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やはり生演奏がいい

レコードを真空管アンプとバックロードホーンで聴くという生活を満喫して早5年ほど経つだろうか?
好奇心というものは果てしない物で、毎日いい音をレコードで聴いていると、いずれ、本物に出会ってみたいという願望が芽生えてくる。

先日のイムジチに続いて、今回、バルカン室内管弦楽団の演奏を生で聴く機会に恵まれた。

バルカン室内管弦楽団は、かつてバルカン半島で起きた旧ユーゴスラビアの民族対立による紛争から、民族の共栄を願って設立された室内オーケストラだそうである。この楽団創設には、日本の指揮者、柳澤寿男さんが貢献して、当初より指揮者を務めている。

公演のしおりには「音楽には人々を繋ぎ平和を生むチカラがある すべては思いを共有することから始まった」と記されている。

演目、ドボルザーク、弦楽セレナーデ、リムスキー=コルサコフ、シェエラザードが良く、また、演奏が素晴らしかったのは勿論なのだけれども、その演奏家達の背景、文化や演奏に込める思いを知る事ができたが故に、演奏中の感動は頂点を極め、なんとも素晴らしいひと時を提供していただいたという思いである。

今でも啀み合いのある民族間の対立を乗り越えて集まっている音楽家達は、一つの楽団として、一糸乱れず、思いを一つにして、そして時に笑顔を見せながら演奏する姿を目の当たりにした時、人と人が理解し合うことの素晴らしさが演奏を通して伝わって来た。

私は音楽を聴くことしかできないけれど、音楽が大好きなジジイでいられる事の幸せを感じる。

音楽というものが、人生に与える影響は計り知れなく大きい。この歳になってまた、そんな音楽の素晴らしさの一端を垣間見た。
この先も色々な音楽を通して新しい感動を得る事ができるのだろうと考えるととても楽しみである。

そんな事を考えながら、目の前のバックロードホーンから、昨晩買って来たバルカン室内管弦楽団のCDを聴き直している。

我音響システムからも、昨晩の感動を彷彿させるだけの素晴らしい音色と迫力を聴く事ができるという事は、真空管アンプ作りにハマっている我道も間違っていなかったと納得している。