高島屋の決算にから考える、投資信託販売の狙いと今後

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回見ていくのは、株式会社高島屋です。
みなさんご存知の通り百貨店運営をしている会社ですね。

こんなニュースがありました。

高島屋とSBIが提携を発表 日本橋店などで投信販売へ

高島屋とSBI証券は13日、投資信託の販売など金融分野で業務提携契約を結んだと正式に発表した。SBIが取り扱う投信の販売が柱。高島屋は若年層の取り込みを狙う一方、40代以下が顧客全体の6割を占めるSBI側も接点が少なかった富裕層などの獲得で預かり資産の拡大を見込む。
高島屋の子会社で金融事業を担う高島屋ファイナンシャル・パートナーズが今春にも独立系金融アドバイザー(IFA)として金融商品仲介業に登録し、営業全面再開後の高島屋日本橋店(東京・中央)に相談の専用カウンターを設ける。高島屋の村田善郎社長は同日の電話会見で「百貨店ならではの安心感を訴求しながら、金融商品をお客さまに届けるようにしたい」と話した。

どうやら高島屋はSBIと連携して投資信託の販売を行っていくようです。
今回はどうして百貨店が投資信託を販売するのか、そして今後はどうなっていくのかを考えていきましょう。

それではまずこちらの資料をご覧ください。

2019年3月~2020年2月期の決算は、営業収益(売上)こそ9191億円で62億円の増加となりましたが営業利益は256億円で11億円(4%)の減少となり、経常利益に至っては232億円で80億円(25.7%)も減少していることが分かります。

ちなみに主要事業である、百貨店事業だけで見てみると売上高は7603億円で82億円の減少で営業利益は42億円で44億円(50.6%)の減少と非常に厳しい状況にあります。

さらに新型コロナの影響が出始めた2月、3月の売上は大分低迷している事が分かりますね。
4月に関しては緊急事態宣言が出された7都道府県については、食料品販売以外は休業を決めていますから、2021年2月期の業績はさらに厳しいものとなるでしょう。

続いてこちらの資料をご覧ください。

今期は税引き前の純利益こそ249億円ほどでていますが、実はそのうち182億円が保有していた不動産の売却益だった事が分かります、業績は厳しいようですね。
2021年2月期は不動産の売却益のような特殊要因がなければ赤字化してしまう可能性も高そうです。

業績は厳しくなっていきそうですが、経営が傾くようなことがあるのでしょうか?

こちらの資料をご覧ください。

財務健全性を表す指標に流動比率というものがあります。
「流動比率=流動資産/流動負債」であらわされ、100%を下回ると危険水準といった感じの指標です。

これを計算してみると、流動資産が2877億円で流動負債が3979億円ですから
流動比率=2877÷3979=72 %
100%を大きく下回る危険水準だという事が分かります。

ですが、流動負債の項目をよく見てみると、前受金、商品券、預り金という金銭的な支払いを伴わない負債が1787億円ほどありますのでそれを調整して計算してみると
調整後流動比率=2877÷2192=131%
となり安全水準にいることが分かります。

とはいえ今後の業績悪化とともに資金繰りが悪化してしまう可能性は当然あります。

しかし、それは高島屋にとってそれは大きな問題にはなりません、高島屋の立地を考えてもらうと分かるように一等地に相当な土地を保有しているからです。
2020年2月期の利益も不動産の売却が大きかったという事を書きましたが、その他にも不動産で莫大な含み益を持っていると考えられます。

売却しても大きな資金が得られるでしょうし、不動産を担保にすれば融資も受け放題なはずですので、資金繰りに困る事は考えにくいでしょう。

なので高島屋の経営がすぐに傾くようなことは考えにくいです。

高島屋の未来!!

高島屋は収益性が低下しているところに、新型コロナが襲ってきて赤字転落もありうる厳しい状況になっているというわけです。

そこでSBIと投資信託を販売するという選択肢を取ったわけですね。
百貨店の持っている顧客層はある程度お金を持っている人が多いでしょうからその層に売ろうという事ですね。

こちらの資料をご覧ください。

減損を出したという事もありますが、岡山、岐阜、米子といった地方の高島屋が大きく赤字となり業績を悪化させていることが分かります。

個人的には投資信託の販売強化していくのは、この地方の高島屋ではないかと思っています。
高島屋のブランド力を活かして地方の小金持ちに販売して、黒字化したいというのが狙いではないでしょうか。

しかしこれは戦略ミスであると考えています。
例えば、収益性が悪化して厳しい状況にある地方銀行は、積極的に投資信託などの金融商品を高齢者の方などに販売しています。
高齢者層からすると地方銀行は信用力があるから信じて買うわけですが、投資信託が値下がりした時が問題です。
言い方が悪いですが、銀行の金融商品を買うような方はどこのファンドが運用しているのかも分からないまま、銀行が運用販売している商品だと思って買っているような金融リテラシーの低い顧客が大半ですので、値下がりすると銀行に全てのヘイトが向かうわけです。
その結果、高齢者層からも信用力を大きく下げる事になってしまうわけです。

これが高島屋でも起こってしまう可能性があります。
投資信託が値下がりした時に高島屋に全てのヘイトが向かい、一番大切なブランド力が低下してしまう可能性が高いという事です。

という事で、特に地方の高島屋は投資信託の販売によって一時的には業績が向上するかもしれませんが長期的にはブランド力が低下してしまい、地方からの撤退が早まる可能性があるのではないでしょうか。

長期的にはブランド力の低下と、業績の低迷を予測します!!

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