ヤーマンの決算から考える上方修正がおきる可能性

どうもコージです! 私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。 そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回見ていくのはヤーマン株式会社です。
美容機器や化粧品など美容に関する商品を取り扱っている企業です、美顔器など家庭用製品も人気ですから巣籠りの影響で好調と考えられる企業です。

売上の構成を見てみると、自社製造・規格の製品が73%もあるように企画製造、販売まで自社で行っている企業だということも分かりますね。

今回はそんなヤーマンの決算から美容業界の現状と今後について考えていきましょう。

それでは早速こちらの資料をご覧ください。

売上高は62.6%増の187.3億円、営業利益は133.9%増の40.3億円、純利益は147.3%増の23.5億円となっている事が分かります
かなりの増収増益でやはり巣ごもりの影響を受けて好調だという事が考えられますね。

続いてもう少し詳しく業績の内訳を見ていきましょう。

ヤーマンの事業セグメントは①通販部門②店販部門③直販部門④海外部門と販路別の区分と海外事業で計4つあります。

そしてそれぞれの事業の業績の推移は
①通販部門:売上27.3億円(11.3%増) 利益11.9億円(19.4%増)
②店販部門:売上34.9億円(14.0%減) 利益10.1億円(30.9%減)
③直販部門:売上66.5億円(194.8%増) 利益30.1億円(223.4%増)
④海外部門:売上54.9億円(143.2%増) 利益20.7億円(202.5%増)
となっており、店販部門を除く全セグメントでなことが分かります。

特に好調なのが海外部門と直販部門ののようで、ここの伸びが大きく店販部門の減収をまかなっているようですね。

ではそれぞれの事業がどうしてこのように推移したのかについてみていきましょう。

まずは通販部門ですがこちらではテレビによる通販業者を経由した販売や、カタログ通販会社向け、インターネット専売業者向けの販売を行っており、いわゆるtoB向けの販売を行っているようです。

そして今回好調だった理由としては、地上波テレビ通販が非常に好調だったとしています、やはり巣ごもりの影響でテレビの視聴時間も視聴者数も増えていたようですからその好影響があったようですね。

最近はまた自粛のムードが高まっていますので、そうなれば再び巣籠りによる好調となる可能性もありそうです。

続いて店販部門ですが、こちらは家電量販店や大手百貨店、バラエティショップなどで販売をしているようです。

そしてこの部門に関しては、やはり新型コロナによる店舗の休業や時短営業の影響を受けて業績が悪化したとしています。
リアルな店舗を販路とする以上これはなかなか避けられませんね、しかしそれでも利益は出ていますし売上も14%ほどの減少にとどまっています。

コロナ禍で百貨店などは不調でしたが、郊外に位置する家電量販店などはむしろ好調となっていましたので販路の種類の多さが利益水準の維持につながっていると考えられそうですね。

百貨店などを中心にまだ業績の回復は遠そうですが、販路の豊富さから考えるとある程度リスク分散が出来ているので、利益は十分に出せる水準を保てるのではないでしょうか。

続いて直販部門に関しては、インフォマーシャルや雑誌、新聞、ウェブなどを用いて顧客へ直接販売している事業のようです。
いわゆるtoC向けのビジネスだという事ですね。

こちらに関しては巣籠りの影響で自社の直販サイトを中心に業績が伸びたとしています。つまり自社ECが好調だったという事ですね。

その他にもインフォマーシャルも伸びたとしています、このインフォマーシャルとは1つのアイテムを20~30分かけて紹介するというインフォメーションとコマーシャルを掛け合わせたテレビショッピングの手法のようです。

こちらも巣籠りで好調だったと考えられます。

また、今回の決算ではこの直販部門では売上が194.8%増、利益が223.4%増と大きく伸びていました、となると自社ECに登録してくれた方も多いはずす。

やはり登録の手間というのが自社ECを伸ばすうえで大きな課題となります、「登録が面倒だから登録してあるアマゾンや楽天で探そう」ってなっちゃいますよね、それが新型コロナで伸びて、登録してくれた方増えているという事で長期的な好影響が考えられます。

最後に海外部門ですが、こちらは中国での通信販売が好調だった事から業績が大きく伸びたとしています。

実はこのヤーマン製品は中国で人気で、消費が大きく伸びるネットセールである11月11日の独身の日には美容機器部門で売上トップ、中国の消費者が購入した輸入ブランドでも1位を獲得するなど好調なようです。

中国はやはり巨大市場ですから、そこで業績を伸ばしていければ今後も大きな業績の伸びが期待できます。

また直近の3年で比較をしてみると、実は前期は前々期と比べて売上は24.5%減利益は59.4%減と大きく減少している事が分かります。

今回の好業績となっていたのはは今期が好調だったという事もありますが、実は前期が不調だったという影響も大きいという事ですね。

ではどうして前期は不調だったのでしょうか?

