オービックの決算から考える、利益率が高い理由と今後の業績

どうもコージです! 私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。 そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回見ていくのは株式会社オービックです。
会計ソフトや、給与計算ソフトなどの、バックオフィス系のソフトウェアである「奉行シリーズ」などを提供している会社です。

こんなニュースがありました。

オービック、21年3月期営業益5%増予想 IT需要拡大

オービックは23日、2021年3月期の連結営業利益で前期比5%増の453億円を目指すと発表した。新型コロナウイルスの感染が広がり直近では受注活動が一部遅れたが、老朽化した既存システムを入れ替える投資需要が大きいと見ている。ネットワーク経由でシステムを利用するクラウドサービスを中心としたシステム開発に力を入れる。

売上高は4%増の840億円を見込む。オンライン会見した橘昇一社長は「政府による緊急事態宣言を受けて4月は受注活動に遅れが生じたが、インターネットを通じて営業を再開できており下期にかけて回復する」と述べた。

企業が在宅勤務を増やしており情報システムでも、自社で点検・修理が必要なサーバーを持たずにクラウドに切り替える動きが進むとみている。前期までに顧客数が増えており、システム利用や保守作業で継続的な収益も見込める。

システム業界では1つの案件に複数の企業が関わることが多く、新型コロナの影響で開発作業や営業が大きく制限されている企業もある。オービックは営業から開発、サポートまで自社で完結する体制を取っている効果も表れる。

同日発表した20年3月期連結決算は、売上高が前の期比9%増の804億円、純利益は9%増の350億円だった。

どうやらオービックは増収増益となり、来期も新型コロナの影響でシステム入れ替え需要が発生したことで増収増益となる見通しを発表したようです。

今回はそんなオービックの今後について考えていきましょう。

それではまずこちらの資料をご覧ください。

ニュースにあったように売上高は8.5%増の804億円、営業利益は14%増の432億円、純利益も8.9%増の350億円であることが分かります。

営業利益率は53.7%、純利益率も43.5%という非常に高い数字だという事が分かります。
どうしてこれほど高い利益率なのでしょうか?

オービックのセグメントは、システムインテグレーション事業・システムサポート事業、オートインフォメーション事業とある事が分かります。

その中でも、規模の大きな事業として、システムインテグレーション事業はソフトウェアの販売、システムサポート事業はシステムの運用支援などを行っていることが分かります。

ここに利益率が高い理由があります。
まずソフトウェアというのは、開発には多額のコストががかかる事も多いですが、複製コストが非常に低いのが特徴です。
ほぼ原価ゼロでコピー出来ますよね。
最近ではクラウドのサービスが主流になってきていますがこれも同じように、サーバーなどの運用費用は掛かりますが複製コストがかかりません。

つまり、小売業などと違い売れれば売れるほど、利益率が非常に高くなっていくという事です。

例えば小売業であれば、100円で仕入れて200円で売っているとしましょう。
これを100万個売れば、仕入れは100円×100万個=1億円、売上は200円×100万個=2億円となり、利益は1億円で利益率は50%です。
この売上げが250万個に増えると、仕入れは100円×250万個=2億5千万円、売上げは200円×250万個=5億円となり、利益は2億5千万円で利益率は50%のまま変化はありません。

一方ソフトウェア系の複製コストが安い商品であれば、制作費が1億円、複製コストがゼロだとすると10万円で2000個売れば利益は、10万円×2000個=2億円となりますので利益は1億円で利益率は50%となります。
これが5000個売れれば、10万円×5000個=5億円となりますので利益は4億円利益率は80%と高くなります。

なので複製コストが安い商品を扱っていて、それが好調に売れているので高い利益率となっているという事です。

さらにシステムサポートなどの運用支援サービスも、クラウドソリューションなども基本的に人件費しか、かかりませんから利益率が非常に高くなります。

その結果として、固定資産が非常に小さく総資産2645億円あるなの中で579億円程度しかない一方で、現預金と投資有価証券で1900億円もある事が分かります。

財務体質も盤石ですね。

オービックの未来!!

新型コロナの影響もあり、多くの企業がバックオフィス業務に関してはクラウド化を進めていくでしょう。
競合としてマネーフォワードやfreeeなどの新興企業が低料金のクラウドサービスを提供していて競争の激化が予想されますが、オービックには強みがあります。

それは歴史の長さです。
既に多くの企業に導入が進んでいるという事です、クラウド化などのシステムの更新をしようとした際には一番に選ばれやすいという事です。
違ったシステムを使い、新しい事を覚えるのを嫌うサラリーマンの方は結構多いですし、従業員レベルだとシステムの料金にはこだわりが小さかったりするので、違った会社のサービスを導入するハードルは高くなります。
つまりオービックは他の競合より高い料金設定が可能だという事です。

なので競争が激化していますが、高い利益率を維持しつつ、システムの入れ替え需要で成長していく事を予測します!!

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