、その商品力が集客力に繋がりまだまだ業績が伸びる可能性が十分にありそうです!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?