不調の要因は店販部門と海外部門で、店販部門では免税店での海外顧客に対する売上が大きく落ち込んだとしています。

中国人観光客の爆買いのようなもののブームは去って久しいですが、美容系や医療系は人気が続いていたようですがその売上にも陰りが出てきたという事かもしれません。

また海外部門では中国では好調だったものの、香港や韓国向けの売上が落ち込んで不振だったようです。
香港では政治的な要因で情勢が不安定でしたし、韓国では日本に対する不買運動が広がっていましたのでその影響が出ていたようです。

今回の決算では、韓国や香港では不調が継続している可能性が高い中でも中国人気で売上が増加していたようですので、今までは日本に旅行に来て買うというケースが多かった所から、中国の国内のECなどで買ったりする流れに移行していそうです。

となると日本に観光に来る方のみの市場と中国国内全体を対象にする市場では、当然後者の方が有利ですので、免税店の売り上げ減少は悪い事ではなさそうで今後の海外事業も期待できそうです。

また、改めて先ほどの資料を見てみると前期と比較すると業績が大きく伸びていたヤーマンですが、前々期と比較すると売上では152億円→187億円へと伸びている物の、営業利益では42.3億円→40.2億円へと減少してしまっている事が分かります。

ではどうして利益率が下落してしまったのでしょうか。

2018年10月期には26.3億円ほどだった広告費が2020年10月期には45.5億円まで増加している事が分かります。
対売上高比で見てみると17.2%→24.3%へと広告費に掛ける割合が大きく増加していますね。

つまりこの広告費の増加が利益が減少した要因だという事ですね。

また、2018年10月期と2020年10月期のセグメント別の業績の推移を見てみると海外部門の売上は46.8億円→54.9億円へと17.3%増加している一方で営業利益面では23.1億円→20.7億円へと減少してしまっている事が分かります。

となると考えられるのは中国市場への進出をさらに進めるために、海外部門で広告費を積極的にかけているという事ですね。

独身の日の好調を考えてもある程度この取り組みが上手くいっているという事でしょうから、中国市場での成長は期待が出来そうです。

また今後に関しては積極的な投資をさらに行っていくとのことです。

広告宣伝に関しても、積極的に展開して長期的な視点でヤーマンブランドの認知を向上させていくとのことで、投資期間として積極的に広告費をかけていく可能性がありますので、売上が伸びたとしても利益面ではそれがついてくるかは分からなそうですね。

また、M&Aなども含めて投資機会を継続的に検討していくとの事です。
こちらに関しては中国でも認知度があるようなブランドを買っていくという事がありそうですのでその点には注目です。

という事で、通販部門では自粛のムードが高まりによる巣籠りにで再び好調となる可能性がありそうですし、直販部門もその点は同様でさらに前回の自粛時に自社ECサイトに登録した方が増えていそうなので非常に強そうです。

海外部門に関しても中国中心に成長しており、独身の日も好調だったという事で期待できそうです。

店販部門では自粛ムードの高まりで業績の悪化が考えられますが、販路が多様だという事からそこまで大きな業績悪化が起きにくいので、他部門の好調で十分にまかなえると考え、好調が続くと予測します!!

ただし広告費をさらに積極的にかけて将来へのブランド価値上昇や、中国市場拡大を進めていく可能性が高いので、売上の伸びと比べると利益面ではそこまで伸びない事も予測します。

また今後の業績予測については、11月17日の予測から変更がないとの事です。
独身の日に関しては好調だったようですが11月11日ですので、その売上が織り込まれている可能性は高そうですが、確実ではないのでで何とも言い難いですね。

ただ、ちょうど今日GoToが年末年始で除外となったというニュースがありました。
となると年末年始を自宅で過ごす方も増えるはずでECなどの消費が増える可能性が高そうですので今後は上方修正が起きてくる可能性も十分にありそうです。

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