HISの決算にみる旅行の変化と今後

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今日見ていくのは株式会社エイチ・アイ・エスです、HISとして旅行代理店として有名な企業ですね、実はハウステンボスを運営しているのもHISで赤字続きだったハウステンボスを立て直したことでも有名です。

こんなニュースがありました。

HIS、上場来初の最終赤字11億円 新型コロナ影響で

エイチ・アイ・エス(HIS)は2日、2020年10月期通期の連結最終損益が11億円の赤字(前期は122億円の黒字)になる見通しだと発表した。従来予想(10%減の110億円)を121億円下回り、一転して赤字予想に転落する。最終赤字は02年の上場以来初めて。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、旅行やハウステンボス、ホテルなどの事業環境が悪化する。

同時に発表した19年11月~20年1月の連結決算は、売上高が前年同期比7%増の1996億円、純利益が8%減の21億円だった。

どうやら、新型コロナウイルスの影響で上場来初の最終赤字となりそうなようです。
インバウンドも減っていますし、国内でも自粛ムードですからしばらくは厳しい状況が続くでしょう、ハウステンボスに関しては2月29日から3月15日まで臨時休園を行っていますのでその影響も出てくるはずです。

新型コロナの影響はしょうがないとしても、その影響が出る前の19年11月~20年1月についても増収ながら減益となってしまったようです。
今回は新型コロナが落ち着けば業績が回復するのか考えていきましょう。

それではこちらの資料をご覧ください

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増収となった大きな要因は旅行事業の売上が87億円増加したことが主要因である事が分かります。

一方減益となった要因は、旅行事業で17億円減益となりHTBグループ(ハウステンボス)でも11億円ほど減益となったことのようです。

それでは、増収減益となった旅行事業についてもう少し詳しく見てみましょう。

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増収となったのは海外法人アウトバウンド取扱高が急増しているからであることが分かります。

実は、HISは昨年カナダのRed Label Vacationsという会社を100億円ほどで買収しています。
この会社の売上高が1100億円ほどのようですから、単純計算で4半期で270億円ほどの売上高がある事になります。

売上は80億円程度しか伸びていませんから、増収となったのは新しく子会社を増やしたからであって実質は減収だったという事ですね。

続いてこちらの資料をどうぞ

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ハウステンボス事業は前期からすでに売上・利益ともに減少傾向でブームが過ぎ去った感は否めませんね。

HISの未来!!

どうやら新型コロナの影響が出る以前から、主力事業である旅行事業とハウステンボス事業は減収減益傾向にあったようです。

こちらの資料をご覧ください。

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主力事業が不調ですが、ホテル事業は売上・利益ともに20%も成長している事が分かります。
実は話題になった「変なホテル」を運営しているのがHISです
そのホテル自体の面白さも成長要因ですが、市場規模自体が拡大していることも大きな要因です。
ホテルの市場規模は2015年の1兆7000億円から2019年には2兆1000億円へと拡大を続けています。

ホテル事業も好調で市場規模も伸びている、つまり旅行者が増えているにも関わらずHISは旅行事業が伸びていないわけです。

それはどうしてでしょうか?

それは完全に旅行の文化が変化してしまったことにあると思います。
最近は海外旅行者が「なんでこんなところにいるの!?」というコアなスポットにいることも増えましたよね。

SNSの影響で旅行会社のパッケージ的な観光地ではなくSNSで見つけた、行ってみたいところへ行くという旅行の形態が増えたという事です。
他の分野でも興味の多様化というのは進んでいますから、この流れは止まらないでしょう。
つまり旅行代理店の強みである、ボリュームディスカウントが効かなくなっていくという事です。

さらにホテルや交通手段の予約もネットで簡単に出来るようになっていますから、あえて旅行代理店に頼む理由がなくなってしまっているのですね。

という事で新型コロナの影響以前に、旅行の形態が変わってしまったという事と主力のハウステンボスもブームが過ぎ去ってしまった現状を考えると新型コロナの影響が無くなった後も業績が回復しないことを予測します!!

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