三井物産の決算にみる500億の自社株買いの理由

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今日見ていくのは三井物産株式会社です。
みなさんご存知の通り、日本五大商社といわれるほどの大手商社ですね。

こんなニュースがありました。

三井物が自社株買い500億円 今期2度目で計1000億円
三井物産は4日、500億円を上限に自社株を取得すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大を受け株価が下落基調となり、株主還元を拡充するとともに資本効率を高める。自社株買いの決議は昨年10月に続き今期2度目で合計額は約1000億円となる。総合商社は自社株買いを相次ぎ決議しており、世界景気が減速するなかで還元拡大の姿勢が鮮明だ。

三井物は発行済み株式(自己株式を除く)の1.8%にあたる3000万株を上限に買い付ける。取得期間は9日から6月23日まで。取得株の消却については今後、判断する。

2020年3月期の連結純利益は前期比9%増の4500億円と8期ぶりの最高益を見込む。主力の鉄鉱石事業が価格上昇の追い風を受けており、機械・インフラ事業も堅調に推移する。

堅調な業績をもとに500億円もの自社株買いを行う事を発表したようです。

商社株はコングロマリットディスカウントの影響もあり、株価が割安の水準にありますから株価上昇のためにも配当や自社株買いなどの株主還元を積極的に行っています。

今回は、なぜさらに株主還元を増やすことを決めたのかについて考えていきましょう。

それではこちらの資料をご覧ください。

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純利益は減少となりながらも、キャッシュフローは向上していることが分かります。
それではどうしてキャッシュフローが向上したのでしょうか?

こちらの資料をご覧ください

画像2

複数の要因がありますがその大きな要因の1つが減価償却費と無形資産の償却費の増加であることが分かります。
減価償却や無形資産の償却は、有形・無形の固定資産への投資に対して行われるもので、複数年にわたって費用となりますが、金銭的な支出を伴うのは投資が行われた年度だけになりますのでその後のキャッシュフローは利益に比べてよくなるという事です。

三井物産は2018年3月期~2020年3月期の中期計画として累計1兆7千億円~2兆円の投資をかかげていますがその影響がキャッシュフローの向上として表れていることが分かりますね。

しかし純利益ベースで見ると3501億円から3351億円へと減少しており、利益面では成長していないことが分かります。

どうして株主還元を増やしたのか?

三井物産は2018年3月期~2020年3月期の中期計画でROEの向上をかかげています。
ちなみにROEとは自己資本利益率の事で、利益÷純資産で計算されこの数字がよいほど収益性が高い企業だと評価されています。

このROEを増やすためにはどうすればいいでしょうか?

方法は2通りあります。

1.利益を増やす
2.純資産を減らす

ROE=利益÷純資産なので当たり前といえば当たり前ですね。
三井物産は利益が減少していますから、ROE向上のための策が株主還元(純資産を減らす)だったわけです。

多額の投資の影響もあり、キャッシュフローは向上していますから減益といえども株主還元するための資金は十分にあったという事ですね。

中期計画などの企業の掲げている目標を見ると、今回の株主還元のようなことが予測できるケースが多々ありますので、今の業績と目標値を比較してみるといいですよ!!

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