最近増えている劣後ローンについて説明してみます

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

さて早速ですがこんなニュースがありました。

政投銀、ANA向け劣後ローンにコロナ特別枠を活用
金融最前線 金融機関
2020/10/27 19:10
日本政策投資銀行は27日、5月に設定した新型コロナウイルス対応の投融資枠を使って、ANAホールディングス(HD)向けの劣後ローンを実行すると発表した。コロナ禍で経営革新に取り組む企業のための特別枠で、今回の活用が初めてとなる。

ANAHDは同日、3メガバンクや政投銀などから合計4000億円の劣後ローンを調達すると発表した。劣後ローンは一部が資本と認定される資金で、コロナ禍の長期化を見据えて財務体質の改善を図る。

政投銀から供給する1300億円の一部をコロナ特別枠から出す。調達した資金は航空需要の減少に見合った中型機の投入や、利便性や安全性を引き上げるためのシステム投資にあてる。

政投銀のコロナ特別枠は政府からの財政投融資と同行の自己資金で構成する。今年度の規模はそれぞれ2000億円ずつ、合計4000億円としている。

どうやらANAは日本政策投資銀行やメガバンクから劣後ローンによって4000億円もの資金調達をすると発表したようです。

その他にもJALやスターフライヤー、イオンや大和ハウスなども劣後ローンによる資金調達を発表していて劣後ローンによる資金調達を行う企業が増えています。

ニュースにも一部が資本と認定される資金だと書いてあるように少し特殊なものなので、そもそも劣後ローンって何?って思われた方も多いのではないでしょうか。
なので今回は劣後ローンとは何なのか見ていきましょう。

それでは早速説明していきます。

まず大前提としてこれはローンと名のついている通りで借入です。
ただし通常の借入とは違う点があります。

それは返済順位が低いという事です。
返済順位が低いという事がどういうことなのかというと、例えばUFJ銀行から100万円借りていて、みずほ銀行から劣後ローンで200万円借りているとしましょう。

そん中で会社を倒産させてしまい会社には100万円しか残ってなかったとします。

そうなるとその100万円で借入の返済をする必要があるのですが、その配分はUFJ銀行が100万円、劣後ローンのみずほ銀行はゼロとなります。
返済順位が低いというのは返済が後回しにされるという事ですね。

では「返して貰えないリスク増えるし劣後ローンで貸すメリットないじゃん」って話かといえばそうでもありません。
もちろん貸す側はリスクが高いので高い利息を取れるわけです。

「じゃあ利息高いし逆に借りる側のメリットないじゃん」って話かというとそうでもなくて、まず劣後ローンは基本的に長期で返済が一括だという特徴があります。

例えば通常の借入であれば1億円借りたら10年間毎年1000万円返済みたいな感じになりますが、劣後ローンでは10年後に1億円一括返済となるので、毎年の返済の負担は無くなるわけです。

そうなると例えば、新型コロナなどで一時的に業績が悪化した場合には、とりあえず劣後ローンを組んで業績を立て直すまでに10年待つから、1億円フルで使って会社建て直してから返してねって使い方が出来るんですね。

また劣後ローンを組むと、その後に銀行から通常の借入を受けやすくというメリットもあります。

例えば業績が悪化している企業が通常の銀行借入1億円を申し込み、銀行は「財務状況も良くないし貸したくないな」って判断をして借りれなかったとしましょう。

そんな企業が、10年間の劣後ローンで1億円調達したとします。

そうすると、次に銀行へ1億円の通常借入申し込むと、劣後ローンは返済順位が低く長期なので新しい借入の返済に影響を与えないという事で、会社に単純に1億円プラスされた企業として評価が出来るので銀行も貸しやすくなるのです。

何かあった時には劣後ローンより先に返してもらえるので、1億円持ってるなら貸しといても大丈夫そうだよねってなって借りれるようになるわけです。

また、当初のニュースには

劣後ローンは一部が資本と認定される資金

とありましたが、それは先程見たように、返済順位が低くて銀行なんかが貸出しする際には、劣後ローンの金額は出資と同じように判断できる(1億円出資されたのと同じように1億円分財務状況良くなっただけだよね)事から資本と認定されるんですね。

1億円を出資によって資金調達した場合と、劣後ローンで資金調達した場合では、貸し出す側の目線からするとどちらも同じで、自分の方が優先して返してもらえるので、資本と一緒だという事で資本とみなされるわけです。

という事で劣後ローンのまとめをして終わりにしようかと思います。
①長期の借入である
②利息が高い
③期日に一括返済である
④返済順位が低い
といった特徴があるので

1 .しばらくの間返済の負担がない
2.次の資金調達もしやすくなる
3.資本と似た性質である

そんなローンだということです。

という事で今回は劣後ローンについて説明してみました!!

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