テルモの決算から考える今後の業績

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回見ていくのはテルモ株式会社です、医療機器の製造・販売では国内最大手の企業です。

さてこんなニュースがありました。

テルモ、上場来高値 体温計などが支え
銘柄診断
2020/9/1 21:34
1日の東京株式市場でテルモ株が続伸し、一時前日比2%(69円)高の4379円と3カ月ぶりに上場来高値を更新した。新型コロナウイルスの影響下でも業績は底堅く、株価は上昇局面が続く。米大統領選前の相場の調整局面を見越した機関投資家からの買いが続いているとの指摘もある。

終値は1%(54円)高の4364円で予想PER(株価収益率)は50.6倍。40倍台の米ボストン・サイエンティフィックなど海外医療機器大手を上回る。医療機器はコロナ下で手術や営業活動が制限され環境は厳しい。テルモも主力のカテーテルは苦戦するが、体温計などの医療器具が底堅く業績を下支えしている。

どうやらテルモは、新型コロナの影響を受けつつも体温計や医療器具の売上が安定している事もあり上場来高値を更新したようです。

今回はそんな市場から高評価を受けているテルモの今後について考えていきましょう。

それではまずこちらの資料をご覧下さい。

売上高は13.9%減の1312.9億円、営業利益は38.0%減の180.7億円、純利益は38.6%減の139.7億円と大きな減収減益となってしまっている事が分かります。

新型コロナの対応によって大きな病院では手術等が延期になる動きがみられましたから、その影響を受け医療器具の売上が減少している可能性が高そうです。

続いてこちらの資料をご覧ください。

地域別の売上の推移を見てみると、1.日本では3.5%減、2.欧州は15.2%減、3.米州は21.2%減、4.アジアは17.4%減となっている事が分かります。

各地域の業績も新型コロナの感染の拡大状況と比例して悪化する形になっている事が分かりますね。

日本では欧米に比べると感染者数が少なく、特に地方部では医療機関がひっ迫するという事もありませんでしたから、ある程度手術なども予定通り行われていた事で業績が維持できていたと考えられます。
一方欧米では医療崩壊となってしまった国も多いですから大幅な減収となってしまったのでしょう。

最近だと先進国を中心に感染者数が減少傾向にある国が多いですが、まだまだ拡大傾向の国も多いですし、アジアではインドが最多を更新していますからグローバルでみると業績が大きく回復するのはまだ先になるかもしれません。

テルモの事業セグメントは①心臓血管(カテーテルなど心臓と血管の手術向けの製品が多い)②ホスピタル(病院向けの製品)③血液・細胞テクノロジー(輸血用の血液提供など)と3つあるようです。

それぞれの事業の業績の推移は
①心臓血管:売上885億円→673億円 利益245億円→124億円
②ホスピタル:397億円→391億円 利益52.4億円→51.7億円
③血液・細胞テクノロジー:売上242億円→247億円 利益26.3億円→38.8憶円
となっており①心臓血管は大幅な減収減益②ホスピタルはほぼほぼ横ばい③血液・細胞テクノロジーは増収増益となっている事が分かります。

そして今回の大幅な減収減益の要因は主力の①心臓血管の業績悪化のようですね。

それでは続いて各事業がどうしてこのように推移したのか見ていきましょう。

まず①心臓血管に関しては、新型コロナで話題となったECMOシステムが牽引したものの、新型コロナの感染拡大で特に主力製品であるカテーテルの売上げへの影響が大きく大幅な減収減益となってしまったようです。

やはり手術が延期された影響をかなり受けて、主力製品のカテーテルが売れなくなってしまっていたようですね。

続いて②ホスピタルに関しては新型コロナの影響を受けたものの、体温計や手指消毒剤などが牽引した事や、海外ではアライアンス事業の製薬企業との提携ビジネスが拡大したことで、売上も利益も微減のほぼ横ばいに留まったようです。

手術などは延期になったものが多かったですが、病院の活動が止まったわけではないので、体温計や消毒剤など売れるものは売れたという事ですね。

今後もこの需要が減る事は無いでしょうからこの事業は安定していそうです。

③血液・細胞テクノロジーに関しては、手術が減少した影響などもあり血液需要が減少した影響を受けた一方で、成分採決装置の新ソフトウェアが牽引した事や、新型コロナに対する回復期血漿の需要が増加した結果増収となったようです。
多少ながらもこの事業では新型コロナが追い風となった部分もあるようです。

ちなみに回復期血漿とは、新型コロナにかかって回復期になった患者の血漿や免疫グロブリンを重症患者に投与し、そこに含まれている抗体によって重症化の抑制効果などが期待されている治療法に利用するものだそうです。

という事で全体的にみてみると、新型コロナで需要が増加したものが多少はある一方で、手術数の減少によって主力事業が大きなダメージを受けてしまったようですね。

続いてこちらの資料をご覧下さい。

今回減収減益の要因となった主力の心臓血管ですが、待機症例の延期による需要減が起きていたところから、6月には業績のの回復基調を確認したとしています。

延期になったとしても手術が必要な人はいずれ手術をする必要があるわけですから、各国で医療体制が安定して余裕が出てくれば、反動需要が出てくる可能性がありますね。

という事で、主力の心臓血管事業以外は新型コロナ禍でも業績は悪化しておらず安定しており、今後は医療体制の安定とともに手術数が増加して心臓血管事業でも反動需要によって業績が回復すると考え、今後は業績が改善していく事を予測します!!

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