三菱自動車の決算に見る3000億円の融資要請の理由と今後

どうもコージです! 私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。 そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回見ていくのは、三菱自動車工業株式会社です、もちろん自動車メーカーですね。

こんなニュースがありました。

三菱自、3000億円融資要請 メガバンク・政投銀などに

三菱自動車が国内外の金融機関に対し、計3000億円規模の融資を要請したことが28日、分かった。国内で三菱UFJ銀行など3メガ銀行や日本政策投資銀行に2000億円前後の融資を求め、海外でも1000億円程度の確保に向けて交渉している。新型コロナウイルスの感染拡大で販売減が長引くとみて、銀行からの借り入れで手元資金を厚くする。

どうやら三菱自動車は、新型コロナの影響で販売の減少が長引くと考え3000億円もの融資を要請しているようです。

どうして三菱自動車はこれほどの融資を必要としているのか、そして今後はどうなるのかについて考えていきましょう。
それではまずこちらの資料をご覧ください。

画像1

これは新型コロナの影響が出る前の、2019年4月~2019年12月までの業績です。
実はこの時点で、売上は7%減の1兆6669億円、営業利益は96%減の36億円、純利益は692億円の黒字から118億円の赤字に転落と、非常に業績が悪化している事が分かります。

そもそも業績が悪化していたようですね、どうして業績が悪化してしまったのでしょうか?

画像2

業績悪化の要因は、販売台数の減少、研究開発費の増加、為替の影響などが大きいようです。

為替に関してはどうなるのか全く予測できませんが、新型コロナの影響が出始めてからは自動車の販売が全世界的に大きく落ち込んでいますから、さらに厳しい状況になっている事は間違いないでしょう。

続いてこちらの資料をご覧ください。

画像3

2018年12月度は、売上が1兆7940億円、売上総利益は3396億円で2019年12月度は、売上が1兆6669億円、売上総利益が2476億円となっていますから、売上総利益率を計算してみると18.9%から14.8%へと悪化していることが分かります。
自動車販売自体の収益性も低下しているんですね。

という事で三菱自動車は新型コロナの影響が出る前から厳しい状況に陥っていたことが分かります。

日本国内でもついに新型コロナによる倒産件数が100件を超えたようですが、基本的に倒産してしまった会社は新型コロナ前から厳しい状況になっていたところに、最後のダメ押しとなったところがほとんどです。
そもそもビジネス的に限界が来ていたけれど延命していた企業からつぶれていっているという事ですね。

一方でビジネス的に限界が来ていても、今回の危機で補助金や融資によるゾンビ企業が増加する可能性が高いです。
今後は様々な会社が新型コロナを理由として赤字の説明や資金繰り悪化の説明をするでしょうが、それ以前から業績が悪化していた会社かどうかという事に注目することが重要です。

続いてこちらの資料をご覧ください。

画像4

業績不振の影響があり2019年12月の時点で、ネットキャッシュ(手元資金から有利子負債を除いたもの)が5439億円から3612億円へと1827億円も減少している事が分かります。

つまり、販売不振と収益性がによりそもそも手元資金の流出が続いていた時に新型コロナがやってきたことで、さらに手元資金が流出してしまい今回3000億円もの融資が必要になったという事ですね。

三菱自動車の未来!!

画像5

設備投資や、研究開発費が増加傾向にありますね。

新型コロナの影響で自動車は中長期的な販売不振に陥る事が予測されていますし、新型コロナ前から不振だったことを考えると研究開発や、設備投資をストップすることで収益性を上げる事も考えられますがそう出来ない事情もあります。

そもそも自動車業界自体が大きなパラダイムシフトが起きているからです、CASE(Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化))やMaaS(Mobility as a Service)などの言葉をよく聞きますよね。
単純に言うと自動車のソフトウェア化が起きるという事です。

そんな大変革期に自動運転や電気自動車への研究開発を止めてしまえば、今後は自動車の側だけを生産する会社となってしまい、車載ソフトウェアを提供する会社の下請け企業になってしまします。
なので資金不足に陥ろうと、研究開発の手を止めることは難しいでしょう。

また、市場を見てみると自動車販売台数の減少、テスラや中国企業などが電気自動車でシェアを拡大しており市場環境もよくありません。

という事で、研究開発による費用の増加が続く一方で販売不振が止まらないことで、長期的に収益性が悪化していく事を予測します!!

少しでも収益性を上げるために、1部工場の閉鎖などを行う事で大規模減損が起きる可能性もあるでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?