ロイヤルホストの決算から考える70店舗閉鎖の理由と今後の業績

どうもコージです! 私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。 そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回見ていくのは、ロイヤルホールディングス株式会社です。
ファミレスのロイヤルホストや、てんやなどを運営している会社ですね。

こんなニュースがありました。

ロイヤルHDの1~6月期、最終赤字155億円 ホテル苦戦

ロイヤルホールディングスは14日、2020年1~6月期の最終損益が155億円の赤字(前年同期は7億5400万円の黒字)になりそうだと発表した。同じ期間での赤字は9年ぶり。従来予想は5000万円の黒字だった。新型コロナウイルスの感染拡大でビジネスホテルやレストランの売り上げが落ち込む。20年12月期通期については従来予想を取り下げた。

20年1~6月期の売上高は前年同期比43%減の390億円と、従来予想を274億円下回る。営業損益は138億円の赤字(前年同期は16億円の黒字)を見込む。ホテル事業では4月の既存店売上高が前年同月比83%減となり、主力の「ロイヤルホスト」も58%減だった。東京などでの外出自粛の影響が続くとの予想を織り込んだ。21年末までに同社が運営する飲食店の約1割にあたる70店程度を閉じる。合計100億円の借入枠も設ける。

同日発表した20年1~3月期の連結決算の売上高は前年同期比17%減の279億円、最終損益は34億円の赤字(前年同期は3億500万円の黒字)だった。役員報酬も6月から7カ月間、10~30%減らす。

どうやらロイヤルHDは2020年1~3月期は赤字に転落、さらに2020年1~6月期の見通しも大幅に悪化しており、ロイヤルホストや、てんやなどの飲食店の1割にもなる70店舗を閉鎖することを決めたようです。

今回はそんなロイヤルホールディングスがどうして、70店舗も閉鎖する必要があったのかと今後はどうなるのかについて考えていきましょう。

それではまずこちらの資料をご覧ください。

ロイヤルHDが運営する、飲食業態であるロイヤルホスト、てんやの月次の売上げを見てみると新型コロナの影響が出始めた3月4月はもちろん両形態とも大きく売上が下落しており厳しい状況なのは想像の通りですが、注目してもらいたいのは新型コロナの影響が出始める前の1月と2月の売上げです。

ロイヤルホストは前年同月比で103.8%、103.9%と売上が増加していますが、てんやは95.9%、98.2%と売上が減少している事が分かります。

つまり、てんやは新型コロナの影響が出る以前から不調だったという事です。
今回の70店舗の閉鎖のニュースの後にはロイヤルホストが大量閉店するとの憶測が飛び交いましたが、てんやの閉店数が相当数になると考えられます。
ロイヤルホスト好きは一安心ですね。

続いてこちらの資料をどうぞ。

ニュースにもあった通りで、2020年1~3月期の売上高は16.6%減の279億円、営業利益は7億円の黒字→25.6億円の赤字へと悪化、純利益も3億円の黒字→34.1億円の赤字へと悪化している事が分かります。

新型コロナの影響があったことは分かりますが、先ほどの資料の通り「ロイヤルホスト」も「てんや」も3月は75%程度の売上はありましたし、どうしてこれだけの赤字になってしまったのでしょうか?

こちらの資料をごらんください。

ロイヤルHDは、ロイヤルホストやてんやなどの外食事業の他に、コントラクト事業、機内食事業、ホテル事業、食品事業を行っている事が分かります。
ちなみにコントラクト事業とは、空港やサービスエリアなどで飲食店やフードコートなどの運営をメインとしている事業で、ホテル事業はビジネスホテルで有名なリッチモンドホテルを運営しています。

これで、大幅減益となった要因が分かりましたね。
外食事業だけでなく、コントラクト事業、機内食事業、ホテル事業とほぼ全ての事業が新型コロナの影響をもろに受けてしまう事業を展開していたわけです。
外食事業だけで言えば大きく影響が出始めたのは3月からですが、2月から飛行機の搭乗率が大きく下落し、海外からの旅行客が大きく減少していましたから、コントラクト、機内食、ホテル事業の方がむしろダメージが大きかったんですね。

その結果、外食、コントラクト、機内食、ホテルの4事業で赤字となってしまっています。
特に赤字が目立つのがホテル事業で、売上は24.1%減の50.9億円、経常利益は3.9億円の黒字→10.7億円の赤字となっています。

続いてこちらの資料をご覧ください。

このホテル事業は、売上が右肩上がりで増加している一方で利益は右肩下がりで減少している事が分かります。
最近はホテルがどんどん建設されて価格競争が激しくなっていますから、リッチモンドホテルもホテル数を増加させて売上は増加する一方で、利益が出にくい体質になっていたことが分かります。
これからは国内旅行は回復するかもしれませんが、海外旅行者はしばらく戻ってこないでしょうし、出張需要も戻らないでしょう、しかし存在するホテルの数が変わったわけではありません。
つまり、需要は減っているが供給量は変わらない状況が続くので、ホテル事業に関しては今後も厳しい状況が続きそうです。

危機的状況が訪れたときに業績が最も悪化するのは、もともと業績が悪くなっていた事業であることが多いです。
新型コロナが落ち着けば、V字回復のはずだと思わずに「そもそも大丈夫だったんだっけ?」と確認した方がよさそうですね。

ロイヤルHDの未来!!

機内食も国際線のダメージが長期化する分厳しい状況が続くでしょう。
また、今後もホテルは厳しそうですが初期投資が大きすぎるので途中でやめることはできません。
問題が長続きする可能性が高いわけです。

つまりロイヤルHDが70店もの大量閉店を決めた理由は、少しでもリスクを減らして今後に備えるために、比較的やめることが容易な店舗の閉鎖を選択したという事ですね。

収益性が低く今後の業績回復の可能性が低いところは、一時的に閉店コストが増えたとしても損切の精神で早めに切って、キャッシュアウトの金額を確定させて耐えるモードという事です。

また、先程のニュースにもあった通り金融機関に100億円の融資枠の設定を求めているとの事ですから、それが実現すれば当面の資金繰りは大丈夫そうです。

という事で、閉店費用や今後は減損など一時要因で業績は大幅に悪化、事業内容的にもその業績の悪化が長期化し耐える時期が続く事を予測します!!

その後に新型コロナの目途が立ち、事業の見通しが立つようになった時に次の変化に移れるだけの体力が残っているのかにも注目です!!

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