ラオックスの決算から考える今後の業績

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回見ていくのはラオックス株式会社です、家電量販店のLaoxなどを運営している会社ですね。

こんなニュースがありました。

ラオックス、希望退職250人募集 インバウンド苦境で
単体従業員の半数
2020/6/26 17:18

免税店大手のラオックスは26日、全ての社員と契約社員を対象に250人程度の希望退職者を7月に募集すると発表した。ラオックス単体の従業員の約半数に相当する。2月に160人程度を募ったのに続き、2020年で2回目の募集となる。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う入国制限により、連結売上高の約3割を占める主力のインバウンド事業が苦戦。制限の緩和や訪日客需要の回復の見通しが立たないと判断し、経営の効率化を目指す。

2月に退職者を募った際は販売職と、子会社でギフト店「サラダ館」を運営するシャディ(東京・港)の従業員が対象だった。111人が応募した。同社の20年1~3月期の連結最終損益は19億円の赤字(前年同期は14億円の赤字)だった。同期間としては5期連続の最終赤字となった。新型コロナの影響による訪日客減や店舗の臨時休業で、主力の免税店が不振だった。不採算店の整理も進め、20年は5月末までに京都マルイ店(京都市)など8店舗を閉じた。

どうやらラオックスは、19億円の5年連続赤字となり、単体従業員の半数に相当する250名もの希望退職の募集を行い、さらに不採算店舗の整理として8店舗を閉じるようです。

新型コロナの影響が出始めた2月にも希望退職の募集をしていましたから、かなり厳しい状況にいることが想定されます

今回はそんなラオックスはどうして希望退職の募集が必要なのか、今後はどうなるのかについて考えていきましょう。

それではまずこちらの資料をご覧ください。

売上高は24.1%減の219億円、営業利益は13.3億円の赤字→15.6億円の赤字、純利益は14.4億円の赤字→19.1億円の赤字となっており減収減益となっている事が分かります、ニュースの通りで5期連続の赤字で、赤字も拡大とかなり厳しい状況ですね。

また、売上はかなり減少してしまっていますが、営業利益では赤字とはいえあまり業績の悪化は見られていません。
それはどうしてでしょうか?

ラオックスの事業セグメントは①インバウンド②グローバル(中国などで日本製品の販売)③生活フッション(Laoxでのインバウンド向け以外)④エンターテイメントと4つある事が分かります。
①インバウンド:売上105億円→34億円・利益2.1億円→7.5億円の赤字
②グローバル:売上39.1億円→39.4億円・利益0円→8100万円
③生活ファッション:売上139億円→104億円・利益7.9億円の赤字→6.9億円の赤字
④エンターテイメント:売上3.8億円→40.6億円・利益3.5億円の赤字→1.1億円の黒字
となっている事が分かります。

どうやら、売上が減ったのはインバウンドと生活ファションが要因で、利益がそこまで悪化していなかったのはエンターテイメントで大きく利益が改善したからだと分かります。

各事業についてもう少し詳しく見ていきましょう。

③生活ファッションに関しては売上は大幅に減少していますが大規模な固定費削減を行ったことで赤字は縮小しているようです。
しかしこの決算の後の4月~5月は、新型コロナの影響が本格化した時期ですから生活ファッション部門は大打撃を受けている可能性が高そうです。

また、④エンターテイメント事業が大幅な増益となったのは、不動産の売買および仲介事業にて大型物件を含む複数の売却が売り上げに寄与したからだとしています。

不動産の売買や仲介が、エンターテイメント事業だというくくりに若干の違和感はありますが、どうやら不動産関連の事業は上手くいっているようです。

しかしもともとエンターテイメント事業は「千葉ポートスクエア」やエンターテイメント施設の運営などをしている事業(詳しくはこちら)のようですから、前期の売上は非常に小さいですし、今期の好調は一時的要因だという可能性が高いので注意が必要そうです。

中国で日本商品の販売などを行っている②グローバル事業に関しては、コロナ対策としてむしろ質のいい日本製品の除菌シートや非接触体温計などの需要が伸びたこともあり、売上利益ともに堅調だったようです。

今後もグローバル事業に関しては堅調な業績を残せそうではありますが、そもそもの規模が大きくないため業績に与えるインパクトは小さそうです。

そして①インバウンド事業の悪化の要因はもちろん訪日外国人の減少で、インバウンドはほぼゼロの状態はまだしばらく続きそうですから、今後はさらに業績が悪化しそうです。

しかし、中国からのインバウンドをターゲットとしているラオックスは、他の企業よりも新型コロナの影響を早い段階から受けていた事もあり、固定費の削減をかなりやっていましたから、売上の減少に伴い売上総利益は30億円以上も大きく減少する一方で販管費も30億円近く減少していますから、結果として利益の水準はそこまで変わらなかった事が分かります。

しかしそもそも赤字ですし、日本国内ではこの決算(2020年1~3月)の後の2020年4月~6月に新型コロナの影響が本格化し、インバウンドはゼロですから、さらに大きく業績が悪化している可能性が高いですね。

なので今回さらなる希望退職の募集を行うという事でしょう、固定費削減がまだまだ足りないという事ですね。

既に2度目のリストラと、ラオックスは親会社が中国資本ですから動きが速いですね、いいか悪いかは別として日本資本だと希望退職の募集を行うのには時間がかかります。

さて、相当厳しい状況にある事が想定されるラオックスですが今後はどのような施策を取っていくのでしょうか?

どうやら食を中心とした大型店舗を出店していくようです、もともと特に中国からのインバウンドをターゲットとしていたラオックスは中国人気の高い商品を置いていましたが、今後は食を中心として国内客もターゲットにしていくようです。
新型コロナでインバウンドがいなくなるという事態に直面しましたから、当然といえば当然の流れでしょう。

しかし日本人客が食を求めてラオックスに行くかというとかなり怪しいですし、長期的な業績不振で資金的な余力もあまりありませんから大きな投資も難しく、なかなか厳しいのではないでしょうか。

とはいえ中国からのインバウンド客なども、少し前のように日本製品を爆買いしに来るというよりも、日本を体験しに来るようになっていますから、食というのは非常に重要ですのでインバウンド向けには悪くないかもしれません。

ただしインバウンド客の回復は相当先になるだろうという事は間違いありませんので厳しそうですね。

という事で、インバウンド事業と生活ファッション事業はさらに業績が悪化しているでしょうし、エンターテイメント事業の好調も一時的要因の可能性が高く、グローバル事業は堅調だとしてもそもそも規模が小さい。
希望退職の募集も含め大規模な固定費削減はしていますが、新規事業も難しそうですから、売上の下落が大きく固定費削減では足りないという事で業績は大きく悪化することを予測します!!

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