決算書の読み方について書いていきますよ(売上高編①)
7月末に健康的に移動しようと思って自転車を買ったのですが、暑さと雨でまだ1度も使ってないです。
タイミングの重要性を学んでいます。
さて、今回は決算書の読み方について書いていきます。
以前も自分流の決算書の読み方について書いたのですが、これはあくまで簡易的な読み方だという事もあってもう少し詳細な方法についても、数回に分けて定期的に書いてみる事にしました。
そんな中でまずは売上高についてです、これから2回はまず売上についてやっていきます。
「そんな2回に分けなくても売上高くらい分かるんですけど!?」と怒らないでくれると嬉しいです。
それでは早速やっていきましょう。
そもそも決算書の読み方は、大きく分けると2通りあって「期間比較」と「企業間比較」というやつに分かれます。
期間比較とはその名の通りで「1年前と比べて伸びているな」とか「2年前と比べてどうだった」とか「ここ数年で成長が鈍化しているな」とか同じ企業を期間で比べて見る方法です。
企業間比較は、これもその名の通りで企業同士の比較を行います「トヨタと日産を比べると~」的な事をします。
もちろん比較するのは同業他社である必要性はないですから、移動というくくりでトヨタとJRとかタクシー、配車サービスと比較してもいいですし、製造業というくくりで他の製造業の企業と比べてもいいでしょう。
それは目的次第で選べばいいという事です。
もちろんこの期間比較と企業間比較を併用してみていく事も出来ますし、むしろそれが大切です。
ちなみに私のnoteは期間比較でそれも1年前との短期の比較が大半なので、本当はもっと長期で期間比較してみたり企業間比較をするともっと情報が得られます。
「お前はもっと頑張れ」って感じですね
私の発信は、自分自身が経済ニュース的な意味で決算を読んでいるという事もありますし、そんな感じで使ってもらいたいという事もあって企業の詳細な分析というよりは、多くの業界や企業の現状を取り上げる事を重視しています。
なので自分でさらに詳しく決算を読む力を付けてください。(他力本願!!)
という事で「期間比較」と「企業間比較」があるよって話をしましたがこれが2回に分けた理由で今回は売上の期間比較についての回です。
最初に手順を整理しておきます
①事業内容の把握
②全体の売上の期間比較
③セグメント別の売上の期間比較
④売上高を分解して期間比較
ちなみに今回は吉野家を例に出してみていきます。
①事業内容の把握
それでは早速「①事業内容の把握」をしていきましょう。
事業内容は、決算資料で説明してくれていたり、有価証券報告書で説明してくれていたり、ホームページで説明してくれていたり、ググった方が早かったりします。
そうです、当たり前ですが調べ方ななんて無数にあります、思うままに調べてみましょう。
どれだけ詳細にビジネスモデルを把握するのかというのは、それぞれですがとりあえず最低限押さえておきたいのは事業セグメントです。
上場企業の多くは単一の事業をしているのではなく、複数の事業を展開している事が多く、それをセグメントという形で分けて開示してくれています。
最低限そこは見ておきましょう。
四半期ごとに開示している決算短信とかで見れます。
例えば吉野家ならこんな感じです。
そうすると吉野家は事業セグメントとして①吉野家②はなまる③アークミール④京樽⑤海外と5つある事が分かります。
どうやら吉野家の運営以外にも、はなまるうどんやアークミール(ステーキ屋のフォルクスなど)、京樽(商業施設内の寿司屋さん)なんかを運営していて、海外展開もしているようです。
こんな感じで事業セグメントを見ると、とりあえずは「なるほど!!牛丼屋さんの運営をしているだけじゃないんだ!!」とか分かります。
あとは店舗は直営が多いのかFCが多いのかとか、調理はセントラルキッチン方式なのかとか、もっと詳細なビジネスモデルを見ていくともちろんさらにいいです。
まあ、今回はそんなことはしません!!
「お前はもうちょっと頑張って」と思ってもらえると幸いです。
それでは前提は整ったという事で、期間比較を早速していきましょう。
②全体の売上の期間比較
②のステップとして全体の売上を見ていきます。
もちろん何年見ても自由です、今回は2016年2月期~2021年2月期までの6年間を見ていきます。
ちなみに6年間なのは何となくです!!
