ハイデイ日高の決算から考える今後の業績と飲食店の現状

どうもコージです! 私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。 そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回見ていくのは株式会社ハイデイ日高です、飲食チェーンの日高屋の運営をメインとしている企業です。
飲食業界では緊急事態宣言明けから客足が戻りつつありましたが、12月に入り感染者数が増加し自粛ムードが高まるなど再び厳しい状況となり始めています。

そんな中で今回の12月で本格的に閉店を決めた、小規模飲食店などがかなり増えてきているようで、店舗の契約などがありますので今すぐではありませんが、年明け数か月でかなり閉店が増えるとも言われています。

今回は日高屋の今後と飲食業界の現状について見ていきましょう。

それではまずこちらの資料をご覧ください。

売上高は27.6%減の227.4億円、営業利益は30.6億円の黒字から20.6億円の赤字へと赤字転落、純利益でも19.3億円の黒字から19.2億円の赤字へと赤字転落となっており、非常に厳しい状況にいる事が分かります。

それでは続いてはどうしてこのような業績の推移となったのかについて見ていきましょう。

もちろん一番の原因は、新型コロナによる店舗の休業や時短営業、客足が遠のいた事ですね。

それ以外にも売上高の減少によって原価率は前期が27.4%だったところから28.4%へ原価率の増加や、キャッシュレス決済の取扱高増加による支払手数料の増加もあったようです。

こういった大手の飲食チェーンでは、仕入れがかなり大きな規模となりますのでボリュームディスカウント(いっぱい買ったら安くするよ)も効いているはずで、売上が大きく減少してしまうと仕入れが減少しボリュームディスカウントが効かなくなることで原価率が上がってしまうという2重の悪影響を受けてしまう構造になっているという事ですね。

また、キャッシュレス決済の増加によって支払手数料が増加したという事です。新型コロナもあってかなりキャッシュレスは進んだ印象ですのでそれによって支払視手数料が増加したという事でしょう。

キャッシュレス割合が増えれば現金管理のオペレーションコストが減少することで、手数料を支払ってもペイできるようになるでしょうが、今はキャッシュレスの過渡期ですし、日高屋は私も行きますが客層を見ていると現金支払いは結構多いです。

とすると現金の管理コストと、キャッシュレスの手数料を2重で払う状況が続きそうですので、しばらくの間は手数料増加による利益率の減少は続きそうです。

また、SNSやテレビCMを通じてブランドイメージ向上のために広告宣伝費を増加させたともいっており、それも業績を押し下げた要因となったようです。

日高屋のような大衆的な飲食店では、感染症対策を行っている、対策が出来ている事を周知していく事が重要でしょうから、こうして広告費をかけてブランドイメージの向上を図るというのは重要そうですね。

しかしこの赤字転落と厳しい中でも、どうして広告費を増加させる事が出来るのでしょうか?
財務状況を見てみましょう。

まず、流動資産は111.6億円ほどあり、その中でも現預金が90億円と現預金が大半を占めている事が分かります。

一方で負債は全て合計しても43.9億円と現預金の半分程度で財務状況は非常に良好なキャッシュリッチ企業だという事が分かります。

だからこそ、コロナで赤字転落となる中でも広告費を増価させる事が出来るという事ですね。

店舗展開に関しても、10店舗出店し15店舗を退店したという事ですので、店舗数自体は減少しているものの、出店自体は継続しているようです。

やはりコロナ禍で普通は出てこないような好立地にも空き店舗が出ていますので、この良好な財務から考えても、不採算店舗は撤退して好立地の店舗を増加させていっている事が考えられますので、長期的に見れば好調が期待できるかもしれません。

また前回(2020年3月~8月)の決算と今回の決算発表(2020年3月~11月)を比べてみると、営業利益は20.7億円→20.64億円となっており3Qのみに絞ってみてみると600万円ほどですが営業黒字化している事が分かります。

9から11月の月次を見ていると既存店で9月が80.7%、10月は87%、11月は82.3%となっており平均すると83.3%ですのでざっくりですが、前期比83%程度が損益分岐点となっているようです。

では次回の決算で4Q単体では黒字化が期待できるのでしょうか?

個人的にはこれはなかなか難しいと考えています。
というのも、10月には前期比87%まで回復していた月次は11月には82.3%まで下落していて、これに関しては日高屋も感染再拡大の影響で客足が遠のいたと言っております。

となるとさらに自粛ムードの高まりがある12月は11月以上に売上が減少してしまっている可能性は高いですし、冬であるという事、変異種が見つかっている事などから考えてもまだしばらく減少傾向が続く可能性が高そうです。

となると損益分岐点の前期比83%程度を超えるのはなかなか難しいのではないでしょうか。

また、日高屋自身も通期の見通しに関しては、営業利益は20.64億円の赤字→21億円の赤字へと多少ながらも拡大の見通しを立てているようです。

これに関しては、11月からの感染の再拡大の影響と大きな売上が期待できる年末年始の需要に影響を及ぼしている事が大きいようです。

また、酒類の提供時間の短縮要請に関しても期末まで続くとしている事も影響しているようです。

日高屋は酒類の提供を近年は伸ばしていて、こういった飲食店でのちょい飲み需要というのも近年は増加していましたよね。

やはり酒やおつまみというのは高利益率の商品ですので日高屋にとっても重要な部分です。
この部分の新型コロナの感染再拡大の影響というのは大きいでしょうからから悪影響が避けられなさそうです。

また、日高屋などはオフィスでの昼食需要というのも大きいはずで、その部分もテレワーク化によって悪影響が長期化しそうですね。

という事で、日高屋は非常に財務体質が良好で、好立地への出店や広告費をかけた集客などを行う事が出来る一方で、原価率、オフィス需要、高利益率のちょい飲みなど、多くの場面で新型コロナの影響を受けやすくなっていますので、まだしばらく業績の悪化が続くことを予測します。

しかしこの3Qに関しては、営業黒字化を達成しているようで、前期比8割程度は守れていますので大きな赤字が継続するという可能性は低く、利益ゼロくらいの水準が続きそうです。

コロナの影響が大きくではじめた頃は7割経済なんてよく言われていましたが、こういった定食屋さんでは8割程度までは戻ってきているようです。

7割で利益が出る仕組みを作れた所は経営が続けられそうですが、そう出来なかった所はこれ以上コロナの影響が長期化するとやはり閉店が増えていきそうです。

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