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アメリカデザイン就職を振り返る-就活は戦略的に①

こんにちは。今日から複数回に分けて、米国での就活、かつ今の仕事先で採用プロセスに関わった経験をプラスして学んだことを書いていきます。タイトルは某CMをもじってふざけていますが、内容は真面目にいきます。

ビジネスキャリアの話をしますので、アカデミックなキャリアを目指す方は別の方の記事を読まれることをお勧めします。

まずはじめに

アメリカでの就職で必要なものは色々ありますが、現時点の結論として大事なのは

  • マーケット感覚

  • 運と縁

の2つだと考えます。2つ目に関しては「結局運か。。」と思われるかもしれませんが、後述するように外国人という弱い立場で仕事を得るにはある程度の運は必要です。ただ、チャンスの前髪と言われているように、それを手に入れるための確率をある程度増やすことは出来ると思います。

また、こういう記事を書いておいて矛盾するかもしれませんが、就職するまでの道のりは人それぞれだと感じています。全員が黒スーツを着た新卒就活や、終身雇用が少し前まで当たり前だった社会にいると何か正解があるように考えがちです。しかし、周りの話を見たり聞いたりしていると、ある程度のカテゴリーに分類はできてもルートは人それぞれですし、私も最後は変わった形でオファーを頂きました。誰かの正解を頑なに信じて突き進むよりも、様々な可能性に種まきをして臨機応変にやっていくのが海外就活で必要なマインドセットではないかと思います。

そこで戦略的に海外就職に取り組んでいくべきである、というのが私の意見ですが、その前に考えるべき前提について話していきます。

外国人として就職するということ

私は、海外就活をする留学生はスポーツにおける「助っ人外国人」と似たような立場ではないかと感じました。それはつまり、

  • 即戦力である

  • 獲得に追加コストがかかる

ということです。突然ですが、皆さんはスポーツ観戦される場合、外国人選手に対してどういう期待をされますか?高い年俸を払っているんだから活躍してもらわないと困ると思いますか?一方で、海外で活躍する日本人選手がそこそこの成績でも戦力外になったとき、厳しいと思いますか?

アメリカで就職する場合、スポーツ選手の年俸ほどではありませんが、労働ビザのスポンサーがつくと法律事務所への費用も含めお金と労力がかかります。また、英語がネイティブほどでないとコミュニケーションのコストがチームにかかりますし、文化的な違いにもお互い適応しなければなりません。このような様々なコストにより、企業としてはアメリカ人を雇う方が都合が良いです。逆に、外国人労働者はコスト以上の価値を出せることを証明しなくてはならないということです。

順番が前後しますが、即戦力への期待はジョブ型雇用が影響していると思います。採用は人事一極集中ではなく現場のマネージャーに大きく任されていて、チームに欲しい専門性を元に募集職種が出されることが普通です。したがって、募集要項にあるスキルに合致しなければ、どんなに多才な人材でも獲らないことになります。なぜなら、チームの困り事を解決しパフォーマンスを上げるということに繋がらないからです。海外で就活をしていると日本で聞くような「ポテンシャル採用」にすがりたくなってきますが、あまり期待すべきではないと思います。

ここまで当たり前の話をしているとは思います。しかし、アメリカで就活をしていると嫌というほどこの現実を突きつけれられました。

難易度を見積もる

海外で留学後に現地で就職したいことを相談すると、留学アドバイザーに「キャリアチェンジは国・職種・業界の三つの観点で難易度が変わる」という話をされると思います。変える要素が多いほど難易度は上昇し、変更点は二つまでに留めておくべきというのが一般的なアドバイスです。

一方で、難易度を下げる要素もあると思います。それは、労働市場において、自分の市場価値を測られた(あるいは他人のものを測った)経験があるかということです。例えば、転職活動をしたことがあるか、もしくは採用側として働いたことがあるかということです。この経験があると、冒頭で述べたマーケット感覚を持つことができ、より有効な戦略を取り企業の勘所を押さえた対応ができます。私がこれまで述べたことも、これから話すことも、マーケット感覚がある人からしたら当たり前のことだと思います。

私は新卒で日系企業に就職し転職もしたことがなかったので、そこが中々分からず最初苦労しました。日本の大企業に勤める人は転職を考えたこともなく、自分の価値をアピールすることに抵抗があるという人は多いのではないでしょうか。私もその一人でしたが、だんだんと押さえるべきポイントがわかってくると面接でのパフォーマンスが上がり、自分の市場価値を理解することの大切さに気付きました。

話が傍にそれましたけれども、自分がどれだけ難しいことをやろうとしているか把握していると、上手くいかなかった時にどこを妥協するか戦略的に考えられるようになります。

過去の職歴は捨て(られ)ない

市場価値に関連して、自分の過去の職歴をどう活かすかという点についても言及したいと思います。企業からの期待値や「国・職種・業界」の観点を踏まえて、自分がキャリアチェンジでどこまでジャンプするのかは押さえておくべきポイントです。

私は米国で就職したいなら、職種はなるべく過去の経験を活かせるもの、少なくとも他人が理由を聞いて納得できるものを選ぶべきだと思います。

社会人を経て留学する方には全く違う仕事に就きたいという目標を持っている人もおり、それ自体は否定しません。ただ、現実的な視点も持つ必要があります。即戦力を求める企業は学歴よりも職歴を重視します。それは、プロとして価値を出し対価をもらった何よりの証明になるからです。また、前の仕事への好き嫌いは置いといて、自分の時間を投資して得た経験とスキルは他者との差別化要因であり無闇に捨てるものではないはずです。

「過去の経験を捨てるな」
これはSteve JobsのConnecting dotsにも繋がりますし、多くの卒業生がアドバイスとして授けてくれたものです。

残された時間を把握する

F-1ビザで留学された場合、留学先がSTEM OPTの対象になっているかがキーになります。卒業するとPost-Completion OPTを活用して一年間学生ビザのまま職務経験を積むことができます。STEM OPTが申請できるとさらに二年間の延長ができます。

残り一年しかない人と三年ある人、同じ条件ならどちらを雇いたいと思うでしょうか。いくら転職の多いアメリカとはいえ、ある程度在籍することを期待するのではないでしょうか。また、卒業後仕事が見つからずに就活を続ける場合、前者だと残された時間はどんどん減っていきますが、後者はまだ二年+αあり、心理的な余裕を持って動くことができます。

米国での就職を考える方は、留学先がSTEM OPTの対象になっているかは必ずチェックされた方が良いです。同じ大学でもプログラムによって違うのでご注意ください。

次回

ここまでで結構な文字数になったので、続きは日を改めたいと思います。

前提ばかりで長いと思われるかも知れませんが、こういった心構え的なものを持ったとしてもアメリカ現地での就職は大変だったというのが実感です。それは日本で日本人として働いている中では中々気付きにくいのかなと思います。

国民であることと外国人であることは大きく違います。外国人はマイノリティという、弱く、認められるまでに時間がかかり、不景気などの状況では不利益を被りやすい存在です。国民国家では国籍があるということでかなり恩恵を受けます。日本で働く外国人のYouTubeを見ると、同じような苦労をされているのだと今回の経験を経て初めて気付きました。

そして、私がこれから書いていくhow to的なものは結局はサンプルの一つであり、大切なのはゴールとそこまでの距離を把握して、覚悟を持って自ら積極的に動くことだと思います。

最後説教くさい感じになってしまい恐縮です。自分でも少し真面目すぎるのかなとも感じていますが、次回も読んで頂けますと幸いです。

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