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「自分だけじゃない」と呪い続けている

晴れた日は何もしたくない。
雨の日はどうだと言われればやはり同じだ。
何もしない
というのは結構難しい。
何かしらやらなければいけないことがあるし
何かしらやりたくないことも生まれてくる。

「はじめまして」と言うたびに
この人とはどこまでいられるのだろうと考える。
「さようなら」と言うたびに
この人とはいつまで続くのだろうと考える。
会いたいという気持ちはそれほど強くなくて
会えないという気持ちはそれなりに寂しさを強いる。

盲目的な強さを得たいと願っていた。
強さとは何か。
深く考えないことだ。
少なくとも僕にとっては。

打ちひしがれた気持ちは
夜を超え、朝を迎えた。
落とし込めない感情は
四季を巡り、年を跨ぐ。

特別ではないことに
少しの悲しさと、大きな安らぎがある。
弱り果てた精神は
誰かの特別であることよりも
世界に埋没することを望んでしまう。

皆が好きだと思うものを好きだと思える。
皆が嫌いだと思うものを嫌いだと思える。
その普遍性は限りなく毒だ。
毒がまわった頃に思い出す。
「お前のいう皆って誰だ?」

僕の抱く感情の全部は
「自分だけじゃない」という一言で
全て終わらせることが出来る。

自分を殺す毒だ。
遅効性の毒素。
少しずつ広がっていって
やがて全てを許せてしまう。

特別な何かを持っている。
耐え難い苦痛を抱えている。
別れの痛みを知っている。
成し遂げた達成感を覚えている。
幸福な過去があることも。
漫然と広がる虚しさも。
掴めない不安も。
「自分だけじゃない」という一言で
全て終わらせることが出来る。

もういいんだ。
僕は過去の全てを許してしまいたい。
楽になりたいんだ。

そんなことはない。
僕は僕を許すわけにはいかない。
前に進みたい。
不幸も幸福も全てひっくるめて
これが自分なんだと
過去に見せつけてしまいたい。

「自分だけじゃない」
「自分だけじゃない」
「自分だけじゃない」

この言葉は毒だ。
麻薬に近い。
ああ気持ちいいな。
なのになんでこんなに苦しいんだろう。


貴方のその気持をいつか僕も 誰かに返せたらなと思います。