UUUMの決算から考えるyoutube事務所の役割の変化と今後の業績

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回見ていくのはUUUM株式会社です、日本最大のユーチューバーの事務所ですね。

こんなニュースがありました。

UUUMの6~8月期、純利益93%減 広告とイベント減響く
ビジネス
2020/10/14 17:01
動画投稿で収入を得る「ユーチューバー」のマネジメントを手掛けるUUUMが14日発表した2020年6~8月期の連結決算は、純利益が前年同期比93%減の2200万円だった。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、国内外の企業の広告出稿が減った。同社主催のオフラインイベントが実施できなかったのも響いた。

売上高は9%減の49億円、営業利益は89%減の4500万円だった。21年5月期(今期)の営業利益は前期比19%減の8億円を見込むが、6~8月期の進捗率は約6%にとどまった。

今期の連結業績見通しは従来の予想を据え置いた。売上高は前期比27%増の286億円、純利益は37%増の4億9000万円を見込む。

どうやらUUUMは新型コロナの影響があり、純利益は前年同期比93%減の2200万円まで落ち込んでしまったようです。

しかし通期の見通しとしては純利益で37%増を見込んでいるとのことですから、ここから業績が向上していく見通しのようです。

今回はそんなUUUMの今後について考えていきましょう。

売上高は9.3%減の49.9億円、営業利益は89.2%減の4500万円、純利益は2200万円となっており減収減益でなんとか黒字を保てたと言った感じです。

ではどうして減収減益となってしまったのかというと、新型コロナによってオフラインのイベントが開催できなかったことと、企業が広告費の出稿を抑制したことが影響しているようです。

新型コロナで外出自粛があり、youtubeの視聴時間は大幅に伸びていたようですが広告費の減少の方が大きかったようです。

またここでは触れていませんが、最近ではUUUMから大物youtuberの退所が相次いだことが話題となっていましたのでその影響もありそうです。

そして売上は19年の5月期をピークとして伸び悩んでいる事が分かります。
そもそもUUUM自体が以前から伸び悩んでいたという事ですね。

また、売上の内訳を見てみるとアドセンス(youtubeからの広告費)が減少しておりいる事がわかります。

もちろんチャンネルの視聴者層によっては、広告費の減少していないユーチューバーも結構いるようですがUUUMは所属しているユーチューバーも非常に多いので全体としては広告市場の動きと連動していると考えられますね。

売上が減っていく一方で販管費は増加傾向にある事も減益の要因となっている事が分かります。

ではどうして販管費が増加しているのかといえば、その要因の1つに従業員数が大幅に伸びている事があるようです。

とはいえ1つ前の資料を見返してみると分かりますが、従業員の伸びに人件費の伸びがついてきていない事も分かります。

つまり給与水準が上がっていないという事で、離職率も結構高いのではないかと考えられます。

これはこの手の業界では結構ありがちで、キラキラの部分だけを見て入ってきてしまった方たちがイメージとのギャップですぐやめてしまうパターンですね。

華やかな世界とは言え、もちろん裏側は大変な事が多いのは当然です。

大物ユーチューバーがUUUMから退所という事が相次ぎ話題となりましたが、それにはこの辺の離職率の高さも関係あるのではないかと思います。

まず前提としてどうして退所が増えていたのかというと、今はチームを作る事が容易になっているので、事務所の役割を代替してくれるようなチームはすぐに作れる訳です。

なのでユーチューバーとして稼げるようになってくると「金あるし自分でマネジメントチーム作ったほうがよくね?」となるわけですね。
金銭的な話だけではなく裁量権も増えますので、活動の幅も広がりますので退所が増えたわけです。

さらに、事務所でマネジメントしてもらうより自分でチームを作る利点があります。

それは自分で選んでチームを作れますので、コミットメントの高くて信頼できる人と長期目線のチームが作れるということです。

一方UUUMのマネジメントはどうなのといえば、そもそも社内の移動もあるでしょうし、さらに離職率が高いとなるとそれなりに担当がコロコロ変わりながらの活動となってしまいますよね。

さらに会社に就職した方と、そのユーチューバーについていくと決めた方とでは本気度も違うでしょう。

となると自分でチーム作ったほうがいいじゃんって話になってしまう訳で、現状のままではさらに退所が増えるかもしれません。

続いてこちらの資料をご覧ください。

また、どうして従業員数が右肩上がりなのかといえば、所属チャンネル数が大きく伸びているからだと分かります。
当然抱えるチャンネルが増えればマネジメントする人員も増員が必要ですよね。

