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小説の裏表紙だけしか書けない作家【江戸川沿競歩】

神保町駅、A7番出口の階段を上がる。

この階段で息が上がる歳になった。

大きく深呼吸をすると、『さぼうる』から
空腹を刺激する匂いが風に運ばれて来る。

右に曲がり、靖国通りに出る。

今日は九段下方面の古本屋街から閲読しようと、

神保町交差点の信号で立ち止まる。

あっ…閃いたでげす。

皆さん、申し遅れました。

私、文豪に憧れて挫折した男、
江戸川沿競歩(えどがわぞい きょうほ)
と、申します。

元来、小学生の頃から作文が苦手だった私が
長編小説など執筆出来る訳がなく。

しかし、ある日思いついたのでげす。

こんな小生でも、
本の裏表紙の数行であれば書けるのではないか。

もちろん、題名までは思い付きません。

これをお読みいただいた方々に、題名やら
内容を膨らませて頂けたら幸いでげす。

何卒宜しくお願いいたします。

               江戸川沿競歩

『無題』

料理好きの会計士、沢村定雄。

今日も行きつけの『スーパー坂口屋』に立ち寄り
その日の食材を選ぶ。

ただ彼には、もうひとつの楽しみがある。

数字好きの沢村の密かな楽しみ。それは…

棚に並べられている商品の値段を
列ごとに、端から全て足すこと。

生鮮食品、惣菜、調味料、菓子、乳製品など
列ごとに合計金額を暗算で弾き出す。

ごく稀に合計額が『素数』になった時の沢村は、異常に興奮をし、高級食材だけを買い物カゴへ
雑に投げ込む。

ある日、
カレー、スパイス、レトルトコーナーの
値札を足している時に何か違和感を覚えた。

何気ない数字の並びが不可解な暗号だと気付く。

果たしてこれは、偶然の数字の羅列なのか!
誰がが沢村に訴えているのか!
聞いて欲しいのか!助けて欲しいのか!

振り向くと、
店長の前島がほくそ笑んで立っていた。

『会計士 沢村定雄シリーズ』待望の第一作!

2023年上半期にして
mathミステリーの最高傑作!

ラストは、計算違いの大どんでん返し!

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