松井証券の決算に見る、新型コロナで口座開設急増の影響

どうもコージです! 私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。 そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回見ていくのは松井証券株式会社です、ネット証券大手の1つですね。

こんなニュースがありました。

ネット証券、口座開設が急増 株価急落で初心者参入
インターネット証券で新規口座を開設する個人が急増している。楽天証券では2月の開設数が初めて10万を超え、3月は2月比で3割程度増えそうだという。初心者が足元の株安を「投資を始める好機」と捉えている。これまでの相場下落局面でも新規開設は増えたが、広がりは一時的だった。個人投資家の定着には証券会社のアフターフォローが課題だ。

2020年3月には、新型コロナの影響による株安を受けて証券口座の開設が増加しているようです。
4月も証券口座が増加しているようですから、その影響で個人向けの手数料をメインとしている証券会社である松井証券の業績が向上するのかについて考えていきましょう。

それではまずこちらの資料をご覧ください。

2019年4月~2020年3月期の営業収益は11.6%減の241億円、営業利益は33.8%減の89億円と業績が大きく低迷していることが分かります、意外と不調なんですね。

証券口座は3月に大きく増加していることが分かります、初心者比率も66%と初心者の口座開設が増えているんですね。

さて口座が増加しているわけですが、どうして業績が低迷してしまったのでしょうか?
大幅増加が3月からという事で、今後は業績が大きく向上することはあるのでしょうか?

まず業績が低迷している要因として、最低水準まで取引手数料が引き下がってしまった事、アメリカの証券会社が株式委託手数料無料化を初めたあおりを受けて日本の証券会社も1部無料化の動きが起きた事などあるようです。

ネット証券の株式取引事業というのは商品性に差が付けられないわけです、松井証券で株を買おうとSBI証券だろうと楽天証券だろうと、買った株式に差がつくことはありませんよね。
つまり、競争力となるのは価格(手数料)しかないわけです。

収益は、手数料×取引量となるわけです。
競争力となるのが価格である以上、手数料が上がる事は考えられませんので、収益性を向上させるには取引量を増やしていくしかないわけです。

それでは、取引量が増えていく見込みはあるのでしょうか?

その取引量は、一部の大口顧客に依存している事が分かります。

松井証券の現物取引手数料は、1日50万円までは手数料0円、100万円までは1000円となっていますので、例えば100万円の運用額の顧客が月2~3回程度しか取引しなければ、ほとんど松井証券の収益とはならないわけです。
小口の顧客が増加してもあまり松井証券の業績向上に繋がらない訳ですね。

松井証券の収益源となる顧客層は豊富な資産をもっている50歳以上の個人投資家で、預かり資産の8割以上を占めているようです、大口の個人投資家が業績に大きな影響力があるという事です。

しかし口座開設が進んでいるのは30代以下の若い層ですから、口座数は大きく伸びていますが若い層なので収益性を大きく向上させるような大口顧客は少ないでしょうし、そもそも大口顧客は既に口座を持っているでしょう。
つまり今回の口座開設急増はそれほど松井証券の業績を向上させるものではないでしょう。

しかし若い世代が重要ではないかというと、そんな訳はありません。
当然将来の大口顧客が産まれてくるのはこの層からだからです、メインである証券口座を変えることはあまり多くないですから、青田刈り理論でしっかり利用者を増やしていくことは長期的視点ではめちゃくちゃ重要です。

松井証券の未来!!

広告費が43%も増加していて、これが収益性を低下させている要因の1つだという事が分かります、さきほども書いた通り若い世代の口座数を増やしても短期的には収益性は向上しないわけですが、その世代の口座数は増やしていく事は重要ですから、広告費の削減をすることは難しそうです。

という事で口座の増加は短期的には収益性の向上には繋がらず、手数料も上がらない、広告費などの経費を削減をすることも難しいとなると長期的に業績の向上は望めないでしょう。

今後も業績の低迷が続くことを予測します!!

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