サイゼリヤの決算から考える、下方修正が起こる理由とサービス業の新しい日本式雇用

どうもコージです! 私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。 そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回見ていくのは、株式会社サイゼリヤです。
社名の通りサイゼリヤを運営している会社ですね。

こんなニュースがありました。

サイゼリヤ、財務健全でも融資枠設定へ 数百億円検討

サイゼリヤが新たに数百億円規模の融資枠を設定する検討を始めたことが15日までに分かった。約400億円という足元の手元資金と同水準になる可能性がある。新型コロナウイルスの感染拡大で8日に2020年8月期通期の連結業績予想を下方修正、先行き不透明感が広がっている。同社は財務健全企業として知られるが、それでも手元資金積み増しへ動く

どうやらサイゼリヤは、数百億円レベルの融資枠の設定を検討しているようです。
飲食業界の中では財務体質が良好な事で知られていた、サイゼリヤでさえ融資枠を検討するという事で、新型コロナの影響が長期化することが確実になり先行きが読めない状況が続いている事が分かります。

それではまず良好といわれている財務状況を見ていきましょう。

現預金と未収入金を合わせると、448億円ほどあることが分かります、それに対して流動負債は192億円ですからどれだけ少なく見積もっても250億円以上の余裕資金があるはずです。
確かに財務体質は良好な事が分かります。

直ぐに財務状況が悪化してしまうという事は考えにくいですね。

続いてこちらの資料をご覧ください。

新型コロナの影響を受けて、サイゼリヤは2020年4月8日にした第2四半期の決算発表で業績期の下方修正を行っています。

下方修正がありましたがそれでも35億円ほどの純利益の予測ですから、財務状況も良好でまだ利益が出るのであれば経営は盤石な気がしますね。

続いてこちらをご覧ください。

実はこの下方修正は、新型コロナの影響が読めないため合理的な見積もりができない事から4月以降はその影響がないとして修正されたものだという事が分かります。
つまり今後確実に下方修正が行われるという事ですね。

さらに4月以降は新型コロナの影響がないとして下方修正したにも関わらず、3月だけで売上に83億円、純利益に25億円も下方修正となる影響があったという事になりますからその影響の大きさが分かります。

4月からは緊急事態宣言を受けて、一部店舗で休業や時短などが行われている訳ですから、さらに見通しが悪化しているはずです。
となると3月時点よりさらにインパクトの大きな下方修正が行われる可能性が高そうですね。

飲食店経営の今後!!

ニュースなどでもよく取り上げられていますが、緊急事態宣言を受けても多くの飲食店が店舗を閉めるという判断が難しいのは、固定費の存在にあります。

飲食店で大きな固定費は、もちろん家賃と人件費です。
休業してしまうと収入はゼロになりますが、家賃の支払いは必要ですから家賃は丸々持ち出しになってしまいます。

また人件費は飲食店の場合は時間給の方も多いのである程度は調整可能ですが、サイゼリヤのような大企業になると正社員も非常に多くそう簡単に減らせるものではありません。

こちらの資料をご覧ください。

前期の2018年9月~2019年8月期では、人件費が375億円、賃借料(大半が家賃だと考えられる)が206億円ほどあることが分かります。
単純計算で1ヶ月で人件費が30億円、家賃が17億円かかることになります。
もちろん人件費は、時間給の分減少するでしょうし賃借料にも家賃以外が含まれているでしょうがそれでも、月間40億円程度はキャッシュアウトとなるでしょう。
200億円の余剰資金があるサイゼリヤでも、完全休業すれば5ヶ月程度しか持たないわけですから飲食店が休業の判断は簡単にできないことが分かりますね。

今後もまた新型コロナのようなウィルスの猛威はまたやってくる可能性は十分にあります。
なんの準備もしていなかった今回は政府の援助などを利用して耐えるしかないですが、国の財政には限界がありますから次回もまた国の財源を利用していくという訳にはいきません、今後に備えていく事が必要です。

フードデリバリーなど収益源を増やしておくことなども備えになりますが、飲食店はこういったウィルスの影響が出たときに固定費が大きな問題になる事が分かりました。
次回に備えるためには、固定費を削減できる術を身に着けておく必要があるという事です。

どのような方法があるでしょうか?

例えばアマゾンは新型コロナの影響が出てからEC需要が増加して、アメリカで数万人単位で雇用を増加させています。

つまり、完全に雇用の需要が無くなっているという事ではなく、業界によっては人手が足りなくなっているわけです。
そこでどういう備えをすればいいかというと、需要が増加する業界を把握しておいて、そことマッチングできる体制を整えておくことではないでしょうか。

タクシー会社のロイヤルリムジンが全社員数百人を解雇して、失業手当を受け取ってもらい、落ち着いたら再雇用するという事をしていましたが、これを多くの会社がやると財政がひっ迫してしまいます。

そこで解雇せずに、一時的に人材不足になる事が想定される業界と事前に契約を結んでおき、一時的に労働力を提供し落ち着いたら返ってきたもらうという方法です。

アメリカのようにすぐにレイオフ(解雇)出来る雇用形態にすれば、固定費を柔軟に削減できると思いますが、長期雇用や安定を求める方の多い日本ではアメリカ式はすぐにマッチしないのではないのかと思います。

そこで、雇用自体は正社員として守って起きながらも労働力には柔軟性を持たせる方法は受け入れられやすいのではないかと思います。

日本においては雇用の流動性を高めるより、労働力の流動性をどうやって高める方がいいのではないでしょうか。

今後働き方や雇用形態なども大きな変化を遂げるはずです、様々なやり方を試していい方法を見つけていきたいですね。

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