あえての零落(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド※ネタばれなし)

クエンティン・タランティーノ最新作!
レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピット初共演!!

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
http://www.onceinhollywood.jp/#

楽しく見てきましたー!
(基本、楽しく見ればいい映画だと思ってます)

レオ様とプラピ・・・豪華ですね。

と言いつつ、私、「タイタニック」見てません。。。
宣伝多すぎだったのと、あまりにみんなが見たって言ってたので
私は見てないけど見た気がするくらいお腹いっぱいでした。
なのでレオ様って言ってるけど、あんまり「様」って思ってません(笑)

レオ様をちゃんと見たのは割と最近で、
「インセプション」(面白かった!)
「J・エドガー」(初代FBI長官の話。…哀しかった)
「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(ひたすら常軌を逸してた)
「グレート・ギャツビー」(映像美。でもギャツビーって要はストーカーだよね)
あたりです。

本作で「落ち目の俳優」を演じているレオ様。
本当に落ち目の俳優が演じていたらそれはそれで面白いと思うが、
あえて絶世のスターを起用。皮肉だなあ。

そしてレオ様は「落ちぶれた」役がうまい。というか、よくやってる気がする。
堕ちていく人間、の役が多い。そういう役はだいたい品がない。
本作の役もアル中一歩手前だし、
「ウルフ~」は完全ヤク中。

「貧しさ(無教養・下品)から→無理にのし上がり→敵を増やし→落ちぶれる」役が多いということか。
本人、酒もそんな飲まなそうだし、
タバコ吸わなさそうだし、
オーガニックフード食べてそうなのに。。。
(注:完全なイメージです。プリウスに乗ったりエコ活動してるイメージがあるんだもん…)


役作りもハンパない。
本作でも、実際はブラピのが全然歳上なのに
(レオ様44歳、ブラピ55歳 ※ウィキペディアより)
レオ様が同い年か年上に見えるくらいの
筋肉度、無精ひげ度、強面度。

んーーん。

何故。

レオ様ほどになればやりたくない役は断るだろう。
ということは、レオ様自身もやりたくてやっているということだ。

名実ともにハリウッドスターで
何十年も有名監督たちの映画に出続けているのに
なぜ「落ちぶれた役」をやりたがり、そしてそれがうまいんだろう。

うーーんん。

本人に会ったらぜひインタビューしてみたいが、
つまるところ
「常にそうなることを想像しているから」
なんじゃないかと思う。

ちょっとうがった見方ですけど、
私はハリウッドなんて正気でいられる場所じゃないと思っていて、
レオ様は常に「売れなかった自分」を想像しつつ、
現在の地位を保っておられるのではないかと。


そして、忘れてはいけないのが、
ただ想像するだけでなくて
「そういう人を観察しているから」
だと思うんです。

俳優は観察してそれを復元する能力が必須だ。
ただ妄想してるだけではなくて、
実際に周りの人を冷徹な目で観察しているんじゃないかと思う。

今、売れている人
金を持っている人
そういう人がどういう振る舞いをして、どう堕ちていったかを
ずっと見てるんじゃないだろうか。

人間って、自分に見合わないカネや地位を急に手にすると、
だいたいお決まりの堕ち方をすると思うんです。
始めは楽しいけど、
次第に狂騒的になって、
そんな状況に精神がついていけなくなって、
現実逃避するために酒かクスリかセックスに走って
本業を見失ってカネを失い
カネの切れ目が縁の切れ目で周囲から捨てられ
孤独になってさらに酒とクスリとセックス(エンドレス)。

私は「映画」でしかハリウッドを知りませんが
私がこれだけ書けるくらいなので、
実際にこういう人がごまんといるんじゃないかと……

その中で冷静に自分を保ちながら、
大衆の求めるスターでいつづける。、
そこがすごいんだよな。大スターって。

ときどきスターが(キアヌ)
奇行に走ったとか(リーブス)
言われるけど、
たぶんキアヌもそうやってバランスとるタイプなんじゃないだろうか。
「フェイクシティ」(アル中の刑事役)とか
「コンスタンティン」(タバコ吸い過ぎで肺がんで死ぬ運命)とか、
大丈夫かとか思ったこともあったけど、
そういうことなんじゃないだろうか。

浮かれ騒ぎの中で
自分が保てるって
ほんとにすごいことである。

ブラピは、なぜかそういうことからは自由そうである。

私は、もしハリウッドに住めたとしても
ギャツビーの友人の「作家」くらいの位置から
そういうスターたちを観察して書き続けていたい。。。

真面目に言うと、そういう「堕ちていく」という苦境に直面すると「人間」が出るから、「面白い」のだろう。堕ちていく役は演じていて辛いこともあるだろうけど、本質的には、役者の悦びなんだろうと思う。「人生」の辛苦(たまに喜び)を演じることを、喜びとしているんだと思います。


※本日、特にオチはないです。

これからも書き(描き)続けます。見守ってくださいm(__)m