丸紅の決算にみる大赤字でも配当金を出せる理由と今後の配当金予想

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今日見ていくのは丸紅株式会社です、言わずと知れた5大商社の1つですね。

こんなニュースがありました。

丸紅、最終赤字1900億円 20年3月期、資源安で3900億円損失

丸紅は25日、資源価格の下落を受けて、2020年3月期の業績予想を3900億円下方修正すると発表した。連結最終損益は1900億円の赤字(前期は2308億円の黒字)と、従来の黒字予想(前期比13%減の2000億円)から一転して過去最大の赤字になる。米国の油田など幅広い事業で損失を計上する。

最終赤字は02年3月期以来18年ぶり。会見で柿木真澄社長は「新型コロナウイルスによる影響は金融危機より多岐にわたる。短期で影響が収束するとは考えられず、今後のビジネス環境悪化を織り込んだ」と述べた。

下方修正する約3900億円のうち、資源関連が2050億円を占める。最も大きいのは石油・ガス開発事業で約1450億円の損失を計上する。米国メキシコ湾で手掛ける油田事業で800億円、英領北海における油田事業で650億円を計上する。事業の損益分岐点となる原油価格は1バレル15~18ドルまで下がり「将来の減損懸念は払拭した」(柿木社長)という。

穀物事業でも市況低迷を受け約1000億円の減損を計上する。13年に買収した米穀物大手ガビロン関連で800億円、米国の穀物輸出事業で200億円を計上する。

21年3月期については、一過性の影響を除いた純利益予想は約1800億円とした。新型コロナの影響は見通しにくいとした上で、資源価格の一定の回復を見込む。

丸紅は伝統的に発電事業や紙パルプ事業に強く、資源事業は三菱商事や三井物産より小さかった。00年後半から大型投資をしたが、15年3月期、16年3月期と2期連続で1000億円以上の損失を計上するなど、資源価格の下落で業績が悪化しやすくなっている。

丸紅は、最近の資源関連の下落を受けて巨額の減損損失を計上した事によって上場来最大の赤字を計上する見通しとなったようですね。

こちらの資料をご覧ください。

これは業績の下方修正に関する資料ですが、過去最大の赤字を計上しつつも配当を維持すると発表しています。

どうして過去最大の赤字となりつつも配当を維持できるのかについて考えていきましょう。

それでは、こちらの資料をご覧ください

これは下方修正前のの2019年4月~12月までの決算資料です。

純利益は740億円(34%)の大幅な減少となりながらも、基礎営業キャッシュフローという独自の指標はプラス2730億円と良好な数字で横ばいな事が分かります。

基礎営業キャッシュフローとは、通常の営業キャッシュスローから営業債権等の増減の影響を除いたものです。
単純に言うと、本業でキャッシュを稼ぐ力をより把握しやすくした指標だという事です。

どうして減益となりながらもキャッシュフローは良好なままなのでしょうか?

減価償却や金融損失などのキャッシュアウトを伴わない費用が、今期の利益を押し下げていた事が分かりますね。

つまり、過去の投資が費用化されたのであってキャッシュを稼ぐ力としては減少していないという事ですね。

続いてこちらの資料をご覧ください。

これは今回の業績の下方修正の内訳です。

下方修正3900億円のうち3450億円はキャッシュアウトを伴わない減損損失である事が分かります。

内訳不明のその他250億円に関してはなんとも言えませんが、稼ぐ力が衰えたのは200億円分だけのようです。
しかし新型コロナの影響が出始めたのは2月末あたりからですから、1か月で200億円分の下方修正というとインパクトが大きいですので注意が必要そうです。

とはいえ、12月まではキャッシュを稼ぐ力は十分にありましたし、これだけ減損を出したという事はリスクのある部分は相当出し切ったと思いますので今後は業績回復する可能性が高そうですね。

どうして配当を維持できるのか?

ここまでくれば過去最大の大赤字であってもどうして配当を維持できるのかが分かりますね。

今回の大赤字の要因もキャッシュアウトを伴わない減損が理由であり、キャッシュを稼ぐ力もあるので配当する資金があるからです。

では今後は業績が回復すれば資金もあるし、むしろ増配の可能性もあるという事でしょうか?

改めて、こちらの資料をご覧ください。

丸紅は、財務指標としてネットDEレシオという数字を重視していることが分かります。

これは、有利子負債÷自己資本で計算される数字です。
この数字が小さければ小さいほど、有利子負債を以上の自己資本を持っているという事になりますので財務状況が良好だといえます。

今回丸紅は、最終赤字が1900億円となる見通しを発表しました。

つまり自己資本が1900億円減少するということで、ネットDEレシオが悪化するという事です。

例えば有利子負債100億円で自己資本が1000億円だとすると
ネットDEレシオ=100億円÷1000億円=0.1倍となります。
この会社が900億円の赤字を出すと、有利子負債100億円で自己資本100億円となって
ネットDEレシオ=100億円÷100億円=1倍と悪化しますよね。

今回丸紅は1900億円の赤字によって、ネットDEレシオが0.9倍から1.2倍へと悪化すると下方修正しています。

配当をすると自己資本が減少します。
つまり、主要指標であるネットDEレシオの回復が遅れるという事ですので、資金があったとしても増配の可能性は低いでしょう。

新型コロナの影響がどの程度で落ち着くのか次第でもありますが、今後は減損の影響で業績は回復、資金も増えるが増配はしない事を予測します!!

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