三陽商会の決算に見る、新型コロナの影響で身売りが現実的になった理由

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今日見ていくのは三陽商会株式会社です。
三陽商会は、2015年まではバーバリーとライセンス契約を結んでいた事で大きく成長したアパレル企業です。
この会社については以前こんな記事を書きました。

三陽商会の決算にみる身売りの可能性

この記事で身売りの可能性が十分にある事を書きました、その内容を要約すると、早期退職などのコストカットを行ったのにも関わらず収益性は回復せずキャッシュアウトが止まっていないので打ち手がなく身売りもありうるです。
今回は、さらにその可能性が高まったのでその事について書いていこうと思います。

それでは早速こちらの資料をご覧ください。

三陽商会は百貨店を主戦場としているのですが、百貨店はメインターゲットである中高年層は新型コロナで重症化しやすいといわれている影響か客足が途絶え業績が大きく低迷しています。
百貨店に勤めている知人の話では、普段ECを使わない年配の方は足を運びたくないので、電話で店舗に注文を入れてくるような状況だそうです。
そんな影響を受けて、三陽商会は2月は前年比ですべてのブランドが売上が低迷している事が分かります。

販路別ではEC・通販は増加していますが、それ以前の数値を見てみると成長率が大きく下がっていることが分かります。
消費を控える傾向が強まっていますから、その影響も受けているとい事でしょう。

三陽商会に身売りの可能性があると判断したのはもちろん販売不振が大きな要因なのですから、新型コロナの影響で販売不振が拡大したというのはさらに身売りの可能性が高まるという事ですね。

続いてこちらの資料をご覧ください。

三陽商会は自己資本比率が62%もあり財務状況は悪くない事が分かります。

財務状況が悪くないというのはもちろん三陽商会が身売りする可能性を下げる要因となりますね。

続いてこちらの資料をご覧ください。

赤線で囲まれている部分が三陽商会の金融資産です。
現預金+売掛金が160億円あり、投資有価証券が110億円ある事が分かります、つまり三陽商会は金融資産の多くを有価証券として保有しているという事です。

多くの方がご存知だと思いますがこの2019年12月の決算発表の後、日経平均は歴史的な大暴落しています、具体的には、この決算のあった2019年12月末の23,656円から2020年3月16日には17,002円へとなんと6,654円(28%)もの大暴落です。

さて三陽商会で何が起こっているかはもうお判りでしょう。

金融資産の大半を占めていた有価証券が大きく下落している可能性が極めて高いという事です。
具体的な保有銘柄は分かりませんが、投資有価証券とは基本的には相場変動による利益の獲得を狙った投資ではなく政策保有株を指しています。

例えば、取引先で三陽商会の株主である三越伊勢丹HDの株式などを持っている可能性も考えられます。
そして三越伊勢丹HDの株価はこの決算の2019年12月末時点からは40%超の下落率となっていますからその程度下がっている可能性も高そうです。

日経平均と同程度だと考えても30%近く銘柄によっては40%以上の下落をしている可能性があるという事です。

ここで、こちらの資料をご覧ください

短期借り入れが90億円あることが分かりますね。
この担保に投資有価証券を当てている可能性があります。
つまり投資有価証券の下落によって借り換えの難しい状況に陥っている可能性もあるという事です。
そうなると大手の傘下に入り、親会社保証によって借入れを行うために身売りしかないなんて状況も考えられますね。

さらに投資有価証券の時価変動は基本的には、損益計算には含めないのですが50%を目安として大きく下落し回復の可能性が低いと判断した時には減損損失を計上することとなります。
投資有価証券の含み益を表す、その他有価証券評価差額金は2018年12月時点には44億円あったものが、2019年12月時点では30億円へと減っていますから銘柄によっては減損の必要性があるものも出てきているかもしれません。

三陽商会は2月期の決算で減損損失による大赤字を計上する可能性が高まっているという事です。

販売不振によるキャッシュアウトの増加、株価下落による投資有価証券の減少、借り換えの失敗などが重なると、一気に財務状況が悪化する可能性があります。

三陽商会の身売りの可能性は非常に高まっていると考えます!!

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