オンワードの決算に見る700店閉鎖の理由と今後

どうもコージです! 私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。 そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回見ていくのは、株式会社オンワードホールディングスです。
23区、自由区、組曲、ICBなどのブランドを運営しているアパレル会社です。

こんなニュースがありました。

アパレル大手 オンワード 不採算店舗700店閉鎖へ

アパレル大手のオンワードホールディングスは、国内外の店舗の閉鎖に伴って損失を計上したことなどから、ことし2月期の決算が521億円の最終赤字になりました。会社では、今年度さらにおよそ700の不採算店舗を閉鎖するとしています。

ファッションブランドの「23区」や「五大陸」などを展開するオンワードホールディングスのことし2月期の1年間の決算は、売り上げが2482億円と前年を3.2%上回りましたが、最終損益は前年の49億円の黒字から521億円の最終赤字になりました。

これは、暖冬の影響などで冬物衣料の販売が落ち込んだことに加え、希望退職者の退職金や国内外での不採算店舗の閉鎖に伴って、損失を計上したことなどによるものです。

オンワードホールディングスでは、今年度中もさらにおよそ700店舗の不採算店舗を閉鎖し、従業員をネット通販などの成長分野に配置転換するなどして事業の立て直しを進めたいとしています。

一方、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、今月の店舗での売り上げが12日までで前年に比べて、すでに70%落ち込み、この先も影響が見通せず今年度の業績は現段階では予想が立てられないとしています。

どうやらオンワードは、不採算店舗を700店も閉鎖することを決めたようです、実は2020年3月期にすでに700店舗の閉鎖を実施していますからなんと計1400店舗を閉鎖することになります。

そして閉鎖にかかる減損と、従業員のリストラ費用によって521億円もの最終赤字となってしまったようです。

さらに新型コロナの影響を受けて2020年4月1日~4月12日までの売上は、なんと70%も減少しているという事で大変厳しい状況だという事が分かります。

今回はそんなオンワードの今後を考えていきましょう。

まずはこちらの資料をご覧ください。

ニュースの通りで、売上は2406億円から2482億円へ75億円ほど増加していますが、純利益は49億円の黒字から521億円の赤字へと悪化しています。
それだけではなく、営業利益ベースで44億円の黒字から30億円の赤字へと74億円も悪化しており、店舗の閉鎖やリストラ費用がかかる以前に本業の収益性が悪化していたことが分かります。

続いてこちらの資料をご覧ください。

主要販売網である、百貨店やアウトレットなどにおいては2015年から売場面積、売上高ともに毎年大きく減らしていることが分かります。

つまり今回の700店の閉店というのは、数年単位で不採算な売場から撤退して収益性の向上をしてきたけれでも、改善を行う事が出来なかったために待った無しの状況になり一気に進めることにしたという感じでしょう。

業績は悪化してきているオンワードですが、財務状況は大丈夫なのでしょうか?

流動資産が1067億円で流動負債が1087億円ですから、財務健全性を測る指標である流動比率を見てみると
流動比率=流動資産÷流動負債=1067億円÷1087億円=98.1%
100%を割っている状況だという事が分かります、流動比率は100%を割っていると危機水準です。

さらに具体的に内容を見てみましょう。
資金化容易な部分が赤で囲んだ部分です、これが695億円ほどある事が分かります。(新型コロナの影響で売上70%減との事ですから、在庫を資金化するのは容易ではないと考えています)

また流動負債が1087億円あります。
引当金の一部とその他にも支払いが必要ない部分があるでしょうから、それを考慮して短期的に支払いが必要な金額を計算してみると、どれだけ少なく見積もっても900億円はあるだろうと考えられます。

つまり資金が足りないわけです。
しかし、前期を見ても似たような状況ですがこれでも乗り切れています。
それは、流動負債で1番規模の大きい短期借入金の借り換えを行ったからだと考えられます。
今期も短期借入450億円を控除すれば、資金は足りる計算です。

続いてこちらの資料をご覧ください。

EBITDAが大きく悪化している事が分かります。

EBITDA=営業利益+減価償却+のれんの償却
という指標で、減価償却やのれんの償却はキャッシュアウトを伴わない費用ですので、本業でキャッシュを稼ぐ力を表す指標です。

オンワードはキャッシュを稼ぐ力が大きく悪化しているという事です。

つまりオンワードの資金繰りは銀行融資次第だという事です。
2020年4月1日~4月12日までの売上が70%も減少しているようですから、銀行は今まで通りの条件で借り換えを受け入れてくれるのかは怪しいのではないでしょうか。

借入条件の悪化が、資金繰りの悪化や収益の圧迫につながる事も考えられそうです。

オンワードの未来!!

オンワードは店舗の閉鎖に伴い、早期退職の募集も来なっており経営のスリム化を行っています。
そんなオンワードが今後伸ばしていこうとしているのがECです。

実際にECは伸びていることが分かりますね、今期は31%以上の伸びとなっています。
公式アプリも43.5万ダウンロードされており、メンバーズ会員も313万人もいる事が分かります。

これはこれまでに、リアル店舗での販売を活かして会員を増やしてきた事による大きな資産ですね、この資産を活かして販売につなげることが出来るかが今後のポイントだと思います。

しかし百貨店メインで販売してきた企業ですから、ECでの客層と百貨店での客層は一致しにくいでしょうからそう簡単にはいかないでしょうし、流通網の整備などにも投資していかないといけません。

だとすると資金繰りの悪化はダメージがおおきそうですね。

今後は資金繰りの悪化に伴い収益性も悪化し適切な投資も難しくなり衰退していくのではないかと予測します!!

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