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『副業特区』には新しい「出会い」を提供する意義もあるーen Factory 松岡永里子×パラレルキャリア研究所 高村エリナ 特別対談 後編

前編はこちら。

「パラレルキャリア研究所」の高村エリナさんと、『副業特区』をリリースしたen Factoryで広報を担当する松岡永里子さんの対談。

後編では、人それぞれの複業のカタチから、パラレルワークをすることによって得られた「会社員」という肩書への想い。そして、『副業特区』の話題に。

「専業禁止」という先進的な理念を掲げる企業に勤務する松岡さんと、パラレルキャリアをテーマを追い続ける高村さん。

二人の対談は、いよいよ佳境へ。

「さあ!今日から複業やるぞ!」って意気込むよりも、資格取得とか、スキルアップのひとつとして、くらいのテンションでいいと思うんです。ー松岡

今の時代はとにかく移り変わりが激しいし、数年後のこともわからないですよね。だから、その時の状況に合わせて、柔軟に人生を見直せる、「お試し」としてのパラレルキャリアっていいなって。ー高村


松岡永里子さん(以下敬称略) 私はパラレルワークをはじめるなら、極端な話、バイトもいいと思っているんです。例えばカフェを開きたい、という目標を持っている人がいたら、その人がカフェでアルバイトするのはすごく健全だし、きっと本業にもいい効果が現れますよね。

高村エリナさん(以下敬称略) 私もバイトして心も財布も落ち着いて、それで幸せだったら、バイトをする価値は十分にあると思います。実際に自分の目標を持ってバイトをしてみたら、「なんか違うな」って気づく瞬間もあるかもしれないし、それに気づけただけでも一歩成長なんですよね。自分がやりたいことは小銭を稼ぐことじゃなくて自己表現なんだ、とか、新しいことを生み出したいんだ、とか、例えばそれに気がついたらその方向に舵を切ればいいし、バイトで幸せを得られるなら、バイトを続けたっていい。世の中には色々なタイプの複業が溢れているけど、「これがいいよ」って一概には言いづらいですよね。

私もパラレルキャリア研究所で、「こういうタイプの複業をやりましょう」って発信しているわけではないし、なんなら複業をやりましょうとも言ってない。やりたい人のヒントになれればいいと思っているんです。自分に合っているものを決めるのは、自分しかいないし、バイト系が合っている人もいれば、個人事業主の人だったり、NPOを立ち上げたり、起業することに向いている人もいる。結局、何が自分に合っているかは人それぞれでしかないんですよね。

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松岡 色々な選択肢のひとつとして、パラレルワークを置いてみるのはいいですよね。いつでも参入できるし、責任を果たしたならいつでも撤退もできる。「さあ!今日から複業やるぞ!」って意気込むよりも、資格取得とか、スキルアップのひとつとして、くらいのテンションでいいと思うんです。

高村 うんうん。

松岡 今の生活にモヤモヤを抱えていたり、結婚や出産とかに悩んでいるんだったら、自分のキャリアのひとつの選択肢として、パラレルキャリアを頭の片隅に置いておく。趣味や自己研鑽の一環として考えておくとパラレルキャリアに対してのハードルも下がるし、可能性も広がりますよね。

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高村 パラレルキャリアのいいところって、何も失わずに可能性を広げられるところだと思うんです。実際に行動してみないと、わからないこともいっぱいある。自分だけで考えるんじゃなくて、評価されたり、褒められたり、人からのフィードバックで道が拓けることもある。

実際のところ、脱サラするのはリスキーだし、めちゃめちゃ大変じゃないですか。20代で人生を決める人もいるけど、まだまだ模索したい人にとっては、パラレルキャリアはノーリスクでできるし、違ったら別方向に切り替えもできる。ひと昔前だったら、若い時に自分はこれで生きていくんだ!って決めて、一生を費やす、っていうのもできたけど、今の時代はとにかく移り変わりが激しいし、数年後のこともわからないですよね。だから、その時の状況に合わせて、柔軟に人生を見直せる、「お試し」としてのパラレルキャリアっていいなって。

松岡 人生って不確実ですよね(笑)

高村 本当に不確実(笑)自分のキャリアも、ライフプランも、世の中の流れだってどうなるかわからないけど、私自身は「まあ、なんとかなるっしょ!」っていう気持ちもありますし、何かが起こったら頑張ればいいかな、って思えるようになりましたね。でも、一社だけしか自分の居場所がなかったら、きっと会社にしがみついちゃってたと思うし、結構精神的に苦しかったんじゃないかな。

松岡 選択肢がないことが、不安になっちゃうんじゃないですかね。選択肢が見えている状態ってすごく安心感があるんですよね。何者でもない。でも何者かになれるっていう状態に安心するんじゃないでしょうか。

高村 実際に自分が自分の名前でパラレルワークをやるようになって、「個人として生きるって自由だな!」という楽しさは感じますね。会社にいると、隣の人がどんな人生を送ってきたのか、何を感じて働いているのか知らないまま日々を過ごしているじゃないですか。同僚にとっての私もそういう存在だろうし。でも、パラレルキャリア研究所を始めたら「なんでこれを始めたの?」って絶対に聞かれるし、私に興味を持ってくれる人って、案外たくさんいるってことに気が付いたんですよね。それによって会社の人たちへの関心も増したんです。もっと周りの人にも興味を持ちたいなって思えたんです。みんなそれぞれの人生を送っていて、みんな色々あるよね、って(笑)