何年見るかもやっぱり目的次第です。
例えばコロナの影響を見たいのであれば2~3年分で十分でしょうし、必要に応じて数十年見る事もあります。
それでは売上の期間比較をしていく訳ですが、決算を見るのは「何で?」という疑問点を見つける作業なので、ある程度仮説を立てておくのが大切です。
そんな大した仮説ではなくてもよくて、例えば吉野家で言えば「まあ牛丼の事業がメインだろう、牛丼店は身の回りでも店舗数増えてないし飽和してそうだから、ここ数年は売上は成長していなそうだな。」
「コロナの影響としてはテイクアウトの需要もありそうだし、それなりに人気で不調になってないでしょ」とか、本当にざっくりでもいいので考えておくといいです。
それではようやく売上を見ていきましょう。
コロナ以前は以外と安定成長が続いていて、2018年と2020は成長率が高いです、そしてコロナの影響としては2021年2月期は21.2%も売上が減少しています。
「牛丼は成長してないでしょ、コロナではそんな業績悪化してないでしょ」と思っていた仮説は見事に外れていたわけです。
悲しいです・・・
とはいえ仮説を立てていたおかげで「なるほど吉野家は、コロナ前は成長が続いていてコロナの影響は大きかったんだな、おしまい」とはなりませんよね。
「なんで成長していたんだろう?」とか「コロナの影響はなんでこんなに大きかったんだろう?」とかの疑問がわいてくるわけです。
③セグメント別の売上の期間比較
それではその疑問を解決するために次のステップである、セグメント別の売上の推移を見ていきましょう。
その前に一旦セグメント別の売上の規模を知るために構成比率を見ていきます、コロナ前の2020年3月期の構成比を見ていきます。
売上構成としては吉野家が約5割で半分で、それ以外の事業は10数%といった形で分けあっていますから、やはり吉野家の業績の影響が大きいという事が分かります。
セグメントの別の売上規模が分かったところで推移を見ていきましょう。
少し細かいので見るのは大変かもしれませんが、コロナ前はアークミール以外の事業は伸びていて、吉野家も成長が続いていたことが分かります。
そしてコロナの影響としては、大きく悪化したのははなまるうどんや京樽で、さらにアークミールは売上がゼロになった事が売上が大幅減となった要因のようです。
それでまた「何で?」という疑問がわくと思います、この「何で?」は決算資料を読んでみたりググってみたり、店舗に行ってみたりして調べていきましょう。
そうすると、アークミールは売却して無くなったんだなとか、はなまるうどんや京樽は商業施設内の出店が多かったから店舗閉鎖の影響を強く受けたんだなとか、オフィス街に店舗が多かったからテレワーク化で業績悪化したんだなとかが分かります。
そういった感じで「何で?」というのを調べていくわけですね。
「牛丼はそんなにコロナでは悪化しないだろう」と仮説を立てていましたが、割と外れてはいなかったという事で、売上の大幅減の要因はアークミールの売却とはなまるや京樽の悪化だったという事ですね。
もう1つの仮説として「牛丼店は飽和していそうだからここ数年は伸びていなそう」というのがありましたが牛丼の吉野家事業は安定して成長していました。
では続いてはこの「何で?」について見ていきます。
なのでここからは吉野家事業に絞ってみていきます。
④売上高を分解して期間比較
では次のステップである「④売上高の分解」をしていきましょう。
例えば吉野家の売上を分解してみると
「客数×客単価」とか「店舗数×店舗当たり売上高」とか「従業員数」×「従業員当たり売上高」
などなど無数の分解が出来ます。
そうやって分解していって成長の要因をもう少し詳しく見てみようぜって話です。
もちろん企業が公表している数字もあれば、公表していない数字もあるので企業外部からでは分からない数字もたくさんありますので、分かる範囲で見ていきましょう。
当初の仮説としては「牛丼店は身の回りで増えていないし飽和していそう」だったわけです。
となると、飽和しているのに売上を増えているとすると、店舗数ではなく店舗当たりの売上が増加しているのではないかと想定が出来ます。
なのでまず、店舗数と店舗当たり売上に分解してみましょう。
店舗数は期末店舗数を使います。
期中にできた店舗は1年間通して売上に貢献するわけではないので年間の売上を期末の店舗数で割っても正確な数字にはなりませんが、あまりに細かすぎる数字を見ても意味はないので基本的には情報収集の効率性で考えた方がいいです。
それでは店舗数と店舗当たり売上高を期間比較して見てみましょう
どうやら伸びていたのは店舗当たりの売上高で、店舗数はほとんど横ばいだったことが分かります。
つまり「吉野家って身の回りで店舗は増えてないし飽和してるんじゃないか」という仮説はあってはいたわけです。
見えていなかった視点は「店舗当たりの売上が上がっているかも」だったわけです。
じゃあ「何で店舗当たりの売上増えたの?」と思いますよね。
どうやったら店舗当たりの売上が増えるか考えてみると、客数が増えたか客単価が増えたかに分解できそうです。
それでは客数と客単価に分解して期間比較してみます。
そうすると、どうやら客単価が伸びているぞという事が見えてきます。
特に2020はめちゃくちゃ伸びています、なので吉野家は単価アップの施策によって成長していたことが分かります。
それでは「何で?」という事を調べるてみましょう。
それもまた決算資料に載っていたり載っていなかったりします、ググったり店舗に行ってみたり自由に調べてみましょう。
これもまたこの記事ではその要因については触れません!!
「こいつ手抜き過ぎ!!」と思っていただけると幸いです
とはいえ1つだけ要因を取り上げてみると、こんな記事がありました。
面白いので是非読んで欲しいのですが、結論だけ言うと吉野家の客単価が伸びていた要因の1つとしては、マーケティンがが上手くいっていたという事があるようです。
例えば、広告費があまりない中で女性や年配客に小盛を売るためにあえて超大盛を提供してまずはそちらでメディアの注目を集めたといった取り組みが出てきます。
結果は見事に注目が集まり、小盛と同時にさらにサラダなんかのサイドメニューが売れた事で高単価を実現したようです。
つまり牛丼店などのチェーンは意外とこういったマーケティング施策なんかで業績が変わるという事ですね。
特に牛丼の超大盛なんかはyoutuberが企画として取り上げてくれたりしますから、広告費をそんなにかけずにマーケティングができたりします。
ペヤングなんかは大盛とか激辛とか上手くやっていますよね、こういった事例は転用できそうだな、なんて事も分かります。
ただし本当にそうなのかという疑問もあります。
客単価の上昇は牛丼業界や1人での外食の業界の動向かもしれません。
吉野家が上手くいっていた訳ではなく市場環境の変化というだけだという事です。
そこで出てくるのが企業間比較です。
松屋とかすき屋と比べて吉野家だけ明らかに高単価化が進んでいれば、マーケティングの結果だと分かりますよね。
なので企業間比較もしてみたくなりますよね。
いやなってください!!
という事で期間比較編はこんな感じで、次回は企業間比較をしていきます!!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?