あとは比較的小規模なチャンネルが増えているのかチャンネル数の伸びに対して、再生数の伸びが鈍化している事が分かります。

チャンネル数の増加にも合わせて、10万人以上の登録者を抱えるチャンネルも増加しているようです。

ただしyoutubeなどの無料サービスのチャンネル登録者は減る事が無く、増えていく一方なのでアクティブなユーザーをどの程度抱えているかは分からない点は注意が必要です。

実際に再生回数の伸びは鈍化していましたので、緊急事態宣言中に一時的にyoutubeの視聴時間が増え、その時登録しただけで今は見ていないなんてケースもあるかもしれませんよね。

大物ユーチューバーの対処が相次ぐ中で、UUUMはこれからを投資フェーズとしていて新たな支援体制を構築していくとしています。

先ほど言ったようにマネジメント業務では価値を提供できなくなっているという事ですね。

ではどのような新しい投資を進めていくのでしょうか?

まずマネジメントやエージェンシーとしての機能から、総合インフラカンパニーへと掲げている事が分かります。

例えば動画制作の面では、個人で実現できるクオリティーを超えた質の動画を提供するために、UUUMの専門家チームによって企画・資金・撮影・編集といったものを支援して質の向上を進めていけるようにするようです。

これまでのように、ユーチューバーの活動が広がるように支援する立場から、個人ではなかなか出来ないような作品を一緒に作る側へも回っていくという事ですね。

また、提携先も増やしていく事で例えばコラボしたりだとか、情報の共有も行っていき個人では作れないようなクリエイターのネットワークを構築していくようです。

なので動画制作の質を上げるのも、ネットワーク的にも「UUUMに入ればクオリティで圧倒できるよ!」というのを売りにしていこうという事のようですね。

なので先行投資とはそのための、専門家チームの発足などの投資を進めていくよってことなんですね。

ではその投資の進捗はどうかといえば、新型コロナの影響もあって活動が制限されていたという事もあるのか11%までしか進んでいないようです。

とはいえ、代行編集や企画のサポート、個人では出来ないような大型企画なども進んではいるようです。

このハイクオリティー路線ですが、懸念されるのは芸能界からのYouTube参入に勝てなくなってしまうという事でしょう。

芸能界のプロのタレントさん(この言い方が正しいか分かりませんが)の方が出役としての華や見せ方という意味では上ですよね。

ではユーチューバーの強みがなんなのかといえば企画から撮影・編集マーケティングなども自身で行っているため、純粋な演者側のタレントさんとは違った能力も高くそこが面白いコンテンツを作れる要因だったと考えられます。

となるとユーチューバーをタレント化して出役だけさせていくのはリスクもありそうで注意が必要そうです。

しかし今の若い世代からすると、テレビタレントよりもユーチューバーの方がかっこいいと考えている方も増えて居るでしょう。

となるとそういった若い世代では華や見せ方という意味でも、テレビタレントさん以上の才能がユーチューブに集まり初めていると考えられます、

なので数年後にはこの方向性でも戦える人材が増えて居るかもしれません。

UUUMのチャンネル数はかなり増えて居ましたが、これはそういった新しい世代でタレント化を進めても芸能界からの参入にも勝てるような若い世代を取り込んでいるのかもしれませんね。

またUUUMも吉本興業などと提携して芸能人のユーチューブ参入を後押ししている事が分かります。

既に月間4億6千万再生程になっているようで流石の伸び方ですね。
こういった芸能界からのユーチューブ参入は新型コロナを気にかなり増えましたし今後もさらに増えるでしょう。
そしてかなり伸びていくはずです。

となるとそこと提携していくというのは非常に重要です。
その点ではUUUMは最大手で上場企業というのは非常に強いですよね。
非上場企業に比べて透明性や信頼があるのでどうせならUUUMとなりますよね。

続いてこちらの資料をご覧下さい。

動画広告市場自体は右肩上がりでまだまだ今後も伸びていく見通しだと分かります。

さらに中高年層でも60代は微妙ですがそれ以下の世代ではテレビの視聴時間が減り、ネット時間は増加傾向にありますのでまだまだ可処分時間のネット移行が進んでいるようです。

という事で、UUUMはマネジメント業務としての価値は減少していますし、抱えているチャンネル数も急拡大の中コストも増加している。
マネジメントから作る側にまわるための投資期間でコストも増加する。

そしてユーチューバーを出役としてハイクオリティ路線でいくと芸能界からのYouTube参入に負けそうだと考え業績の低迷がしばらく続くと予測します!!

とはいえチャンネル数が増加する中で、青田刈りが出来ている可能性がありますし、芸能界からのYouTube進出の際の提携先としては選ばられ安い事、そもそも市場規模はまだまだ拡大している事を考えると、しばらくしてからは業績の回復が起きてくる可能性もありそうです。

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