松岡 会社との向き合い方も変わりますよね。

高村 私は会社に無理やりしがみつこう、って気持ちはなくなって、純粋に会社が好きになった。パラレルキャリアをすることで依存心がなくなりましたね。

松岡 私は自分一人ではできないことが、会社だとできるってことがわかったかな。自分だけじゃ仕切れないことっていっぱいあるじゃないですか。会社に入るとチームを組めたり、自分とは違う考え方を持つ人と仕事ができたり、そういう悩みは解消されやすい。同じ会社で働いている、っていう強いつながりもありますし、会社でしかできないこともいっぱいある。だから、せっかくだったらそれを楽しまないともったいないな、っていう気持ちが強くなりましたね。

高村 それ、超わかります!私もパラレルキャリアを始めて、会社の価値っていうのをすごく感じて。団体立ち上げ直後は、パラレルキャリア研究所っていう名刺を渡してもビジネスの世界じゃ誰にも相手にされなかったんです。だから、会社が持っているブランドってすごいな、って思って。それに個人事業主になると、ひとりでビジネスの全職種を体験するじゃないですか。私は経理とかがめちゃめちゃ苦手で(笑)そうすると、経理とか営業とか、自然と他の部署の人たちへの感謝も生まれてきて。その職種の大変さって、想像はできても実際にやってみないとわからないですよね。部署異動はコストもかかる。でも、パラレルワークでコアキャリアの職種とは別に学び直しができて、他の職種の苦労を知ったり理解が深まるのはすごくいい経験だなって。会社っていいですよね(笑)パラレルワークをすると会社の良さがすごくよくわかる。

松岡 ええ。会社っていいですよね(笑)私も会社員でいたいな、って思ってます。

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『副業特区』は「別に新しい自分とか探さなくてもいいか」って思っている人に対して、「自分、これ意外とハマるかも」とか「このパラレルワークをやってみたいな」ってきっかけを与えてくれるサービスだと思います。ー高村

『副業特区』には新しい「出会い」を提供する意義もあるんです。いわば、背中を押す、機会提供ですね。ー松岡


高村 私はパラレルキャリア研究所でトークイベントやスキルアップイベントを企画して、パラレルキャリアに興味がある人に向けて情報提供をしてきたんですけど、実際にパラレルワークをはじめる人って少数派なんですよね。そこからマネタイズまで行って、ビジネスにできるのは一握り。自力でビジネスをやるのって、気合と時間とスキルが必要だし、思っている以上に難しい。それに、副業解禁に踏み込めない会社もまだまだ多い。だから、社外で何かやろう、って人はなかなかいないのが現状なんですよね。

でもen Factoryさんがリリースした『副業特区』は社員の副業を「見える化」していて、導入した会社が社員の背中をそっと押してあげることができて、これまで個人で何かやってみよう、って思えなかった人とか、思っていてもやり方がわからなかった人に生きる勇気を与えてあげられるな、って思ったんです。今までパラレルキャリアが浸透していなかった層の人たちのキャリアが拓ける、すごい素敵なサービスだなって。

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松岡 やっぱり副業解禁っていっても、動けない層が一定数いるんですよね。パラレルキャリアなんて無理だよ、そもそもそんな言葉知らない、って。その層に対してどうアプローチをすればいいか、ということを考えたサービスなんです。個人に対して働きかけるよりも、大きな会社に導入してもらうことで、日本全体に広がっていくんじゃないかな、って考えています。興味関心が高まるし、企業の人事としても個々の力をつけることができるんじゃないかって。『副業特区』を期にパラレルキャリアがオーソドックスになればいいな、って思っています。

高村 うんうん。

松岡 自分で動ける人にはもうサービスはいっぱいありますし、制度や仕組みがないと変われない、という人たちへのアプローチでもありますね。

高村 潜んでいる層へのアプローチなんですね。

松岡 ええ。今は「イントラパーソナルダイバーシティ」っていう言葉をキーワードにしています。個人の中の多様性を高めていきましょう、って意味の言葉なんですけど、副業もイントラパーソナルダイバーシティを拡張する手段のひとつだと思うんです。

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高村 会社員をやっていると、「自分のキャリアはこれ!」って、自分の可能性を狭めてしまう人も多いですよね。そういう人は、一歩を踏み出す「きっかけ」さえあれば、新しい自分を見つけることができるかもしれない。でも、その「きっかけ」に出会えなくて年齢を重ねてしまう人も大勢いる。そういう「きっかけ」に今まで触れることができなかった人だったり、「別に新しい自分とか探さなくてもいいか」って思っている人に対して、『副業特区』は「自分、これ意外とハマるかも」とか「このパラレルワークをやってみたいな」っていう、まさに「きっかけ」を提供してくれるサービスなんだと思います。『副業特区』を取っ掛かりに、自分の人生を前向きに捉えられて、新しい自分に出会える人が増えたら素晴らしいですよね。

松岡 『副業特区』には新しい「出会い」を提供する意義もあるんです。いわば、背中を押す、機会提供ですね。

高村 パラレルキャリアをはじめた人の話を聞くと、「成り行きで・・・」って人が多いんですよね。ある瞬間に、自分がやりたいことや、得意なこと、新しい自分を見つけて、コアキャリアになっていったという人もいる中で、なかなかそうはいかない人も多い。でも『副業特区』は自分のやりたいことを見つけられない人にとって、機会提供をしてくれる。まさに背中を押すという感じですよね。パラレルキャリアに踏み出すか、踏み出さないかは人それぞれですけど、『副業特区』のように一歩を踏み出すサポートをしてくれる体制があると、自分のパラレルキャリアの先にはこんな未来があるんだ!って見えてくるものもあると思います。個人だけだとはじめられなかった人も、安心してスタートできるな、って。

松岡 『副業特区』がどこからはじめていいかわからない人たちへの悩み解決になれば嬉しいですね。

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