見出し画像

映画「Jobs」 (2013年の方)

スティーブ・ジョブズの伝記的映画。改めて彼は「仕事」っていう名字なんですね。

「スティーブ・ジョブズ」という邦題の映画は2作ある。

ご記憶のある方も多いと思うが…。

▼2013年の版→ジョシュア・マイケル・スターン監督、アシュトン・カッチャー主演(原題:Jobs)

▼2015年版→ダニー・ボイル監督、マイケル・ファスベンダー主演(原題:Steve Jobs)

両方ともジョブズの人生をもとにしているのだが、脚本も監督も、作品としても全然別もの。その映画が「同じ邦題」なのだ。 

こういう時こそ別の邦題をつければいいのに( ;∀;) 普段は原題からは予想もつかない独特な邦題をつけるくせに~。

私が見たのは2013年。大方の(ネットとか)での評は「2015年版の方が面白いので、その予習として2013年版を見ておくとよい」 そ、そんな・・・(笑) でもたしかにそんな感じがしました。

↓↓ ここから本音の辛口コメントですーエラソーでごめんなさい( ;∀;) 

 

ジョブズの人生でいつ何が起きたか、は、この2013年版を見ると分かる。それぞれの時を「象徴する出来事」みたいなことはちゃんと入ってる。でも、全然何も伝わってこない。教科書かカタログみたい。

何が見せたくて作ったんだろう…。

私は上記の評判のことを半分忘れていた状態で、なんとなく「そういえばジョブズの伝記映画あったな」と思って、2013年か15年かということも意識せず(Netflixで)見始めたのだが、見終わってびっくりしました。

何も心が動かないぞ( ゚д゚) 

ジョブズは2011年に亡くなっているので、iPhone発売のこととかも入れようと思えば入れられたと思うんだけど、この2013年の方は入ってない。え?? ジョブズが会社を追い出された後、また会社に戻ってマッキントッシュをやり直すところで終わってる。えー?! 正直、メカ音痴の私にとってジョブズは「iPhoneを作った人」っていうイメージが一番強い(その前のiPodも革命だということも分かるが)。

そもそもジョブズは革新的な業績を多数残しているので、どれを持ってきてどれを切るかという判断はあってもいいとは思うんだけど、えー? そこで終わるのー?みたいな感じだった・・・。

俳優たちは相当外見を似せており、アシュトン・カッチャーも(この人のキャリアからすると、たぶんコメディとかが得意そうな気がする)シリアスに頑張ったんだと思う。何せ世界で誰もが知っているジョブズを演じるのだから。プレッシャーだったと思う。が・・・。頑張ればいい作品ができるわけではないのが、創作の難しいところだ。

とにかくこの映画で、ジョブズは、気に入らないと怒り、怒鳴り、人をけなしている。どんなに長年尽くしてくれた友だろうが何だろうが、そういう温情は一切なし。役に立たないと思えば冷酷に切る(たぶん日本だったらこの人刺されてると思うし、そもそももっと早く会社から追い出されているだろう)。

妊娠した恋人を捨て、親子鑑定で実の娘と出た女児もしばらく認知しない。その後、娘を自分の手元に引き取って育てるのだがそれも経緯がちゃんと書かれていなくて、それほどジョブズの知識がない私には「??」であった。あれはアメリカ人ならみんな周知の事実なのか?

自分が創業した会社を追い出されるという辛い経験を経て、生まれ変わってそういう人情とか温情とかの機微が分かるようになった・・・ということなら、それはそれでそのエピソードを入れないと分からない。

でもアップル復帰後、長年会社に尽くしたマイクも切ってるので、復讐する気満々だ。執念深いという印象だけが残る。

人を怒鳴っていたのも、恋人や子供を捨てたのも全部事実なのだろう。その割には「天才性」みたいなものもうまく描けていない。「悪」や「孤独」を強調するためには「光(天才性、創造性)」をちゃんと描かないと伝わらない。

恋人を捨てるに至る境地も、ジョブズなりにあったわけで、なんでそんなに他人を嫌うのか、許せないのか、何がこの人をいらだたせているのかが分からないと、観客はついていけないよ・・・。

ということでこれはたぶん、脚本の責任(もし監督が脚本を切り貼りしたんだとしたら監督の責任)じゃないかと思った。スティーブ・ジョブズという名前の映画の「先行作品」だということを加味しても(世界で最初にジョブズの伝記映画を作ったということ自体はもちろん素晴らしいチャレンジではあるが)、これはないんじゃない・・・?

もちろん、映画(一作品)として、ざっとジョブズの人生と性格を知るためには、見てもいいんじゃないかとは思う。見て損はしない。そんなに感動もしないかもしれないが・・・。

俳優たちが激似なことはすごいと思った。メイクさんと衣装さんすごい。 

2015年版は、脚本がアーロン・ソーキンで、ということはもう絶対面白いに決まっている(私はソーキンのファン)。そちらも見て見たいです。


これからも書き(描き)続けます。見守ってくださいm(__)m