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普通列車も急行も着きゃ同じ


熱がある

喉も痛い。

流行り病が頭をよぎる。

とうとう俺の番か。

死刑を待つ
死刑囚のような気分である。

普段は休めない
会社も休み、

医者を尋ねたいが生憎の日曜日。

診てはくれんらしい。


職業柄日曜に休みなんて
無く、やることもない。

隣の部屋では娘の泣き声も聞こえるが
顔を見ることもできない。

さぁ、どう時間を潰そう。

喉は痛いが頭は動く。

なんとも人間は

風邪をひこうが
暇は感じるらしい。




1日が過ぎる。


日頃仕事をしていると

さぁーー・・・っと過ぎていく
日曜も

こうもゆったりゆったりと進んでいくと

なんとも、間違えて普通列車に乗ってしまった
ような、

そんな感覚になる。


ちょっとゲームもしてみた。

ちょっと映画も観てみた。

ただ

そんな娯楽も

普段できないからこそ

嬉しいんだ、楽しいんだと思う。

長い長い小学生の夏休みに

ホロッと迷い込んでしまった気分である。

あの時はずっとやれたゲームも

大人になると
1時間で飽きてしまう。

どれだけクリアしようが

どれだけモンスターを育てようが、

競い合う人がいないんじゃ

張り合いもない。

そっと電源を切り、

ペンを走らせる。



あー喉が痛い。

痛くない時には感じない

普通というありがたみ。

一度喉を取っ払って

新品にでも変えてやりたい。


こういう時に
サイボーグだったら、なんて馬鹿げた発想も
してしまう。

暇とはなんとも恐ろしい。

昔ジィさんが早起きして
散歩に出掛けていたが

その理由がよーくわかった。


明日は医者を尋ねてやる。

朝1番だ。

もちろん急行に乗る。

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