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働き方の多様化から在職老齢年金制度の改正を考える

在職老齢年金制度の背景

在職老齢年金とは、その名のとおり、在職している人に支給される老齢年金として創設されました。

創設前の厚生年金保険は、支給開始年齢要件に加え、退職を支給要件としていたためです。
しかし、働く高齢者の賃金は低額であるケースが多く、賃金のみでは生活が困難であったことから、在職老齢年金制度が創設された経緯がありました。

1986(昭和61)年の年金大改正当時、男性が75.23歳、 女性が80.93歳だった日本人の平均寿命は、2018年では男性が81.25歳、女性が87.32歳と6歳ほど延びています。

人生100年時代が定着しつつある中、少子高齢化が進む現代社会では、60歳以上の人の労働力は見直され、 健康寿命を延ばしながら、これからの日本を支える労働力として注目されています。

そのため、60歳以上の労働者の就労意欲を阻害しないよう、現役世代とのバランスを考慮した制度の見直しが必要となっています。

2019年社会保障審議会 (年金部会)の議論を経て、60歳から64歳までの在職老齢年金(低在老)の基準額の見直しと65歳以上の在職定時改定の導入が実施されます。

これまでの時代的背景を踏まえて、在職老齢年金制度と改正点について解説します。

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